弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2012年 07月 02日 ( 1 )

国立成育医療研究センター・京大の「預け金疑惑」

読売新聞「京大から受注2億円超…元教授「お抱え」の会社」(2012年7月1日)は次のとおり報じています.
 

「京都大大学院薬学研究科の××××・元教授(59)が捻出した「預け金」の管理先だった医療機器販売会社(東京都世田谷区)が、元教授の京大着任後に京都オフィスを新設、京大から2億円超の物品調達を受注していたことがわかった。

 研究仲間は「販売会社は元教授のお抱えだった」と話しており、東京地検特捜部は同社が京大から受注するようになった経緯を調べている。

 元教授は2002年5月、国立成育医療研究センター(世田谷区)の部長から京大大学院の教授に就任。すると、センター時代から預け金を管理していた同社も、翌03年7月に京都市左京区にオフィスを構えた。京大から約1キロの住宅街にあり、同社の社長は周囲に「取引していた××さんが京大に移ったので開設した」と話していたという。」


或る医療機器販売会社が,2011年10月民事再生法の適用を申請した際に,国立成育医療研究センターがこの会社に3億8千万円の債権をもっていたことが発覚しました.この3億8千万円が「預け金」ではないか,との疑いが浮上しました.

成育医療研究センター薬剤治療研究部長であった××××氏は,2002年5月,京大大学院の教授に就任し,2010年薬学研究科総合研究棟内の最先端創薬研究センターのセンター長に就任していましたので,東京地検特捜部は,2012年5月,業務上横領の疑いで京大など××氏の関係先を捜索しました。
そして,辻本氏は,2012年6月28日,京大を辞職しました。

公的な助成を受け架空発注を行い「預け金」をプールすることは違法ですが,表沙汰になることは少ないようです.事実の解明を期待いたします.

【追記】

毎日新聞「京大元教授>「預け金」業者と集中取引 研究費流用疑惑」(2012年7月8日)

「京都大学大学院薬学研究科の元男性教授が公的研究費を流用したとされる問題で、元教授による04~11年度の業者との取引状況の全容が分かった。毎日新聞の情報公開請求に京大側が応じた。それによると、元教授は186業者・個人と金銭をやりとりしていたが、取引件数の約4割、金額ベースでは5割以上が、「預け金」をしていたとされる東京都世田谷区の医療機器販売会社に集中。同社と元教授との癒着ぶりが鮮明になった。

 情報公開されたのは、元教授がセンター長を務めていた「最先端創薬研究センター」や研究室など、元教授が研究費を管理できる部署における04年度以降の8年間の取引記録(03年度以前は公開対象外)。契約日、業者名、品目、金額などが記載されている。

 取引記録によると、同センターや研究室は全1万1796件の物品購入のうち約4割に当たる4713件について世田谷区の医療機器販売会社と契約。金額では総額9億7175万円のうち4億9702万円、51%を同社が占めていた。

 大学関係者によると、大半の研究者は癒着を疑われることを避けるため、取引先を分散させているという。京大薬学部の関係者は「問題の会社は消耗品から実験機器まで一手に引き受けており、元教授との関係はかなり特殊。学内では『元教授のお抱え業者』という認識だった」と、元教授と同社との特異な関係を証言した。

 同社は元教授が91~03年に在籍していた「国立成育医療研究センター」(世田谷区)とも取引があった。元教授は同センター在籍当時から、実際には物品が納入されていないのに納入されたと偽って同社に代金を支払い、その支払金をプールさせる「預け金」をしていた疑いがある。



読売新聞「京大元教授の私的旅費、「預け金」管理会社負担」(2012年7月9日)は,次のとおり報じています.
 
「京都大大学院薬学研究科の××××・元教授(59)による公的研究費の「預け金」問題で、元教授が預け先の医療機器販売会社(東京都世田谷区)から、私的な海外旅行の費用など数百万円分を肩代わりしてもらっていたことが、関係者の話でわかった。

 東京地検特捜部は、同社が京大から多額の物品調達を受注していることなどから、肩代わりは受注の謝礼だった疑いがあるとみて捜査している。

 関係者によると、元教授は昨年9~10月に知人ら数人でニューヨークなど米国を約1週間旅行したが、この時の航空券代など旅行費用のうち50万円以上を同社が負担したという。元教授側の旅行費用を同社が肩代わりするケースは以前にも数件あり、負担額は数百万円に上るという。」


読売新聞「京大元教授、収賄容疑で週内にも強制捜査へ」(2012年7月31日)は,次のとおり報じています.

