弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2012年 04月 13日 ( 5 )

産科医療補償制度で損害訴訟率が減少

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医師・医療関係者向けの会員制ポータルサイトMT Proは「産科医療補償制度で損害訴訟率が減少 原因分析委員会委員長・岡井崇氏が明らかに」で,次のとおり伝えています.

「2009年1月に創設された「産科医療補償制度」は,分娩に関連して重度の脳性麻痺が発症した場合,裁判で患者側が勝訴した場合のみ補償されていたそれまでのものとは異なり,医療機関の過失の有無にかかわらず児と家族を補償するという画期的な制度だ。また同制度には,産科医療の質の向上を図る上で必要な原因分析や,再発防止に努める体制も盛り込まれている。4月11日に東京都で開かれた日本産婦人科医会の記者懇談会で,同制度原因分析委員会委員長の岡井崇氏(昭和大学産婦人科学教授)は,同制度の創設以降,補償対象者が実際に損害訴訟請求を起こしたのは7.1%であり,非常に低い件数であったことを明らかにした。」

産科医療補償制度が訴訟を増加させる,という憶測が,根拠のないことが分かります.

谷直樹
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by medical-law | 2012-04-13 18:30 | 医療事故・医療裁判

日本消費者連盟とワクチントーク全国,人権侵害の悪法「新型インフルエンザ特措法」に反対を!

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日本消費者連盟とワクチントーク全国は2012年4月6日,新型インフル特措法案の衆院可決に対する抗議と参議院での否決を求める緊急声明を発表しました.

緊急声明「新型インフル特措法案の衆院可決に対する抗議と参議院で否決を求める緊急声明」は,次のとおり述べています.

「日本消費者連盟とワクチントーク全国は、この法案についての意見募集(新型インフルエンザ対策のための法制のたたき台への意見)を2012年1月31日に提出しています。そのなかで、新型インフルエンザ行動計画について、現状の対策すら過剰であり、これ以上の改訂は不要、むしろ感染症を危機管理とする思想そのものから見直す必要があるとの意見をだしました。また、「危機想定」のもとでの過剰な規制や人権侵害を行わない対策こそ採るべきであること、莫大な公費負担による効果のないワクチンやタミフルの備蓄は中止すべきであることも提言しました。残念ながら、それらの意見は全く無視されました。

日本の2009年の新型インフルエンザ騒動への対応は、世界の専門家の間で無意味だとされていた”水際作戦”を強行し、冷静な議論を抑制し、意味のない停留措置で人権侵害を引き起こしました。医療現場の混乱や莫大な公費を投じた輸入ワクチンの大量余剰など、多くの問題を残しました。そのような、2009年の新型インフルエンザ対策に対する十分な検証と反省がなされないまま、見当はずれの対策と人権侵害のおそれのある本法律の制定は全くナンセンスとしかいいようがありません。

すでに、政府は平成23年度第4次補正予算で91億円ものプレパンデミックインフルエンザワクチンや抗インフルエンザ薬の備蓄を決め、平成24年度の予算としては、新型インフルエンザ対策費として、149億円もの対策費が計上されています。法案の成立後、平成25年度中に、全国民に行き渡る量のワクチンを製造できる体制の確立を目指すことにしているとされています。インフルエンザワクチンが社会防衛としての感染症対策に無効であることはわが国の歴史の示すところであり、個人の重症化予防効果についてすら疑問があります。プレパンデミックワクチンの有効性や副作用についての情報もなく、抗インフルエンザ薬の副作用や新型インフルエンザに対する有効性も明らかといえない状況で、ワクチン等の支出が決められていることには疑問があります。

新型インフルエンザという感染症に対して、検疫のための病院・宿泊施設等の強制使用(29条5項)、臨時医療施設開設のための土地の強制使用(49条2項)、特定物資の収用・保管命令(55条2項及び3項)、医療関係者に対する医療等を行うべきことの指示(31条3項)、指定公共機関に対する総合調整に基づく措置の実施の指示(33条1項)、多数の者が利用する施設の使用制限等の指示(45条3項)、緊急物資等の運送・配送の指示(54条3項)という強制力や強い拘束力を伴う広汎な人権制限が定められていますが、これらは、テロや戦争などの攻撃と同様の侵害事象としてとらえており、人権制限は過剰としかいいようがありません。また、有効性に疑問のあるワクチン等での対策も公費の無駄遣いとなると考えられます。

以上より、特定非営利活動法人日本消費者連盟とワクチントーク全国は、本法案が衆議院で可決されたことに、強く抗議し、「良識の府」であるべき参議院においては否決されることを強く求めます。」


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by medical-law | 2012-04-13 08:44 | 医療

患者誤認を防止するには

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メドピアのポスティング調査によれば,患者誤認の経験が一度もない医師が47%,「年に一度くらいある(複数回経験している)」医師は27%でした.意外に多いです.

