弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2012年 04月 07日 ( 6 )

たばこ取引ルートの監視を強化する議定書案作成

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時事通信「不正防止へ監視強化=脱税年間4.1兆円-たばこ条約案」(2012年4月5日)は,次のとおり報じています.

「たばこ密輸や脱税などの不正取引防止ルール作りを目指し、スイス・ジュネーブで会合を開いていた「たばこ規制枠組み条約」締約国136カ国は4日、たばこ取引ルートの監視を強化する議定書案で合意した。ソウルで11月に開く締約国会合での承認を経て、各国で批准される見通し。
 議定書案は、たばこの生産、流通、小売りに携わる企業に当局の認証取得を義務化。製品に原産地表示を求め、各国が連携して不正品との区別や流通ルートが把握できるようにする。不正に関わった犯罪者の身柄引き渡しも認める。
 正規流通ルートを通さない安価なたばこは、喫煙による健康被害の抑制を世界各地で妨げている。密輸などで脱税額は年間500億ドル(約4兆1000億円)に上り、犯罪組織の資金源ともなっている。」


オブザーバー紙記事「JTIがシリアの独裁支配者にタバコを出荷「アサドのテロ行為への資金供給」を行った疑い」に対し,JTIは,辞めた者がやったことと述べ関係を否定しています.今は疑惑の段階でとどまっていますが,もし関与の事実が認められると国際的な非難が浴びせられることになるでしょう.

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by medical-law | 2012-04-07 16:56 | タバコ

4月15日,「医療基本法制定に向けて。今こそ!」

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2012年4月15日午後2時~5時,全社連研修センター(港区高輪3丁目22−12 )で,「患者の声を医療政策に反映させるありかた協議会」の主催で,「医療基本法制定に向けて。今こそ!」が開かれます.
申し込みは,4月9日までとなっています.参加申込用紙
共催は「患者の権利法をつくる会」,「東大公共政策大学院医療政策実践コミュニティー(H‐PAC)の医療基本法制定チーム」です.

プレゼンターは,埴岡健一氏(患者の声・協議会世話人),小林洋二氏(患者の権利法をつくる会事務局長),田中秀一氏(H‐PAC医療基本法制定チーム),長谷川三枝子氏(患者の声・協議会代表世話人)です.

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by medical-law | 2012-04-07 16:36 | 医療

理化学研究所,喫煙によって慢性閉塞性肺気腫(COPD)の発症が早まるメカニズムを解明

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喫煙とCOPD(肺気腫と慢性気管支炎)発症との関連性は,疫学的に証明されています.
喫煙などによりマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)が異常活性化すると,肺胞壁が破壊され,COPDを発症させることも分かっています.
コアフコース糖鎖の減少がCOPD(肺気腫と慢性気管支炎)発症の要因の1つであることも分かっています.

独立行政法人理化学研究所は,2012年4月4日,「喫煙によって慢性閉塞性肺気腫の発症が早まるメカニズム-コアフコース糖鎖の減少による肺胞破壊をマウスを用いて確認-」をそのサイトに掲載しました.
この理化学研究所の発表は,これらの間をつなぐものです.この報告により,喫煙によるCOPD(肺気腫と慢性気管支炎)発症の機序は,次のとおり説明できます.

喫煙→Fut8の合成や酵素活性が低下→コアフコース糖鎖の減少→TGF-βなどの機能が阻害→MMPが過剰に産生・活性化→肺胞構造の破壊→COPD(肺気腫と慢性気管支炎)発症

喫煙によるCOPD(肺気腫と慢性気管支炎)発症の機序が解明されていないから,喫煙とCOPD(肺気腫と慢性気管支炎)発症との関連性は明らかでないなどというJTの主張は,関連性の署名には機序の解明g必要ではないことから明らかに誤りですが,このように機序が解明されたことでその主張の前提自体が崩れたことになります.

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by medical-law | 2012-04-07 16:07 | タバコ

市立室蘭総合病院で筋弛緩剤エスラックス紛失

b0206085_1745326.jpgまた,筋弛緩剤エスラックスの紛失が報道されています.

室蘭民報「市立室蘭病院の筋弛緩剤紛失問題、窃盗との両面で捜査」(2012年4月7日)は,次のとおり報じています.