「京都大大学院薬学研究科の××××・元教授(59)が医療機器販売会社(東京都世田谷区)から私的な旅行費用などの肩代わりを受けていた問題で、東京地検特捜部は、肩代わりは同社が京大発注の物品調達を受注するための賄賂と判断、元教授について週内にも収賄容疑で強制捜査に乗り出す方針を固めた。

 賄賂額は300万円を超える見通し。

 同社は、××元教授が2002年に京大教授に着任後、京都オフィスを開設。07~11年に薬学研究科が発注した「次世代型遺伝子情報解析装置」(約8000万円)など大型設備の調達4件(計約2億1300万円)を受注した。

 京大は内規で、高額の設備調達では一般競争入札を実施し、必要な性能を決める「仕様策定委員会」を設置するよう定めている。関係者によると、××元教授は同社が受注した4件全てで委員を務め、入札に関する情報を同社に流していた疑いがあるという。別の医療機器販売会社は取材に「入札公告前に仕様がわかれば、水準を満たす安価な設備を用意でき、入札に有利だ」と証言している。」
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NHK「京大元教授 機器選定に強い権限か」(2012年7月31日) は,次のとおり報じています.

「京都大学大学院の元教授が、大学への物品納入に便宜を図った見返りなどとして、東京の医療機器販売会社に私的な飲食費などを負担させていたとして東京地検特捜部に収賄の疑いで逮捕されました。
関係者によりますと、元教授は機器の選定に強い権限を持っていたということで、特捜部は詳しいいきさつを調べています。

収賄の疑いで逮捕されたのは、人の遺伝子情報を薬の開発に応用する「ゲノム創薬科学」の第一人者で、京都大学大学院薬学研究科の元教授、××××容疑者(59)です。
東京地検特捜部の調べによりますと、××元教授は大学への物品の納入に便宜を図った見返りなどとして、東京の医療機器販売会社の社長、××××容疑者(62)らに私的な海外旅行費や飲食費など、合わせて600万円余りを負担させていたとして、収賄の疑いがもたれています。
関係者によりますと、××社長の会社は10年前に××元教授が東京の国立病院から京都大学大学院に移った時期に京都市に新たに支店を設け、去年までの4年間に、ゲノム創薬の研究用の機器の納入など4件を落札し、合わせて2億円余りの契約を結んだということです。
××元教授は、大学の入札の一部で機器の必要な性能を決める委員会の委員を務めており、特捜部は、辻本元教授がこの分野の第一人者としての発言力の強さや委員の立場を利用して便宜を図ったものとみて、詳しくいきさつを調べています。

「ゲノム創薬科学」の第一人者

××元教授は、平成14年に東京の国立病院から京都大学大学院に移り、薬学部の教授に就任しました。
人の遺伝子情報を薬の開発に応用する「ゲノム創薬科学」の第一人者として知られ、大学では、がんやアルツハイマー病の新薬の開発に取り組む「最先端創薬研究センター」のセンター長も務めました。
研究成果への注目も高く、センターでの研究に対し、平成25年度までの5年間に合わせておよそ13億円の国の助成金が交付されることになっていました。
京都大学の関係者は、辻本元教授について「研究熱心という上からの評価がある反面、研究室での立場が弱い事務スタッフや出入りの業者には威圧的な態度を取ることが頻繁にあった。『プライベートな用件につきあわされて困っている』という業者の話を聞いた」と話しています。」


読売新聞「京大汚職、新幹線回数券なども…賄賂890万に」(2012年8月21日)は,次のとおり報じています.

「京都大の設備調達を巡る汚職事件で、同大学院薬学研究科元教授の××××容疑者(59)が、贈賄側の医療機器販売会社「メド城取」社長の××××容疑者(62)らから新幹線回数券やギフト券(計約247万円分)を受け取っていたことが新たに判明し、東京地検特捜部は21日、辻本容疑者を収賄容疑で、××容疑者ら2人を贈賄容疑で再逮捕した。これで××容疑者が受け取ったとされる賄賂額は約890万円に上った。

 発表によると、××容疑者は同社から、京大発注の物品調達で便宜を図った謝礼などとして、2007年11月~11年9月、10回にわたり計約137万円分の新幹線回数券を受け取ったほか、08年5月~11年8月に同様に計110万円分の旅行ギフト券をもらった疑い。」


谷直樹

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by medical-law | 2012-07-02 00:50 | 医療