弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2012年 06月 28日 ( 2 )

日弁連,「社会保障制度改革推進法案に反対する会長声明」

日本弁護士連合会(日弁連)は,2012年6月25日,「社会保障制度改革推進法案に反対する会長声明」を発表しました.憲法25条に抵触するおそれがある。と指摘しています.

「社会保障制度改革推進法案に反対する会長声明民主党、自由民主党及び公明党が今国会で成立を図ることにつき合意した社会保障制度改革推進法案(以下「推進法案」という。)は、「安定した財源の確保」「受益と負担の均衡」「持続可能な社会保障制度」(1条)の名の下に、国の責任を、「家族相互及び国民相互の助け合いの仕組み」を通じた個人の自立の支援に矮小化するものであり(2条1号)、国による生存権保障及び社会保障制度の理念そのものを否定するに等しく、日本国憲法25条1項及び2項に抵触するおそれがある。

すなわち、推進法案(2条3号)は、「年金、医療及び介護においては、社会保険制度を基本とし、国及び地方公共団体の負担は、社会保険料負担に係る国民の負担の適正化に充てることを基本とする」として、年金・医療・介護の主たる財源を国民が負担する社会保険料に求め、国と地方の負担については補助的・限定的なものと位置付けており、大幅に公費負担の割合を低下させることが懸念される。

また、推進法案(2条4号)は、社会保障給付に要する公費負担の費用は、消費税及び地方消費税の収入を充てるものとするとしているが、財源の確保は、憲法13条、14条、25条、29条などから導かれる応能負担原則の下、所得再分配や資産課税の強化等の担税力のあるところからなされなければならない。

さらに、推進法案(4条)は、新設する社会保障制度改革国民会議の審議を経て社会保障制度改革を具体化する立法措置を講じるものとしているが、社会保障制度改革をめぐる国民的議論は、全国民の代表である国会において、全ての政党・会派が参加し、審議の全過程を国民に公開すべきであり、内閣総理大臣が任命する僅か20名の委員による審議に委ねることは民主主義の観点から不適切である。

最後に、推進法案(附則2条)は、「生活保護制度の見直し」として、不正受給者への厳格な対処、給付水準の適正化など、必要な見直しを実施するとしている。しかし、生活保護受給者の増加は不正受給者の増加によるものではなく、無年金・低年金の高齢者の増加と非正規雇用への置き換えにより不安定就労や低賃金労働が増大したことが主たる要因である。むしろ、本来生活保護が必要な方の2割程度しか生活保護が行き届いていないことこそ問題である。給付水準の見直しについては、最も低い所得階層の消費支出との比較により、保護基準を引き下げることになりかねず、個人の尊厳の観点からも是認できない。

当連合会は、2011年の第54回人権擁護大会において、「希望社会の実現のため、社会保障のグランドデザイン策定を求める決議」を決議した。しかし、推進法案は、上記のとおり、社会保障制度の根本的改悪、削減を目指すものとなっており、当連合会の決議に真っ向から反する法案である。

よって、当連合会は、今国会で推進法案を成立させることに強く反対するものである。」


谷直樹

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by medical-law | 2012-06-28 05:24 | 弁護士会

日弁連,「水俣病救済制度の見直しを求める意見書」を環境大臣,衆参両議長に提出

日本弁護士連合会(日弁連)は,2012年6月21日,「水俣病救済制度の見直しを求める意見書」をまとめ,同年6月27日に環境大臣、衆議院議長及び参議院議長に提出しました.

意見の趣旨は,以下のとりです.

「1 (申請期限の撤回)
環境省は水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法による救済措置の申請期限を平成24年7月31日までとする決定を撤回すべきである。

2 (特措法の改正について)
国は
(1) 水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法7条2項のうち「救済措置の開始後3年以内を目途に」の文言を削除すべきである。
(2) 水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法に「不知火海沿岸全域の住民健康調査の実施」に関する規定を新設すべきである。
(3) 水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法7条1項4号の「補償法に基づく水俣病に係る新規認定等を終了すること」の規定を削除すべきである。

3 (認定基準の改訂について)
環境省は昭和52年環境庁企画調整局環境保健部長通知による症状の組合せを要求する現行の水俣病認定審査基準を改め「症状が感覚障害のみでも居住歴などか,ら総合判断し,メチル水銀の影響によるものであることを否定し得ない場合には水俣病と認定すべきである」とする基準に改訂すべきである。」


谷直樹

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by medical-law | 2012-06-28 05:15 | 弁護士会