弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2012年 06月 21日 ( 2 )

佐賀大学医学部附属病院,抗がん剤を過剰投与する医療事故を公表

佐賀大学医学部附属病院は,平成24年5月に抗がん剤を過剰投与する医療事故があったことを,2012年6月12日,公表しました.

同病院のサイトに掲載された,「本院で発生した医療事故について」によると,「当該医療事故については、院外の専門家を加えた調査検討委員会を設置して、原因を究明するとともに、薬剤投与に関して、医師・薬剤師・看護師によるチェック体制をより強化させ、再発防止に厳格に取り組んで参る所存ですが、この事案を過剰投与回避のための警鐘とするためにも、当該患者さまのプライバシー保護に万全を期し、個人が特定されないよう最大限配慮しながらホームページ上で公表することと致しました。」とのことです.

改善案 として,次の4点をあげています.

「① レジメン登録の徹底
② 緊急時を含む抗がん剤払い出し手順の厳格化
③ ダブルチェック体制の強化
④ 抗がん剤治療計画の共有化」

抗がん剤の過剰投与ケースは,医師が誤った量を指示し,薬剤部がその誤りに気づかず薬を出してしまい,看護師も標準的な投薬量を知らず誤りに気づかなかった,というのが多いようです.本件が,そのようなケースかはわかりませんが,医師だけに注意を求めるのでは事故を防止しきれませんので,薬剤師・看護師と情報を共有化しダブルチェック体制を強化すべきと思います.実りある事故調査を期待いたします.

谷直樹

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by medical-law | 2012-06-21 22:40 | 医療事故・医療裁判

熊本大学医学部附属病院,乳児の足の甲に刺した点滴から電解質液が漏出し親指が壊死した事故発表

読売新聞「生体肝移植中に医療ミス、乳児の足指が壊死」(2012年6月20日)は,次のとおり報じています.

「熊本大付属病院(熊本市)は20日、熊本県内の男の乳児に対して今年2月に行った生体肝移植手術の際、点滴液が血管から体内に漏れ出し、親指の先が壊死する事故があったと発表した。

 猪股裕紀洋病院長は「非常に申し訳ない。補償を含めて誠意を持って対応していきたい」と話している。

 病院長によると、点滴はカルシウムや水分補給などが目的で、右足の甲から行った。10時間を超す手術終了後、スタッフが右足の親指が腫れているのに気づいた。症状は悪化し、約2か月後に第1関節から先が欠落。点滴の薬液に含まれていた塩化カルシウムが、親指の壊死の原因になった可能性があるとみている。

 男児は術後の観察のため入院している。」


乳児の血管は弾力に乏しく圧迫に弱いうえ,本件は足の甲から点滴を行っていますので,漏出のリスクが高かった症例です.カルシウムなどの電解質液は,細胞膜の働きを阻害して皮膚障害をきたすので,漏出に要注意です.
当然事前に血管内に適切に挿入されたか確認しているはずですが,術中も,漏出の危険性を意識して観察し,早めに漏出に気づいてほしかった事案です.

谷直樹

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by medical-law | 2012-06-21 02:05 | 医療事故・医療裁判