弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2012年 04月 18日 ( 4 )

小宮山厚生労働大臣,薬事法改正案(第三者組織)見送り報道について抗議

b0206085_3463537.jpg◆ 小宮山厚生労働大臣の発言

小宮山厚生労働大臣は,4月17日の記者会見で,次のとおり述べました.


「(記者)
 薬害の第三者機関についてですが、一部報道で今国会での薬事法改正案は…。

(大臣)
 昨日の報道ですね。それは、書いた社には間違っていると私から抗議をいたしました。(国会の)委員会で言ったのは、政府として法案を提出するのは今国会は難しいということを言ったので、今は議員立法の動きがありますので、議員立法としてこの国会に提出されるということは全く否定しているものではありません。事実関係をきちんと報道してほしいということを報道した社には申入れをしています。

(記者)
 そうすると、薬事法の改正案ということで、政府として今国会というのは難しいけれども、議員立法であれば道筋をつけるべくということですか。

(大臣)
 もちろんです。これは、第三者機関については政府として取り組めればいいのですが、いろいろな今までの経緯もありこれは超党派の議員立法でやっていただくことがいいということを私からも議員にそういうお話しをして、今はそこの動きがあるというふうに承知をしています。」


◆ 議員立法の見通しは?

審議会を新設しないとした1999年の内閣決議に,未だに拘束され続けるのは著しく不合理です.実際に例外がいくつもあります.
それなのに,厚労省が,1999年の内閣決議を楯に,医薬品行政を監視する第三者機関の創設に消極的で,薬事法改正案提出を土壇場で見送る,というは,納得できません.

第三者機関は,長妻厚生労働大臣のときからの約束ですし,議員立法での実現の見通しが具体的にあるのであれば話は多少違ってくるかもしれませんが,議員立法の目処がたっていないところで,厚生労働大臣が議員立法でおやりなさい,と述べるのは,無責任と非難されてもやむをえないのはないでしょうか.

谷直樹
ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2012-04-18 18:58 | 医療

名古屋高裁金沢支部平成24年4月18日判決,富山医科薬科大(現富山大)付属病院の感染症事案,患者側勝訴

b0206085_3364916.jpg

名古屋高裁金沢支部が,2012年4月18日,医療過誤事件で富山大学側の控訴を棄却したことが報じられています(チューリップテレビ).
これは,病院が設置した事故調査委員会と裁判所の判断が分かれた事案です.

◆ 事案

患者(女性,当時20歳)は,2004年9月富山医科薬科大(現富山大)付属病院で,大腸全摘出手術を受け,MRSA腸炎による敗血症性ショックで同年12月12日死亡しました.

◆ 争点と判断

病院は,遺族の要請で,医療事故調査委員会を設置し,2005年9月に「明らかな医療過誤があったとは判断できない」との調査結果をまとめました.病院側は,治療薬を投与した12月11日より早くに感染症を疑うのは困難だったなどと争いました.

患者側は,発熱や下痢などの症状があり感染症が十分に疑われるのに担当医が早期に治療薬の投与などの処置を開始する注意義務を怠った,と主張しました.

富山地裁平成23年3月30日判決は,12月4日の時点で患者には発熱や多量の下痢,脱水などの症状があったことから,感染症にかかっていた可能性が高く治療を開始すべきだった,とし,また患者の死亡と担当医の治療の過失とには相当因果関係がある,と認定し,富山大学に約7500万円の賠償を命じました.

富山大学は,平成23年4月11日,名古屋高等裁判所金沢支部に控訴していましたが,結局,このように控訴審も富山大学の主張がいれられず,患者側勝訴となりました.
やはり,発熱や下痢などの症状がある以上感染症を疑うべきで,本件は感染症に対する対応が遅れていたものと考えられるでしょう.

【追記】

最高裁第二小法廷は,富山大学の上告を退けました.


谷直樹
ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2012-04-18 17:54 | 医療事故・医療裁判

livedoorネットリサーチ「勤務中に喫煙で懲戒免職検討、橋下市長の意見に賛成?」

livedoorネットリサーチ「勤務中に喫煙で懲戒免職検討、橋下市長の意見に賛成?」のアンケート結果は,賛成69.3%でした.
賛成コメント,反対コメントは次のとおりです.

◆ 賛成コメント

・一歩間違えたら「大惨事」の原因者を首にするんでしょ? 大賛成です
・喫煙、禁煙を利用者に徹底させる側の人間が自分は喫煙マナー守らないなんて大人として最悪。首が正しいかどうかわわからないが見せしめ的な効果はあると思う
・ボヤ騒ぎがあった後だからねー。大阪市、大阪市交通局・・・駄目なのばかり。
・サボリ。命令無視。常識無。 クビでいいよ。 いなくても仕事は回る。
・この質問では問題点は出てこない、喫煙が原因で非常ベルを鳴らし電車を止め会社に大きな損害を与えた事実が入れば当然クビは一般の会社なら当たり前です。公務員だから許されるはもはやだめでしょう。


◆ 反対コメント

・やはり橋下徹はファシストだ。
・この助役、危機感はないし、まったくふざけすぎているのは、事実。しかし、降格人事でヒラにしたほうが、より反省を促すことになると思うし、組織の活性化につながると思う。
「懲戒免職にしたいぐらいだ」とやっておいて、ヒラ降格人事で良いのでは?裁判になると橋下氏が負けちゃうとも思
うし。

◆ 感想

さすがに懲戒免職は重すぎ,裁判になれば,懲戒解雇は取り消されるでしょう.
橋下氏のやり方が強権的として強く反発され,禁煙運動にマイナスになることが心配です。
ただ,勤務中の喫煙が禁止させているのに,助役が喫煙して火災報知機を作動させて地下鉄を止めたことについて,7割近くの人が懲戒免職で良いと考え,反対コメントも喫煙擁護論ではないことに安心しました.

谷直樹
ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2012-04-18 00:52 | タバコ

日本の女性外科医の65%が将来展望もてず,50%が仕事を辞めるかもしれない

b0206085_4164257.jpg

東京慈恵会医科大学の川瀬和美氏は,第112回日本外科学会定期学術集会で,日本女性外科医会,米国女性外科医会,香港女性外科医会の会員へのインターネットアンケート調査の結果を発表しました.

「自分が10年後現在よりも高い職責にあったり,難しい仕事を行っていると思うか」との質問に,「はい」と回答したのは、日本35%,米国53%,香港87%でした.
それどころか,家事・育児・介護のストレスのための辞職の可能性については,日本50%,米国4%,香港25%が肯定でした.

つまり,日本の女性外科医は,今のままでは,3人に2人が将来に展望をもてず,2人に1人は仕事を辞めるかもしれない,という調査結果です.

アンケート調査には問題を感じている人が回答する,というバイアスがあるかもしれませんが,それにしても,これはゆゆしきことです.女性裁判官で調査をしたら,このような調査結果にはならないはずです.
労働者が性別により差別されることなく,働く女性が母性を尊重されつつ,その能力を十分に発揮できる雇用環境を整備することが求められています.
当然,女性外科医師が働きやすい環境を整え,昇進も平等であるべきです.
医療基本法には,このような両性の平等の観点からの規定も設けるべきでしょう.

3団体骨子案の「2 医療提供体制の充実」は「必要な医療従事者を育成し、診療科や地域による偏在を是正し、医療機関の整備と機能分化・適正配置を進め、十分に連携された切れ目のない医療提供体制を実現する。」というおのですが,その内容の一つに位置づけられると思います.

谷直樹
ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2012-04-18 00:34 | 医療