弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2012年 09月 11日 ( 3 )

骨病変治療薬「ランマーク」投与患者での重篤な低カルシウム血症に関する注意喚起について

本日,厚労省のサイトに「骨病変治療薬「ランマーク」投与患者での重篤な低カルシウム血症に関する注意喚起について」が掲載されました.

「○ 「ランマーク」(別添1参照)は、多発性骨髄腫による骨病変及び骨転移を有する固形癌の骨病変の進展を抑える薬剤で、破骨細胞の活性化を抑制することで、骨からカルシウムが溶け出すことを抑制する作用があり、低カルシウム血症を起こすおそれがあることが知られている。
○ 7月10日に、「使用上の注意」を改訂し、重篤な低カルシウム血症が発現することについて注意喚起を行ってきたが、その後、関連性の否定できない低カルシウム血症による死亡例が2例、厚生労働省に報告されている。
○ 患者の安全確保のため、
 1. 投与前及び投与後頻回に血清カルシウムを測定すること。
 2. 充分量のカルシウム及びビタミンDを合わせて服用すること。
 3. 重度の腎機能障害者では、低カルシウム血症を起こすおそれが高いため、本剤を慎重に投与すること。
 4. 低カルシウム血症が認められた場合には、速やかに適切な処置を行うこと。
が重要である。
○ また、本剤投与中の患者にあっては、高カルシウム血症の場合を除き、医師の指示に従ってカルシウム及びビタミンDを合わせて服用し、手足のふるえ、しびれ等の症状がある場合には直ちに医師に連絡することが重要である。
○ このため、別添2のとおり、「使用上の注意」の改訂を行うとともに、医薬関係者等に対して、別添3により、速やかに情報提供するよう、製造販売業者に対して指示した。」


デノスマブ(商品名ランマーク皮下注120mg)は,今年4月の発売後,重い副作用が32人にみられ,2人が死亡した薬剤です.


谷直樹

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by medical-law | 2012-09-11 20:55 | 医療

福岡県医師会,診療所などに死因調査を支援するチームを派遣

西日本新聞「患者の死因究明に調査班 福岡県医師会「遺族の疑問に対応」(2012年9月11日)は,次のとおり報じています.

「手術やお産など医療を受けている過程で亡くなった人の死因を究明するために、福岡県医師会は診療所(医院)などを対象に、院内における死因調査を支援するチームの派遣に乗り出した。福岡県では2007年から死因を究明する第三者機関が活動しているが、診療所単独での利用はなかった。診療所は医師が少なく院内調査が十分できないなどの事情があるとみられ、県医師会は「死因に疑問を持つ家族に誠実に応え、もしミスがあった場合は再発防止につなげたい」という。

 医療現場での患者の死は、病気や体調の急変によるものか、医師のミスによるものなのか判断が難しいことがあり、いつまでも気持ちの整理がつかない遺族もいる。

 第三者による死因究明は厚生労働省の補助事業として05年に始まり、現在は日本法医学会など19学会でつくる日本医療安全調査機構が全国10地域で行っている。九州では福岡県で07年、佐賀県で11年9月に始まった。

 患者の死について疑問があれば、医療機関が遺族の同意を得て機構に調査を依頼。法医学者や専門医が立ち会って解剖し、死因についての報告書をまとめて遺族と医療機関に説明している。医療ミスと判断されれば医師法に基づき警察に通報するなどの措置を取る。

 機構によると、今年8月末までの調査依頼は全国で180件。ほとんどが病院からで、診療所からは5件。福岡県では全9件のうち診療所からの依頼はなかった。

 診療所からの依頼が少ない背景には、機構に頼むにはまず院内に調査委員会をつくり、その結果を添付しなければならないことがある。

 診療所とは、無床または19床以下の小規模な医療機関をいう。医師が1人だけの所も多く、人的な余裕がない上に「自分で自分の調査をすることは客観性に無理がある」(福岡県医師会)というわけだ。

 こんな実情を念頭に県医師会は、基幹病院の医師や看護師など7~8人の支援チームをつくり、診療所などに派遣することにした。聞き取りや資料収集のほか遺族対応もサポートし、機構への調査依頼を促す。

 まずは、医師不足が指摘され訴訟も多い産科の支援を急ぐ方針。県内の産科医院には会報などで周知し、制度を活用するための研修会を開く。上野道雄常任理事は「事故の再発や紛争の長期化を防ぎ、医療者側も患者側も納得できる仕組みを目指したい」と話す。

 死因を調査してほしい遺族は、原則として診療所や病院を通して申し込む。」


福岡県医師会の取り組みは評価できます.他県の医師会にも検討いただきたいですね.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-11 19:21 | 医療事故・医療裁判

医薬品行政を監視評価する第三者組織が必要です

政府が約束した「医薬品行政を監視評価する第三者組織」は,約束反故により,今国会に,政府提出の法案が提出されず,代わりに(?)後退した民主党案が提出されましたが実質審議に入ることなく継続審議となりました.
薬害肝炎全国原告団代表の山口美智子氏は,国会会期末,熊本日々新聞に「医薬品行政を監視評価する第三者組織の創設を求めて」を投稿しました.古賀克重先生のブログから転載させていただきます.
                         
