弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2012年 05月 17日 ( 2 )

医療安全情報No.66,インスリン含量の誤認(第2報)

公益財団法人日本医療機能評価機構は,2012年5月15日,「医療安全情報No.66,インスリン含量の誤認(第2報)」を発表しました.

医療安全情報No.1(2006年12月)発表後も,インスリンの単位を誤認し、過量投与に伴い低血糖をきたした類似事例が8件報告されたため,「インスリン含量の誤認(第2報)」を発表することになったものです.

インスリンは100単位/mLに濃度が統一されており,「1バイアル1000単位(10mL)」です.名称も「○○100単位/mL」となっています.

このことはほとんどの人が知っているはずですが,全員に周知徹底されていなかったようです.
集計期間2006年10月30日~2012年3月31日の8件のうち3件は,経験年数1年未満の医師や看護師によるものとのことです.

紹介された事案は,「看護師A(1年目)は、持続インスリン投与をしていた患者のノボリンRの調製を初めて行った。指示簿には、『ノボリンR注100単位/mL(10mL)40単位+生食40mL』と書かれていた。看護師は、指示簿を見て、ノボリンR注は10mLが100単位だと誤認し、40単位の指示に対して4mL(400単位)を生食と調製し、総量40mLにした。4時間後、患者は声をかけても覚醒せず、低血糖(BS17mg/dL)になっていた。」というものです.

「ノボリンR注100単位/mL」は薬剤の名称で,濃度が100単位/mLであることを示していて,「(10mL)」は1バイアル(1瓶)10mLということで,普通はそれ以外に読みようがないように思います.
しかし,実際に上記のような誤解をした8件もあったわけです.新人が加わる医療現場では,薬剤の知識,薬剤の表記,指示の意味という基本的なことについて,確かに周知徹底をはかる必要があるようです.

谷直樹
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by medical-law | 2012-05-17 09:29 | 医療事故・医療裁判

兵庫県立こども病院,手術中の圧迫による神経障害・運動障害で和解成立の報道を読んで

神戸新聞「医療過誤で賠償金支払い 兵庫県立こども病院」(2012年5月16日)は,次のとおり報じています.
 
兵庫県は16日、県立こども病院(神戸市須磨区)で2年前、手術中に神戸市の男児(6)の脚が固定具からずれ、歩行障害などの後遺症が出たのは医療ミスが原因だったとして、家族側に賠償金約3268万円を支払うことで和解が成立した、と発表した。


 県病院局によると、男児は2010年1月、同病院で11時間に及ぶ腸の手術を受けた際、左脚が固定具からずれ、長時間圧迫されたことで脚に感覚まひや歩行障害などが残った。家族側は11年7月、同病院に損害賠償を求め、代理人の弁護士を通じて協議していた。

 これに対し県は、固定していた脚の確認を怠り、障害を負わせたことを認めた。今月中にも賠償金を支払うという。

 県病院局は「早期円満解決のために和解することにした。今後、より一層安全対策を充実し、再発防止に努める」とコメントした。(井関 徹)」


外科の本には,手術中の圧迫による神経障害・運動障害の予防について書かれていますし,実際,外科医は,手術中の圧迫による神経障害・運動障害が生じないように常に注意をはらっていると思います.
ところが,ときどき,手術自体に集中するあまり,圧迫に気づかないことがあるようで,私の事務所にも,手術中の圧迫による神経障害と思われる事案についての相談が時々ありますので,事故としては結構多いのかもしれません.
ほとんどが裁判前に示談で解決しますが,神経障害・運動障害は患者にとっては大変なことです.対策を徹底していただきたいと思います.

谷直樹
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by medical-law | 2012-05-17 01:11 | 医療事故・医療裁判