弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2012年 04月 21日 ( 3 )

「京都・市民・オンブズパースン委員会」,市医への報償費の返還を求める住民訴訟提訴

b0206085_554652.jpg

京都新聞の調査で,京都市の「市医」への公金支出問題が浮上」の続報です.

市民団体「京都・市民・オンブズパースン委員会」(折田泰宏代表)のメンバー4人は,2012年4月20日,京都市が感染症対策のために市医として委嘱した開業医に支払う報償費は、対価の伴わない違法な支出だとして平成23年度分の約400万円の返還などを市に求める住民訴訟を京都地裁に起こしました.

京都市は,新しい感染症が発生した場合の緊急対応や予防接種の医師が不足した場合の応援といった職務への報償費として,市医1人あたり年間計5万6800円を支出したしたが,原告らは,市医が報償費の対価となるような活動をしている実態はない,と主張しています.

msn産経「「市医報償費は違法」 市民団体、返還求め提訴 京都」(2012年4月21日)
ご参照

谷直樹
ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2012-04-21 03:21 | 医療

野田首相が視察し消費税の必要性をアピールした病院で,内視鏡が消毒されていなかったことが分かりました

◆ 野田首相の病院視察

野田首相は,2012年4月7日,兵庫県立柏原病院を視察し,社会保障と税の一体改革が医療の充実につながる,として消費税=安定財源の必要性をアピールしました.

時事通信「小児科医療の現場を視察=「安定財源確保を」-首相」(2012年4月7日)は次のとおり報じています.

「同病院は兵庫県中東部にある中核病院で、小児科医が一時減少したものの、地域の母親の働き掛けで回復させた実績がある。首相は井戸敏三知事や足立確郎病院長らと、医療現場の実態や地域医療の重要性などについて意見を交換。「安定財源を確保しながらやっていかないといけない」と述べ、消費増税の必要性を強調した。
 この後、首相は記者団に「産科や小児科で不安をなくすことが、そこを支える世代には社会保障の恩恵、実感を受けることになる」と語った。」


◆ 消費税と医療

しかし,病院は,仕入れには消費税が乗せられているのに,診療費には消費税を乗せられない,という不合理な扱いで,消費税率を上げると病院経営は悪化します.その分は診療報酬で手当てすると言っていますが,診療報酬本体を上げることは限界があります。消費税の問題は,転嫁できない経済的弱者の負担が重くなることです.
消費税率を上げると,安定財源が確保され(この点も怪しいのですが),医療が充実するというのは,にわかに信じがたい話です.

◆ 内視鏡が洗浄されていなかったこと

同病院では,内視鏡を使用後すぐに洗浄機で30分間洗浄し,うち5分間は消毒液に浸けることになっていました.ところが,4月4日,3台ある洗浄機のうち1台で,消毒液につける設定が0分になっていて,消毒が行われていないことに看護師が気付いた,とのことです.

看護師が消毒ミスに気づいたのは野田首相の視察前です.
病院は,確認等に日時を要したのかもしれませんが,4月20日になって,会見し,消毒ミスを公表発表しました.

足立確郎院長の説明では,消毒なしの洗浄だけでも細菌の大半は除去されるとのことです.今後は機器の設定確認など再発防止策を講じるとのことです.
また,対象者658人に,血液検査を実施し,健康状況を確認するそうです.

◆ 内視鏡の洗浄・消毒に関するガイドライン

日本消化器内視鏡技師会安全管理委員会は,「内視鏡の洗浄・消毒に関するガイドライン(第2版)」を作成しています.
そのガイドラインの「消毒」の項には,次のとおり記載されています.

「使用後の内視鏡を洗浄せずにいきなり消毒を行うと,内視鏡に付着する有機物を凝固させ,その後の洗浄に支障をきたすばかりでなく,逆に病原微生物を保護し,感染の原因をつくる可能性があるので行なってはならない。
 内視鏡の高水準消毒剤としては,現在GAのほかにフタラールや過酢酸が厚生労働省から承認されている。したがって,それぞれの薬剤の使用については有効濃度と期限を守って使用する。しかし,中水準消毒剤のアルコールや塩化ベンザルコニウム,グルコン酸クロルへキシジンなどの低水準消毒剤は効果が期待できないので使用してはならない。
 GAを用いた消毒例では,洗剤を十分に除去した後に,GAの浸漬槽で内視鏡外側とすべての内視鏡チャンネルに2%以上のGAを満たして10分間の浸漬を行う。」

「おわりに」に 「内視鏡の洗浄・消毒は手間の掛かる作業であるが,患者を感染の危険から守る上で非常に重要な業務である。洗浄・消毒のガイドラインが遵守されなければ,内視鏡による検査や治療が成り立たないことを内視鏡医療従事者は自覚すべきである。」と明記されています.
洗浄でも細菌は減少しますが,内視鏡の消毒が行われていなかったことは,重大なことだと思います.

