弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2012年 07月 18日 ( 3 )

北野病院,無施錠で保管していた筋弛緩剤エスラックス5本を紛失

読売新聞「北野病院、筋弛緩剤を紛失…誤廃棄か」(2012年7月13日)

「大阪市北区の北野病院は13日、成人15人分の致死量に相当する筋弛緩(しかん)剤「エスラックス」5本(250ミリ・グラム)を紛失したと発表した。誤廃棄の可能性が高いとしている。薬事法で毒物に指定され、施錠した場所での保管が定められているが、同病院では無施錠が常態化していた。大阪府警は薬事法違反の疑いもあるとみて管理状況を調べる。

 同病院によると、手術部の保管庫に60本を常備し、使った分を麻酔科の当直医が翌朝補充している。7日朝に不足が判明。調べたところ、普段から保管庫は施錠されておらず、5、6両日の補充の際に在庫数を確認していなかったことがわかった。「第三者の侵入による盗難は考えにくい」という。

 同病院は7日に府警に相談。9日に市保健所に報告し、施錠や在庫管理を徹底するよう指導を受けた。

 藤井信吾病院長は「管理に問題があったのは明らかで、ご心配をおかけしたことをおわびします」と謝罪した。」


なお,筋弛緩剤の紛失は,以下のとおり報道されています.

佐賀大学医学部付属病院で平成22年12月(但し公表は平成23年6月)に1本
独立行政法人国立病院機構名古屋医療センターで平成23年1月に10本
独立行政法人国立病院機構千葉医療センターで平成23年9月に1本
愛知厚生連海南病院で平成23年9月に1本
有田市立病院で平成23年9月に10本
浜松医療センターで平成23年9月に1本
NTT東日本札幌病院で平成23年12月に2本
社会福祉法人恩賜財団済生会熊本病院で平成23年12月に3本
市立室蘭総合病院で平成24年3月に1本
地方独立行政法人福岡市立病院機構福岡市立こども病院・感染症センターで平成24年7月に1本
公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院で平成24年7月に5本

他の病院の報道に接したとき,自院は大丈夫か,と点検しないのでしょうか?

【追記】

MSN産経「保管庫のカギしていなかった!筋弛緩剤紛失、病院麻酔部長を書類送検 大阪府警」(2013年4月5日)は,次のとおり報じました.

 
「大阪市北区の北野病院が昨年7月、保管していた筋弛緩剤「エスラックス」5本(計250ミリグラム)を紛失した問題で、保管庫を施錠していなかったとして、大阪府警曽根崎署が薬事法違反容疑で、管理責任者の麻酔部長だった男性医師(54)と、法人としての同病院を書類送検していたことが4日、分かった。

 同署によると、エスラックスは薬事法で毒薬に指定され、貯蔵時の施錠が義務づけられている。

 送検容疑は昨年7月4~7日、手術準備室にある保管庫で筋弛緩剤を保管する際に施錠しなかったとしている。医師は「頻繁に使うので施錠していなかった」と供述、無施錠が常態化していたとみられる。

 同病院によると、保管庫には60本を常備。医師は昨年7月4日夜に60本あることを確認したが、翌5日と6日は全体の本数を確認せず、7日になって5本足りないことに気づいた。紛失した筋弛緩剤は成人15人分の致死量に相当。病院側は「誤廃棄の可能性が高い」と説明していた。」


谷直樹

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by medical-law | 2012-07-18 17:49 | 医療

市民大学「医療講座 死生学入門」

先週末から3日間,福岡に行っていました.NPO法人患者の権利オンブズマン,九州・山口医療問題研究会と医療事故防止・患者安全推進学会が,市民大学「医療講座 死生学入門」を開くと,久保井摂先生から聞きましたので,ご紹介いたします.

第1回 2012年10月27日(土)波多江伸子さん(死生学研究者、作家)

第2回 2012年12月1日(土)二ノ坂保喜さん(にのさかクリニック院長)

第3回 2013年2月23日(土)谷田憲俊さん(前山口大学医学部教授)

<会場> 第1回・第2回:天神チクモクビル(福岡市中央区天神3-10-27),第3回:天神ビル(福岡市中央区天神2-12-1)
<参加費> 500円(資料代含む)
<連絡先> NPO法人患者の権利オンブズマン事務局(電話092-643-7579  FAX092-643-7578)

谷直樹

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by medical-law | 2012-07-18 00:41 | 医療

高知新聞社説「【延命治療】タブー視することなく」

2007年の「救急医学会の終末期医療に関する指針(ガイドライン)」に基づき,2年間で延命治療を中止が3件,延命治療の差し控えが14件,あることが報告されました.
これをうけて,高知新聞社説「【延命治療】タブー視することなく」(2012年7月17日)は,次のとおり,述べています.

「今回報告された全34件のうち、延命治療の中止は3件あったが、うち「呼吸器外し」は1件にとどまっている。
 特に救急患者の場合、患者本人の意思が分からないことが多く、家族は心の準備もできないまま、重い決断を迫られることになる。
 報告書の対応で14件と最も多かったのが「心肺停止などの状態になっても蘇生措置を実施しない」といった延命治療の差し控えだ。たとえ回復の見込みがないと分かっても、患者の死に直結する行為には強い抵抗がある―。混乱の中で厳しい現実を受け入れていった家族の葛藤の過程が想像できよう。
 臓器移植とともに、医療の選択肢が増えた現在、いざその時になって決断を迫られる機会が増えている。患者の生前の意思が不明な場合、残された家族が重い負担を背負うことになる。
 自分自身の納得のいく「最期」と家族の負担を軽減するためにも、家族が互いの意思を伝え合うことがこれからますます求められていくに違いない。
 これまでタブー視されがちだった延命治療を、国民的な議論に広げていくには、延命治療の意思決定までのプロセスについての情報ができるだけオープンにされることが望ましい。
 データが限られているだけに、今回、実際の対応が不明だったケースが9件あったことは惜しまれる。報告の意義の大きさについての現場の認識を高めていくことも必要だろう。」


谷直樹

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by medical-law | 2012-07-18 00:33 | 医療