「市立室蘭総合病院(東海林哲郎院長)が薬事法で毒薬指定されている筋弛緩(しかん)剤「エスラックス」50ミリグラム1本を紛失した問題で、室蘭署は6日、同院から提出された被害届を受理。紛失と窃盗の両面で捜査を開始した。紛失した量は成人3人分の致死量になる。

 同病院によると、薬剤は通常、手術室内の保管庫(冷蔵庫)に40本を常備。一日10本前後、全身麻酔などに使用している。

 薬剤の保管は薬事法に基づき施錠が義務付けられ、日中は担当看護課長が鍵を所持。夜間は鍵保管庫に収納し、必要に応じて貸し出す。同課長が毎夕、在庫数を確認し残数をコンピューター上で管理、翌日午前に薬局から補充している。

 手術室は自動扉で施錠されていない。日中は担当医のほか、看護師24人の出入りがあるものの、夜間は緊急の手術などを除き無人が多いという。

 保管庫にあった薬剤は27日午後4時20分までに8本を使用、3本が使用中だった。同課長が通常通り同日の在庫を確認したところ、使用した以外に1本が足りないことに気づいた。

 関係者で廃棄物や手術室周辺、院内を探したが見つからず、28日に室蘭保健所に報告。29日に室蘭署に通報し、院内事故などの対策にあたる同院医療安全管理室スタッフと調査を進め、今月6日に同薬剤(1056円)の被害届を提出した。

 同病院によると「一般の人が侵入することは難しい」とみている。同署は紛失と窃盗の両面で捜査している。

 同院事業管理者は「市民の命を守る立場でありながら、このような事件の発生は誠に遺憾。心からお詫び申し上げます。今後一層、管理を徹底し再発の防止に努めます」とコメントした。今後の対策としてチェック体制の強化や、新たな防犯カメラの設置を検討しているという。」


全国各地の病院で,筋弛緩剤エスラックスの紛失が報道されています.

佐賀大学医学部付属病院で平成22年12月(但し公表は平成23年6月)に1本
独立行政法人国立病院機構名古屋医療センターで平成23年1月に10本
独立行政法人国立病院機構千葉医療センターで平成23年9月に1本
愛知厚生連海南病院で平成23年9月に1本
有田市立病院で平成23年9月に10本
浜松医療センターで平成23年9月に1本
NTT東日本札幌病院で平成23年12月に2本
社会福祉法人恩賜財団済生会熊本病院で平成23年12月に3本
市立室蘭総合病院で平成24年3月に1本

他山之石 可以攻玉
自院で紛失・盗難事故が起きて,はじめて管理体制を強化するのではなく,他院での紛失・盗難事故報道を受けて管理体制を強化するのが本当のリスク管理と思います.

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by medical-law | 2012-04-07 15:15 | 医療

南アルプス市や甲斐市の診療所が診療放射線技師法24条違反

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山梨放送「県が医療機関に法令の遵守を呼びかけ」(2012年4月6日)は,次のとおり報じています.

「南アルプス市や甲斐市の診療所が資格のない看護師にエックス線検査を行わせていた問題で県は6日、医療機関に文書で法令遵守を呼びかけた。
文書は県が県内の医療機関全てにあたる60の病院と1千110ヵ所の診療所に送付した。
文書では診療放射線技師法で決められた医師と歯科医、診療放射線技師以外にエックス線撮影を行わせないよう呼びかけている。
この問題は、南アルプス市と甲斐市の診療所が看護師に日常的にエックス線撮影を行わせていたもので、県が立ち入り検査を行い撮影の中止を指導したもの。
県は今後、定期的に行う医療機関の検査で法令順守をチェックしていくとしている。」


診療放射線技師法第二十四条は,「医師、歯科医師又は診療放射線技師でなければ、第二条第二項に規定する業をしてはならない。」と定めています.

同法第二条第二項は,「この法律で「診療放射線技師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、医師又は歯科医師の指示の下に、放射線を人体に対して照射(撮影を含み、照射機器又は放射性同位元素(その化合物及び放射性同位元素又はその化合物の含有物を含む。)を人体内にそう入して行なうものを除く。以下同じ。)することを業とする者をいう。」と定めています.

同法第三十一条は,「次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」とし, 一号で 「第二十四条の規定に違反した者」と定めています.

したがって,医師,歯科医師又は診療放射線技師でなければ,放射線を人体に対して照射できず,違反した場合は,1年以下の懲役か50万円以下の罰金か,あるいはその両方が科せられることになります.

南アルプス市や甲斐市の診療所では,看護師が,エックス線放射線を人体に対して照射していたことが事実であれば,診療放射線技師法24条違反の行為が行われていたことになりますから,もし,その看護師,その看護師に違法行為をさせていた者が起訴されれば上記の刑罰が科せられることになります.