 「今や、政党が機能しない国会へと突入した。9月8日までの貴重な会期を残して、早くも国会は、政策を放り出し党利党略がうず巻いている。国民の生活に影響を与える多くの法案がたなざらしにされたままでは、国民にとっては何の益もなく、不幸なことである。

 薬害肝炎原告団に加わってこの10年、私は国会の党利党略を幾度も目撃し、政治に翻弄されながらも国会に足を運び続けた。そして、「保身より国民の命・生活を!政局より政策を!」と、面談したあらゆる議員に言ってきた。

 2008年1月、私たちは国との基本合意を締結した。薬害肝炎訴訟和解後も「未来に生きる子ども達を薬害の被害者や加害者にするわけにはいかない」と、ずっと声をあげ続けている。『薬害根絶』は薬害肝炎訴訟の目的であり、「命の尊さを再認識し、薬害ないし医薬品による健康被害の再発防止に最善、最大の努力を行うことを改めて確約する」と誓った国との基本合意をないがしろにさせるわけにはいかないからだ。また、基本合意に基づく「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」において、2年間(23回)の審議を経て、最終提言がまとめられた。その中で、薬害再発防止のために活動する独立性・専門性・機動性を備えた医薬品行政を監視評価する第三者組織の創設が必要であると示されている。

 歴代の厚労相は、国と私たちとの基本合意に基づく大臣協議において、今国会に第三者組織を創設するための法案を提出すると約束してきた。2010年の長妻大臣は「平成24年の通常国会法案を提出できるように制度設計などについて詰めていきたい」と、2011年の細川大臣は「来年の通常国会への改正法案提出を行い、正式な第三者組織の設置を確実に進めていく」と。そして、小宮山大臣は、昨年10月の私たちとの面談の場で「歴代大臣がこれまでみなさんと約束してきた点について、守っていきたい」と弁明した。ところが、今年の通常国会中に「大臣としては提出できない」と、安易に私たちとの約束を反故にしたのである。

 8月3日の大臣協議では、国民の生活と健康を守る厚生労働相の大臣自らが閣法として、薬事法改正法案を提出することに意義があることを訴えたが、小宮山大臣は「このような政局だから議員立法しかない」と、官僚の意向をそのままに流暢な説明で終始した。

 そして、29日に、民主党は単独で議員立法「医薬品等行政評価・監視委員会設置法案」を衆議院厚労委員会に唐突に提出したのだ。私たち薬害被害者の意見を聞くこともなく、薬害被害者の望まない内容の骨抜き法案であった。そこには、これまでの薬害事件に対する国の反省と再発防止の決意を表す記載がなく、政権与党としての主体的な解決意思や意欲も全く見えない。単なる選挙対策の法案提出に過ぎないからであろう。

 それでも、私たちは、最終提言に沿った第三者組織の創設を、政府提出法案により実現するよう訴えなければならない。繰り返される薬害を根絶するために、第三者組織の創設は国民にとっては無くてはならないものだということを痛感してこその使命でもある。
 私たち国民の信頼できる薬事行政に向かわせるために、超党派で尽力する僅かな議員を見つけに、党利党略がうず巻く国会に行こう(熊本日々新聞・投稿)。」



日刊薬業「衆院厚労委  第三者組織設置法案、委員長権限で継続審査に」(2012年9月9日)は,次のとおり報じています.

 「今国会が8日に閉会することに伴い、国会に設置されている各委員会は7日、提出済みの法案を次期国会で継続審査(閉会中審査)するための手続きを取った。
衆院厚生労働委員会では、民主党が単独で提出した議員立法の「医薬品等行政評価・監視委員会設置法案」について継続審査の採決があり、自民党を含む全野党が反対。賛否同数の結果を受けて、池田元久委員長(民主)が委員長権限で継続を決めた。同法案に対する野党の反対姿勢が鮮明になった。
 委員会の議事は出席委員の過半数で決まる。同法案の継続審査については22人対22人の賛否同数だった。可否同数のときは委員長判断で議事の可否を決められることが国会法50条で定められており、この規定が生きた。
 同法案は、委員10人以内で構成する第三者組織の「医薬品等行政評価・監視委員会」を厚生労働省内に置き、医薬品や医療機器の安全性確保に関係する施策の実施状況を評価・監視するなどの内容。長妻昭・厚生労働部門会議座長などが民主単独の議員立法として8月29日に衆院に提出したが、審議入りはかなわなかった。」


民主党議員の後退した「医薬品等行政評価・監視委員会設置法案」に,全野党が反対し,委員長権限でかろうじて継続審議となったということなのです.

監視される側は望まない法律かもしれませんが,薬害を繰り返さないために,医薬品行政を監視評価する第三者組織が絶対に必要です.

谷直樹

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by medical-law | 2012-09-11 05:33 | 医療