弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2012年 10月 03日 ( 3 )

日本医師会,平成24年12月22日「医療基本法(仮称)制定に関するシンポジウム」開催

日本医師会は,平成24年12月22日(土)14時00分~16時30分,日本医師会館大講堂で,一般公募および医師会関係者を対象に「医療基本法(仮称)制定に関するシンポジウム」を開催するとのことです.
医療基本法制定への動きも加速してきました.

開催趣旨
医療に関する基本法を制定すべきとする議論は、日本医師会が昭和43年に公表した「医療基本法第一草案」および平成24年3月にとりまとめられた医事法関係検討委員会報告書においても一貫して述べられている。
同様の議論は、近時、患者の権利法制定をめざす市民団体や、医療政策に関する研究グループ等からも相次いで示され、これに関するシンポジウムも各所で開催されているが、医療提供者側からの情報発信は未だ十分とは言えない。
本シンポジウムは、このように議論が活発になりつつある医療基本法制定に関する問題について、日本医師会の主催のもとに、国会議員や政策担当者も交えて意見交換し、医療提供者と患者の信頼関係を強固なものとする医療基本法の制定をめざすものである。

〈第一部>
開会挨拶 横倉会長
報 告
・小西洋之(参議院議員・医療基本法議連)
・大井利夫(日本病院会顧問・医事法関係検討委員会副委員長)
・伊藤雅治(全国社会保険協会連合会理事長・患者の声を医療政策に反映させるあり方協議会副代表世話人)
・田中秀一(読売新聞東京本社論説委員)

〈第二部>
指定発言
・古川俊治(参議院議員)
・厚生労働省担当者(依頼中)
総合討論 
総括 羽生田副会長
進行 ・鈴木勝彦(静岡県医師会長・医事法関係検討委員会委員長)・今村定臣常任理事



なお,その1か月ほどまえの11月10日には,
医療基本法シンポジウム「患者も医療者も幸せになれる医療をめざして」
が開かれます。
こちらの基調講演は,今村定臣さんと鈴木利廣さんです.

実行委員会には福岡県医師会、福岡県保険医協会、福岡県歯科保険医協会、医療過誤原告の会、患者納得の会INCA、医療の良心を守る市民の会、大阪HIV薬害訴訟原告団、東京HIV訴訟弁護団、薬害オンブズパースン会議、医療問題弁護団、NPO法人患者の権利オンブズマン、医療事故防止・患者安全推進学会、患者の権利オンブズマン東京等が名を連ねています。

日時 2012年11月10日14時~17時
場所 ガスホール(福岡市博多区千代1-17-1パピヨン24ビル3F)

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-03 23:34 | 医療

甲府地裁平成24年10月2日判決,山梨赤十字病院内にあるリハビリ施設介護職員の自殺で因果関係肯定(報道)

読売新聞「日赤に7000万円賠償命令…介護職員自殺」(2012年10月3日)は,次のとおり報じています.

 「介護職員だった男性(当時43歳)が自殺したのは、勤務先の施設を運営する山梨赤十字病院(富士河口湖町船津)が注意義務を怠ったことが原因だとして、県内に住む男性の妻ら遺族が同病院を運営する日本赤十字社(東京都港区)を相手取り、約8895万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が2日、甲府地裁であった。

 林正宏裁判長は「時間外労働の減少に向けた適切な指示をせずに漫然と放置していた」として病院側の責任を認定し、約6991万円を支払うよう命じた。

 判決によると、男性は2005年8月から、山梨赤十字病院内にあるリハビリ施設「あかまつ」に勤務していた。施設の責任者に就任したことに伴って業務量が増加し、07年4月頃からうつ病の症状が出始め、同月24日、施設内の浴室で首をつって自殺した。男性の自殺については09年12月、都留労働基準監督署が労災認定した。

 判決は男性の時間外労働について、自殺するまでの6か月間の1か月平均は99時間30分、自殺直前の1か月に限れば166時間を超えていたと認定。「施設の責任者に就任することで、男性の業務量は過重なものであった」とし、「業務と自殺に因果関係を認めることができる」と判断した。

 さらに、病院側はタイムカードで男性の勤務状況を把握できたにもかかわらず、タイムカードの確認をせず、「労働者の心身の健康に配慮し、適切な業務遂行をなし得るような十分な支援態勢を整える注意義務を怠った」と指摘した。