谷直樹
ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2012-04-21 02:57 | 医療事故・医療裁判

総務省「法曹人口の拡大及び法曹養成制度の改革に関する政策評価書」に関する日弁連コメント

b0206085_5474945.jpg
日本弁護士連合会(日弁連)は,2012年4月20日,総務省「法曹人口の拡大及び法曹養成制度の改革に関する政策評価書」に関する日弁連コメントを発表しました.

「本日、総務省より、「法曹人口の拡大及び法曹養成制度の改革に関する政策評価書」が公表された。同評価書についての当連合会のコメントは、以下のとおりである。

本政策評価書は、司法制度改革の下に始められた法曹人口の拡大及び法曹養成制度の改革に関する法務省及び文部科学省の政策を対象としたものであるが、実地調査及び意識調査の実施にあたっては当連合会も調査対象として協力しており、現在の弁護士の実情を一定程度反映したものとなっている。

特に、法曹人口の拡大については、一方で、いわゆるゼロワン地域の解消や国選弁護人契約の増加等、地域的にも、また社会の様々な場面でも法曹の活躍が広がったとしつつ、他方で、司法制度改革審議会意見書が予見したほどの法曹・法的サービスへの需要の拡大や顕在化を確認することはできなかったとした上、司法試験合格者3000人目標未達成による支障は認められず、現状の2000人規模の合格者数でも就職難の発生やOJT不足などの課題が指摘されていると述べて、数値目標の見直しを勧告した。政府機関が法曹人口の政策目標の見直しを勧告した意義は大きい。当連合会も、ほぼ同様の認識の下、本年3月に司法試験合格者数の減員を求める意見を公表したところであり、今後の法曹養成制度、法曹人口に関する議論において本政策評価は十分参照されるべきである。

法科大学院の教育については、社会人の積極的な受入れや理論と実務の架橋を意識した法律実務基礎教育など法曹養成制度改革の理念に沿った取組が見られるとされた一方、教育の質の向上、とりわけ未修者教育の一層の強化を推進すること、成績評価と修了認定の厳格化を一層推進すること、共通的な到達目標モデルを踏まえた到達目標を速やかに策定することなどが勧告されている。これらの点も、概ね当連合会の見解と共通するものである。

法科大学院の入学定員については、各法科大学院における入学定員の適正化が進んだものの、定員充足率が80%を下回った法科大学院が増加したことを受けて、実入学者に見合った更なる入学定員の削減や、さらには、法曹養成制度の理念、地域バランス等も勘案しながら、他の法科大学院との統廃合を検討すること、定員削減にあたっては未修者の確保を配慮することなどが勧告されている。当連合会としても、地域適正配置と学生の多様性確保の観点を踏まえた統廃合と定員削減を提言しており、上記のほか大都市の大規模校についても大幅な定員削減を求めている。

司法試験については、情報提供の更なる推進が指摘される一方、5年以内3回の受験回数制限の見直しについては勧告が見送られた。当連合会は現在の合格率の低迷の下で、当面5年以内5回等への受験回数制限の緩和を緊急提言している。

なお、当連合会は、すでに2011年1月25日付けの「『法科大学院(法曹養成制度)の評価に関する研究会報告書』に対する意見書」で、法曹養成制度の改革に関する政策は法科大学院と司法試験だけでなく、その後の司法修習や資格取得後の研修等の法曹養成過程全体を視野に入れなければ適切な評価はできず、法務省及び文部科学省の施策に対する政策評価では限界があることを指摘していることを付言する。」


※ 法曹人口及び法曹養成制度の改革に関する政策評価<評価の結果及び勧告


谷直樹
ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2012-04-21 00:23 | 弁護士会