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by medical-law | 2012-04-07 14:54 | 医療

橋下市長が市営地下鉄の喫煙助役を懲戒免職にするのは,行き過ぎではないか

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関西テレビ「橋下大阪市長、たばこで列車に遅れを出した市営地下鉄助役について懲戒免職を検討」(2012年4月6日)は,次のとおり報じています.

3日、大阪市営地下鉄の本町駅で助役が勤務時間外に吸ったたばこが原因で火災警報器が作動、列車が遅れたことに関連し、橋下市長は、懲戒免職処分を検討していることを明かした。
橋下市長は5日、「本人には、免職を基準に考えてもらいたいと思っています。この状況は許しがたいと思っておりますので」と述べた。

4月3日、全面禁煙となっている市営地下鉄本町駅で、54歳の助役が朝食後にたばこを吸ったところ、火災報知機が作動した。
列車4本が遅れ、およそ1,000人に影響が出た。

橋下市長は「服務規律を厳格化していくよと言った直後に、給湯室で一服したというのは、相当緊張感がない」と述べた。
市交通局の服務規程に、喫煙に関する罰則はなく、勤務時間外での一服だというが、橋下市長は、助役を懲戒免職処分とするよう指示を出した。

市営地下鉄では2012年2月、梅田駅で、清掃員のたばこの不始末が原因とみられる火災が発生し、およそ3,000人が地上に避難する騒ぎが起きた。

この火災を受け、橋下市長は3月、服務規律刷新プロジェクトチームを立ち上げ、ルールを守らない職員は厳しく処分すると宣言したばかりだった。

今回の処分に街の人からは、「懲戒はかわいそうですよね」、「くびはきついかも」、「人間そんなにパーフェクトじゃないので、1回・2回の猶予があってもいいんじゃないか」、「(懲戒免職は)妥当だと思います」、「それはやっぱり必要だと思います」、「本当に緩んでいるので、そのくらい厳しくして、こういうことしたら、こうなるとやった方がいい」といった声が聞かれ、今回の処分に賛否が分かれているようだった。

橋下市長は「もちろん、法的には問題があるかもわかりませんが、それは司法決着すればいい」と述べ、法廷闘争も辞さない構えを見せた。

こうした懲戒免職処分をめぐっては、これまでも舞台が法廷に移ることも多くあった。
京都の市立保育所では、調理師が給食の食材を多く発注しすぎたとして、市が懲戒免職処分、鹿児島・阿久根市では、市役所内に掲示されていた職員人件費の貼り紙をはがしたとして、市長が職員を懲戒免職としている。
しかし、いずれも、裁判で処分の取り消しが命じられている。
また、北海道・根室市では、飲酒運転を理由に懲戒免職となった男性に対し、裁判所は「懲戒処分は酷というものだ」と処分取り消しを命じた。 」


アメリカでは,タバコを吸い続けて免職となった警察官の例(※)があります.
しかし,本例は,これとは事案が違います.

懲戒処分には,均衡が求められます.
助役のタバコのせいで列車4本が遅れ,およそ1,000人に影響が出たという事態は,決して軽いことではありませんが,列車を遅らせようとしてタバコを吸ったわけではありませんから,懲戒免職はさすがに均衡がとれません.
懲戒免職に対し,司法がどのような判断を下すかは,分かりきった話です.

橋下市長の喫煙に対する厳しい対応は評価できますが,過ぎたるはなお及ばざるがごとし,薬も過ぎれば毒となる,と言います.かえって,世間の反発を招き,禁煙運動の広がりにマイナスになる懸念があるように思います.

※ AP「禁煙の警察署内でタバコを吸い続けた警官、解雇される」

「米テネシー州ニューバーンの警察は、同市の禁煙方針に従わず管区内でたびたび喫煙していたという理由で、勤続17年の警官を解雇したと発表した。

ジェームズ・ビショップ巡査部長は、先週解雇された。2007年に定められた方針により、同市ではすべての官公庁および公営の建物内部での喫煙が禁止されている。

地元新聞が入手した解雇通知によれば、ハロルド・ドゥニバント署長は、以前から署内で喫煙する部下たちに、懲戒処分の可能性もあると警告していたそうだ。

ドゥニバント署長は、ビショップ巡査部長の喫煙に関しての苦情がやまなかったため、彼を解雇せざるを得なかったと語っている。」


谷直樹
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by medical-law | 2012-04-07 09:40 | タバコ