 遺族側は、男性の妻に対して約4447万円の支払いを求めていたが、判決は「遺族補償年金などを受給し、損害が補填(ほてん)されている」として約2544万円を支払うよう命じたため、支払い命令の総額は請求を下回った。

 山梨赤十字病院の今野述(のぶる)院長は「判決の中身を詳細に検討した上で今後の対応を考える」とのコメントを発表した。」


本来,人の生命と健康のためにある施設が,その職員の生命と健康に注意をはらわなかったのは,義務違反にあたり,予見可能性は肯定できるでしょうし,上記の時間外労働時間を考えれば,自殺と因果関係有りとの認定は適切と思います.
なお,遺族基礎年金,遺族厚生年金は,逸失利益に限って,損益相殺の対象になります.他の財産的損害,精神的損害との関係では控除できません(最高裁平成11年10月22日判決,判例時報1692巻50号).


【追記】

毎日新聞「山梨赤十字病院の職員自殺:過労認定 赤十字社が控訴 賠償命令判決に不服」(2012年10月18日)は,次のとおり報じました.

「山梨赤十字病院(富士河口湖町)の職員の男性(当時43歳)が自殺したのは過労によるうつ病が原因として日本赤十字社(東京)に約7000万円の賠償を命じた甲府地裁判決について、日本赤十字社は17日までに判決を不服として控訴した。

 控訴は16日付。甲府地裁は今月2日の判決で、男性が亡くなる前1カ月の時間外労働は166時間余りに上ると認定。病院側の対応を「心身の健康に配慮し、支援する注意義務を怠った」などと指摘していた。控訴について山梨赤十字病院は取材に「コメントを差し控える」とした。【片平知宏】」


【再追記】

NNN「梨赤十字病院の過労自殺訴訟が和解」(2013年4月26日) は,次のとおり報じました.

「富士河口湖町の病院で職員が自殺したのはうつ病が原因だとして、遺族が病院側に損害賠償を求めた裁判が26日、東京高裁で和解が成立した。
 裁判は山梨赤十字病院に勤務していた職員が2007年、病院内で自殺し、遺族が病院を運営する日本赤十字社を相手取りおよそ8900万円の損害賠償を求めていた。去年10月、甲府地裁は過労自殺と認め6990万円の支払いを命じたが、病院側が判決を不服として控訴していた。
 病院の今野述院長は「高裁の前向きな提案を受け入れた。ご冥福をお祈りしたい」とコメントしている。」



谷直樹

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by medical-law | 2012-10-03 20:19 | 医療事故・医療裁判

富士宮市立病院,医師が誤って膀胱の一部を切除した事案で和解(報道)

毎日新聞「医療過誤訴訟:富士宮市が和解金 2500万円で合意 /静岡」(2012年10月3日)は,次のとおり報じています.
  
「09年8月に富士宮市立病院で患者だった当時1歳3カ月の男児がぼうこうの一部を切り取られる医療過誤があり、同市は2日、男児と母親が静岡地裁沼津支部に起こしている約4800万円の損害賠償訴訟について、市側が2500万円の和解金を支払うことで合意に達したことを明らかにした。この日和解金を盛り込んだ補正予算案を市議会9月定例会に追加提出した。

 原告側代理人などによると、同病院で09年8月、同市内に住む男児がそけいヘルニアの手術を受けた際、男性医師(40代)が誤ってぼうこうの一部を切り取った。現在男児は4歳で、後遺症が残っているという。【西嶋正信】」


原告が富士宮市に住み,被告が富士宮市ですから,管轄は本来静岡地方裁判所富士支部になるのですが,富士支部は民事裁判担当1名,刑事裁判担当1名の支部ですので,合議事件は静岡地方裁判所沼津支部で審理されます.医療事件は複雑でので裁判官3名の合議で審理されることが多いです.本件が,静岡地方裁判所沼津支部で審理されたのは,医療事件だったからでしょう.
医師がヘルニア手術で腸と誤って膀胱の一部を切除したのは,かなり明白なミスと思います.富士宮市は,どのような主張をして争ったのでしょうか.

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-03 18:45 | 医療事故・医療裁判