弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2012年 05月 16日 ( 3 )

最高裁,弁護人の人数超過許可請求却下決定に対する抗告棄却決定に対する特別抗告を認め,原決定を取り消す

最高裁判所第三小法廷(裁判長裁判官大橋正春,裁判官田原睦夫, 裁判官岡部喜代子, 裁判官大谷剛彦, 裁判官寺田逸郎)は,平成24年5月10日,弁護人の人数超過許可請求却下決定に対する抗告棄却決定に対する特別抗告を認め,「原決定を取り消す。本件を高松高等裁判所に差し戻す。」との決定を下しました.  
理由は,以下のとおりです.

「本件抗告の趣意は,憲法違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反の主張であって,刑訴法433条の抗告理由に当たらない。
所論に鑑み,職権で判断する。

本件は,会社の代表取締役である申立人が,共犯者らと共謀の上,同社の業務に関し,法人税合計3600万円余りを免れたとされる被疑事実について,刑訴規則27条に基づき,弁護人の数を3人を超えて6人とすることの許可を求める旨の請求がされたところ,原々審がこれを却下する決定をし,申立人の抗告申立てに対し,原審が抗告棄却決定をしたので,特別抗告がされた事案である。

刑訴規則27条1項ただし書に定める特別の事情については,被疑者弁護の意義を踏まえると,事案が複雑で,頻繁な接見の必要性が認められるなど,広範な弁護活動が求められ,3人を超える数の弁護人を選任する必要があり,かつ,それに伴う支障が想定されない場合には,これがあるものと解されるところ,本件においては,税務申告書に架空の減価償却費用を計上するなどして多額の所得を秘匿したという事件につき,犯意,共謀等を争っている複雑な事案であること,申立人は被疑事件につき接見禁止中であり,弁護人による頻繁な接見の必要性があること,会社の従業員,税理士事務所職員ら多数の関係者が存在し,これらの者と弁護人が接触するなどの弁護活動も必要とされることなどの事情が認められ,上記のような支障も想定されないから,刑訴規則27条1項ただし書に定める特別の事情があるものというべきである。

そうすると,原決定は,特別の事情があるとは認められないとして上記請求を却下した原々決定を是認したものであるから,刑訴規則27条1項ただし書の解釈適用を誤った違法があると言わざるを得ない。そして,3人を超えて何人の弁護人を許可するのが相当であるか改めて検討する必要がある。

よって,刑訴法411条1号,434条,426条2項により,原決定を取り消した上,本件を原裁判所に差し戻すこととし,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。」


刑訴規則27条1項は,「被疑者の弁護人の数は、各被疑者について三人を超えることができない。但し、当該被疑事件を取り扱う検察官又は司法警察員の所属の官公署の所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所が特別の事情があるものと認めて許可をした場合は、この限りでない。」と定めています.
本決定は,この「特別の事情」について,最高裁の判断を示したものです.

私は,刑事事件はもう長いこと担当していませんが,至極適切な決定と思います.

谷直樹
ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2012-05-16 02:01 | 司法

日本医師会会長横倉義武氏,民主党に苦言

日本経済新聞「横倉・日医会長、民主に苦言 「経済・政治が不安定」」(2012年5月15日)は,次のとおり報じています.

「日本医師会は15日、横倉義武会長の就任披露会を開き、横倉氏は「今、日本の経済、政治の状況は不安定に見える」と民主党の政権運営に苦言を呈した。民主党寄りとされる原中勝征前会長も「民主党はガタガタしている。国民から見放される」と指摘。出席した民主党の樽床伸二幹事長代行は「これまで同様、厳しく優しくご指導願いたい」と述べた。

 4月の会長選で原中氏を破った横倉氏は「野党にもしっかり対応していく」との立場。医師会の民主離れが進むとの見方もあることから披露会には民主党から小宮山洋子厚生労働相や仙谷由人政調会長代行が出席した。自民党は石原伸晃幹事長らが姿を見せた。」

横倉氏は,現職の原中氏を破って日本医師会の会長に当選しました.(山岸氏が現職の宇都宮氏を破って日本弁護士連合会の会長に当選したのと似ています.)横倉氏は,原中氏と異なり,自民党議員の後援会会長を務めるなど民主党と距離があると言われています.横倉氏でなくても,だれしも,約束を勝手に反古にする,今の民主党政権の政局運営には不満を感じるのではないでしょうか.

谷直樹
ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2012-05-16 01:35 | 医療

公立置賜総合病院,レベル3bの医療事故2件公表

山形新聞「公立置賜病院、医療事故を公表 「予定外治療」相当、11年度2件」(2012年5月15日)は,次のとおり報じています.

 「公立置賜総合病院(川西町、新沢陽英院長)は14日、過失によって予定外の治療が必要となる「レベル3b」相当の医療事故が2011年度に2件あったと公表した。

 同病院によると、昨年5月、新たに導入した人工透析の装置を女性患者(62)に使用した際、透析回路の一部を開放したまま透析を開始したため、血液の一部が回路から流出し血圧が急激に低下。装置を停止させ、輸血などの処置を行い、患者の容態は回復した。

 ことし3月には、膵炎(すいえん)などの治療に使用する溶液を男性患者(67)が左手甲から点滴していた際、溶液の一部が皮下に漏れだした。約1週間後、その部位が直径約2センチにわたり炎症し潰瘍化。現在は同病院の外来で治療を受けている。

 これを受け、▽本年度から人工透析専門の臨床工学技士を配置▽新たに装置を導入した際のチェック法の周知徹底▽皮膚障害を引き起こす薬剤の適正な投与方法や、漏出した場合の迅速なケアの注意喚起-といった改善策を講じた。同病院は医療事故公表基準に基づき、レベル3bに相当する医療事故について単年度分を一括公表している。」


この2件の医療事故は,よくありそうな事故です.
このように医療事故の原因を解明し,再発防止策を講じることが大事です.

谷直樹
ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2012-05-16 01:11 | 医療事故・医療裁判