弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2012年 04月 22日 ( 2 )

外科系女性医師の意識調査,仕事を続けることに精一杯でキャリア形成まで考えられない

b0206085_6141039.jpg徳島大学外科学の高須千絵氏は,2012年4月19日,日本消化器病学会の特別企画「女性消化器医師のキャリアアップ支援」で,徳島大学外科に所属する医師(女性16人,男性44人)のアンケート調査(無記名)結果を報告しました.
それによると,女性医師の回答は次のとおりです.

職場での上司および同僚ともに女性医師に対する理解があると感じる・・・80%
バックアップ制度の有無、制度の利用しやすさ、制度に対する満足度....60%前後.
男性医師と同等の働きを希望する・・・半数
キャリアの早期形成を求める声・・・25%.
学会・論文発表の免除を求める声・・・25%.

「キャリアの意識の面では、ほぼ全員が臨床経験を積むことを挙げた一方で、学会・論文発表を始めとする業績、学会や大学でのポスト、さらに留学に対する意識は低いという結果だった。
これらの結果から高須氏らは、「女性医師が働き続けることに周囲の理解は十分に深まってきている。今後は、外科を志した情熱を持ち続けられるような環境整備の促進と、女性医師自身の意識改革が必要である」と結論した。その上で、女性外科医師も自ら仕事を続けていく気概を周囲に示すことが求められるとし、特に今の世代がロールモデルとなって次につなげていくことが重要だと結んだ。」


日経メディカル「女性医師の声、仕事を続けることに精一杯でキャリア形成まで考えられない」(2012年4月20日)ご参照

医師の意識,情熱が診療レベルにも影響を及ぼすことが考えられますので,環境整備により,外科系女性医師の意識,情熱が保持されることを期待いたします.

谷直樹
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by medical-law | 2012-04-22 11:06 | 医療

宮崎大学医学部附属病院,無断無許可で臨床研究

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読売新聞「同意得ず44人に鎮痛剤、宮崎大助教 無許可で臨床研究」2012年4月21日)は,次のとおり報じています.
 
「宮崎大は20日、医学部付属病院の麻酔科に所属する40歳代の男性助教が昨年2月から5月、患者44人の手術の際、同意を得ずに鎮痛剤を投与し、効果を調べる臨床研究を行っていたと発表した。鎮痛剤は承認薬で、健康被害は確認されていないという。

 同大によると、助教は20歳代以上の男女44人の手術で脊髄(せきずい)への麻酔を行う際、痛みを和らげるのに使う3種類の鎮痛剤のうち、無作為に選んだ1種類を投与していた。

 患者への臨床研究を行う際は、事前に学内の倫理委員会で承認を受け、患者の同意を得る必要があるが、助教はいずれの手続きも行っていなかったという。昨年11月下旬に匿名の投書があり、発覚した。

 44人のうち、連絡が取れない5人を除いて電話と文書で説明し、了解を得たという。助教は「通常の医療行為の範囲で行っており、臨床研究という認識が不足していた」と話しているという。

 宮崎大は17日付で助教を訓告の懲戒処分にし、麻酔科の教授を文書で厳重注意した。」


臨床研究に関する倫理指針」は,適用範囲について,次のとおり定めています.

「この指針は、社会の理解と協力を得つつ、医療の進歩のために実施される臨床研究を対象とし、これに携わるすべての関係者に遵守を求めるものである。
ただし、次のいずれかに該当するものは、この指針の対象としない。
① 診断及び治療のみを目的とした医療行為
② 他の法令及び指針の適用範囲に含まれる研究
③ 試料等のうち連結不可能匿名化された診療情報(死者に係るものを含む。)のみを用いる研究」」


承認薬を投与する場合でも,診断及び治療を目的とする場合でも,研究目的があれば,適用されます.通常の医療行為の範囲か否かという基準ではないのです.
単に,教授と助教を処分すればよいというものではなく,事実解明と再発防止策の策定が必要と思います.

谷直樹
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by medical-law | 2012-04-22 10:27 | 医療