誤認を防ぐための対策は,「患者さん自身に名乗ってもらう」「電子カルテに顔写真を張り込む」,
「(電子カルテの場合)複数の患者の画面を同時に表示しない」などだそうです.
高齢者,認知症や難聴の患者さんもいるので,フルネームで呼んでも完全には誤認を防げないので,患者さん自身に名乗ってもらう必要があるそうです.

メドピア「「患者誤認の経験はありますか?」の調査結果について」(2012年4月6日)ご参照

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by medical-law | 2012-04-13 02:08 | 医療

大阪高裁平成24年4月12日判決(関西水俣病認定訴訟逆転敗訴),未認定患者は最高裁へ上告

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大阪高裁平成24年4月12日判決(裁判長,坂本倫城)は,「水俣病で感覚障害のみが表れることは、医学的に実証されていない」として,複数症状の組み合わせを要件とした「52年判断条件」を妥当としました.
判決は,一見,医学的見解を尊重しているかのようにみえますが,複数症状の組み合わせを要件とするのは医学の常識に反します.まちがった判決です.

国は,複数症状の組み合わせを要件とする認定基準を維持し続け,他方で,一時金によるう政治解決(一時金を受け取ると裁判はできません)へ誘導しています.後者の道は7月末まで閉ざされます.
大阪高裁平成24年4月12日判決で敗れた豊中市の未認定患者は,一時金申請ではなく,上告しあくまでも最高裁の判断を求めるとのことです.
今後は,最高裁の目は曇っていないか,最高裁にに正義があるのか,が試されます.

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by medical-law | 2012-04-13 01:53 | 司法

全国自治体病院協議会(全自病),医療基本法を医療従事者の地域偏在などを解消する法律の根拠とすべき

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キャリアブレイン「医療基本法を従事者偏在解消の根拠に- 全自病が提言へ」(2012年4月13日)は,次のとおり報じています.


 「全国自治体病院協議会(全自病、邉見公雄会長)は12日の記者会見で、医療従事者の地域偏在などを解消する法律の根拠法とするため、医療を国民の共有財産と位置付ける「医療基本法」を提言していく方針を明らかにした。

 中島豊爾副会長は、「例えば、総合診療ができるようにするため、研修医を田舎の小さな病院に派遣する法律を作ろうとしても、今はその根拠となる法律がない。そういう個別法を作りやすくするためには基本法があった方がいい」と述べた。また邉見会長は、「医師の地域や診療科間の偏在は、都道府県が(対策を)やれと国は言うが、10年間何も解決していない」と指摘した。

 末永裕之参与は、日本医師会の「医事法関係検討委員会」が医療基本法の草案を作成し、3月に当時の原中勝征会長へ答申したことを引き合いに出し、「医師会の提言は、医師と患者の信頼関係に主体が置かれていたが、病院には、いろいろなメディカルスタッフがいる。医療だけでなく、介護にも影響が出るかもしれない。そういうところまで含めて提言していくべきだ」と述べ、病院団体が同法を提案する必要性を強調した。

 ただ、中には医療行為が制限されるのではないかと懸念し、医療基本法に慎重な役員もいるという。全自病ではまず、同法の内容に関する意見を集約し、“たたき台”の作成を目指す。」


「医療」は,公共的な性格を有し,国民みんなのためのものです.
病院団体にも,ようやく「医療基本法」の必要性がわかってもらえたようです.
こんどの日曜日,4月15日には,患者の声を医療政策に反映させるあり方協議会主催の「医療基本法制定に向けて。今こそ!」が開かれます.

谷直樹
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by medical-law | 2012-04-13 01:21 | 医療