弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2012年 04月 24日 ( 1 )

小田原市立病院,妊婦の血液型RhマイナスをRhプラスと誤記載,早期出産・次の妊娠難しく

スポニチ「小田原市立病院で妊婦の血液型取り違え」(2012年4月23日)は,次のとおり報じています.

「神奈川県小田原市立病院は23日、妊娠中の30代女性の血液型を取り違え、母子の血液型が合わない場合に必要な処置をしないミスがあったと発表した。病院によると、女性の第2子は貧血症状で早期出産を余儀なくされた上、女性は次の妊娠が難しくなったという。

 女性は2009年に同病院で第1子を出産。その際、女性の血液型はRhマイナスなのに、医師は母子ともRhプラスとカルテなどに誤記載した。Rhマイナスの母親がRhプラスの子を妊娠した場合、次の妊娠時に安全に出産するために血液製剤の投与が必要だが、この処置をしなかった。

 11年8月に第2子の妊娠初期検査で間違いが判明。その後、胎児は母親と血液型が合わないことによる貧血が悪化し、女性は今年1月、予定より10週早く帝王切開で出産した。第2子の症状は出産後、回復したという。

 病院は「再発防止に努めるとともに、女性への損害賠償を進めたい」としている。」


血液型不適合妊娠,とくにRhD血液型不適合妊娠は,よく知られています.RhDマイナスは,200人に1人くらいですので,決して珍しいことではありません.
RhDプラスの胎児の血が胎盤剥離の際などにRhDマイナスの母体に入り抗D抗体ができると,次の妊娠のときに,抗D抗体が胎盤通過性をもち抗体が胎児に移行し,重篤な結果を招来します.それを避けるため,通常,抗Dヒト免疫グロブリンを注射し,予防します.

法律家の間では,札幌地方裁判所昭和57年12月21日判決が有名です.臨床病理センターが報告を誤り,医師が母子手帳にRh(+)と記載し,そのため,第二子が脳性麻痺,第三子が死産となった事案で,5727万円の賠償が認められています.

本件は検査報告は誤っていなかったようなので,担当した20代の女性医師が転記ミスした原因は何だったのでしょうか?
東京新聞「血液型を誤転記、帝王切開 小田原市立病院」(2012年4月24日)によると,小田原市立病院は,妊婦の血液検査を初診や入院時,産後など計四回実施するとともに,医師がカルテには転記せず,検査データを印刷して貼り付けるよう改善したとのことです.

検査データ自体をカルテに貼り付ける病院のほうが多いでしょうが,もし貼り付けていない病院があれば,貼り付けるたほうがよいと思います.
検査結果が誤って報告されることを考えると,検査は複数回実施したほうが安全でしょう.
他院も,この事故の再発防止策を参考にされるとよいと思います.
事故の原因分析と再発防止策を共有出来る仕組みが望まれます.

谷直樹
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by medical-law | 2012-04-24 01:20 | 医療事故・医療裁判