弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2012年 07月 26日 ( 4 )

福岡県のガーゼ残置事故,大阪地裁で和解(報道)

毎日新聞「医療事故:体内にガーゼ28年間 旧県立柳川病院、胆のう手術で置き忘れ 男性と県、和解が成立 /福岡」(2012年7月26日)は,次のとおり報じています.
 
県は25日、旧県立柳川病院(07年に民間移譲)で82年に手術した男性患者の体内にガーゼを置き忘れたとみられる医療事故があり、男性側に250万円を支払うことで和解が成立したと発表した。ガーゼは28年経過した10年8月に摘出され、男性側が県に損害賠償を求めて昨年10月、大阪地裁に訴えていた。

 県によると、カルテなど証拠書類はないものの、当時の病院関係者の証言から、ガーゼは現在50代の男性が同病院で胆のう結石手術を受けた際に置き忘れた可能性が高いという。男性は01年ごろから腰や背中の痛みを訴え、在住する大阪府の病院で検査し、胃の付近に異物があるとして10年に手術。その結果、直径約6センチの固まりになっていたガーゼが摘出された。

 県側は「時効ではないか」と争ったが、裁判所の勧告を受け和解に応じた。県医療指導課は「男性には大変申し訳なく思っている」としている。【林田雅浩】」


1982年に手術した際に残置されたガーゼが,2010年に取り出されたわけで,2001年頃から腰や背中の痛みを訴えていても,それがガーゼ残置に起因するものとはわからなかったのです.時効を主張すべき事案ではありません.
このガーゼが旧県立柳川病院での1982年の手術の際に置き忘れた高度の蓋然性が認定できるなら,福岡県の責任を認めることができます.

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2012-07-26 19:27 | 医療事故・医療裁判

川崎市,病院名確認のマニュアル守られず,病院間違え救急搬送遅れる

東京新聞「病院間違え救急搬送遅れ 宮前消防署 男性重体」(2012年7月26日 10時)は,次のとおり報じています.

「神奈川県川崎市は二十五日、宮前消防署の救急隊が、脳出血の無職男性(70)の患者の搬送先を誤り、本来運ぶべき病院へ搬送し直すミスがあったと発表した。患者は意識不明の重体で集中治療室(ICU)で現在治療中。同市によると、搬送先の病院長から「搬送の遅れで病状が大きく変化したことはない」との説明を受けたとしているが、今後、医師らでつくる「市メディカルコントロール協議会」で搬送ミスの影響を検証するという。

 宮前消防署の庄司茂署長らによると、一一九番通報を受けた救急隊は二十四日午後七時四十分ごろ、男性の自宅に到着。酸素投与などをした上、午後八時ごろ、隊長(37)が車載の携帯電話で搬送先の病院を探し、連絡を取って受け入れの了解を取った。ところが、十五分後に到着した横浜市内のA病院で「連絡を受けていない」と聞かされてミスに気付き、約十分かけて本来搬送するべきB病院に向かったという。

 隊長がA病院に連絡を取ったと思い込んでいた電話は、実は名前の一部が類似するB病院とつながっていた。発信履歴を使って電話をかけた際、ボタンを押し間違えたとみられる。A病院とB病院は三キロメートルしか離れていなかった。治療のための準備など時間がかかるため、B病院に搬送し直した方が早く治療に取りかかれると判断したという。

 同署では三年前にも携帯で連絡先を間違える搬送ミスがあり、再発を防ぐため、電話口で必ず病院名を再確認し、複数の隊員が電話の発信履歴をチェックするとのマニュアルをつくっていたが、生かせなかった。同署は、隊長らの厳正な処分を検討するという。庄司署長は「基本行動を怠り、搬送が遅れた。男性と家族には大変申し訳ないことをしました」と頭を下げた。」


救急の搬送間違い事故がときどき報道されています.
ほとんどが確認ミスで,確認するだけで防止できる事故なのです.
川崎市で確認が行われなかったのはおそらく今回だけではないかもしれませんし,そもそも確認ミスは川崎市だけではないのかもしれません.
今回のことを教訓として,マニュアル遵守の重要性を再確認いただくことを願います.

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2012-07-26 19:04 | 医療事故・医療裁判

医療問題弁護団・35周年記念シンポジウム

b0206085_105873.jpg

すこし先の話ですが,ご紹介いたします.充実した内容になりそうです.

医療問題弁護団・35周年記念シンポジウム
「医療事故対策の現状と課題~医療問題弁護団の政策形成への関わり~」


日時:2012年10月20日(土)14:00~17:00(開場13:30)
場所:中大駿河台記念館2階 281号室
   JR御茶ノ水駅下車徒歩3分
参加費:無料

第1部:弁護団からの報告「医療事故対策の現状と課題」14:00~
① 医療事故調査(院内事故調査・第三者機関)
② 医療被害救済・紛争解決制度(無過失補償、ADR、訴訟)
③ 行政処分・刑事責任

第2部:パネルディスカッション「事故調創設に向けて何が必要か」15:00~
<パネリスト>
川田綾子 氏(医療事故被害者遺族)
矢作直樹 氏(東京大学医学部救急医学分野教授。同附属病院救急部・集中治療部部長)


鳥集 徹 氏(ジャーナリスト)
甲斐克則 氏(早稲田大学大学院法務研究科教授。刑法・医事法学者)
宮澤 潤 氏(弁護士。全日本病院協会顧問)
細川大輔 氏(弁護士。医療問題弁護団副幹事長)
<コーディネーター>
木下正一郎氏(弁護士。医療問題弁護団副幹事長)

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2012-07-26 09:51 | 医療事故・医療裁判

『病院ほっとライン』

鳥飼総合法律事務所は,企業法務の事務所というイメージが強い中規模の法律事務所(代表弁護士のほかにパートナー弁護士が11人)ですが,そのサイトに『病院ほっとライン』がのっていました.

「『病院ほっとライン』は、事業承継から医療訴訟、不正請求、院内でのセクハラ・パワハラなどの様々な法律問題に対する相談を気軽にできる、医療機関向け会員制簡易法律相談サービスです。」(鳥飼総合法律事務所)

これをみると,事業承継のみならず,病院側での医療訴訟にも対応するようです.
これまでは,医療機関側で医療訴訟を担当する法律事務所はほぼ決まっていたのですが(東京では,新星総合法律事務所,小西貞行法律事務所,仁邦法律事務所,平沼高明法律事務所,西内・加々美法律事務所,虎ノ門南法律事務所,シリウス総合法律事務所,棚瀬法律事務所,木ノ元総合法律事務所など),弁護士が増えて仕事が減っているため,中規模あるいは大規模の法律事務所も医療機関側で医療訴訟を担当するようになってくるのかもしれません.
病院の意向,医師の意向,保険会社の意向が必ずしも一致しないことがあるので,その場合どのように対処するのかで,新規参入事務所の真価が問われることになるでしょう.

谷直樹
ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2012-07-26 01:03 | 司法