弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2012年 10月 06日 ( 3 )

医療法人北斗会さわ病院,看護師が認知症患者を布団で頭を巻き込む,死亡との因果関係調査(報道)

毎日新聞「認知症患者:病院で窒息死 看護師「布団で巻き込んだ」」(2012年10月4日)は,次のとおり報じています.

「大阪府豊中市の医療法人「北斗会さわ病院」で9月、認知症の入院患者の男性(当時79歳)が死亡しているのが見つかり、男性看護師(33)が病院の調査に、「声を上げたので投薬し、うつぶせにして布団で頭を巻き込んだ」と説明していることが分かった。府警豊中署によると、司法解剖の結果、直接の死因は、食べ物などが気道に入って起こる誤嚥(ごえん)による窒息の疑いだった。同署は業務上過失致死容疑も視野に、布団での巻き込みと誤嚥との因果関係などを慎重に調べている。

 同病院は4日、「死亡との因果関係は不明だが、布団で頭を巻き込んだ行為は不適切だった」として、この男性看護師を解雇した。投薬したのは睡眠導入剤で、この行為は適切だったとしている。

 同署や同病院によると、死亡したのは、無職の田江(たごう)利一郎さん。9月22日午後10時ごろ、この看護師が巡回した際、騒がしくしていた。約40分後に別の看護師が巡回した時、病室のベッドで布団にくるまった状態で死亡しているのが見つかった。外傷はなかった。同病院は同月25日に内部調査委員会を設置していた。

 府医事看護課によると、同病院の診療科目は内科、精神科など。精神科の病床数は455床。」


因果関係の有無はともかく,布団で頭を巻き込むのは患者虐待です.
この看護師は,どこで,どのようにして,騒ぐ患者には布団巻きという対処法(?)を知ったのでしょうか.この看護師に対する病院の選任監督に問題はなかったのでしょうか.

【追記】

共同通信「入院患者殺人容疑で元看護師逮捕 大阪、布団で巻き込む」(2013年2月20日)は次のとおりじました.
 
「大阪府豊中市の医療法人北斗会「さわ病院」で昨年9月、認知症の入院患者が死亡しているのが見つかった事件で、大阪府警は20日、殺人容疑で元看護師××××容疑者(34)=東京都国立市=を逮捕した。

 逮捕容疑は昨年9月22日午後10時ごろ、入院患者の男性=当時(79)=をベッド上でうつぶせにした上、上半身に布団を巻き付けるなどの暴行を加えて放置し、窒息により殺害した疑い。

 豊中署によると、巡回中の別の看護師が死亡しているのを発見、110番していた。死因は食べ物などが気道に入って起こる誤嚥による窒息の可能性がある。」


過失ではなく,殺人の故意があったとすれば,話はだいぶ違ってきます.

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-06 19:54 | 医療事故・医療裁判

すみだ水族館

事務局Hです.

知り合いが建設に関わっていたことと,水族館が大好きなので,ずっと前から行ってみたいと思っていたすみだ水族館に,念願叶って行ってきました.

館内に一歩入ると水族館とは思えないスタイリッシュな空間で,
中はさほど広くもなく,動物の種類も決して多い方ではないのですが,
小さい水槽をいくつも置いていたり,水槽の向こう側に研究室の中が見え,研究員の方が記録を付けているところが見られたりと,今までにない雰囲気の水族館でした.

b0206085_972339.jpg


写真は,チンアナゴとニシキアナゴです.
決して全身を出さずにゆらゆらと水中を漂ってるのですが,
お食事の時間に餌を求めてうっかり全身を出してしまい,慌てて穴を掘って戻ろうとするそそっかしい子もいて,とても微笑ましかったです.

すみだ水族館内では,クロスワードパズルを解いて正解すると景品がもらえる催しをやっていたのですが,
入り口で解答用紙を配られるなり,頭のいい友人が,「答え,普通に考えて○○○じゃない?」と言ってしまったため,
道中は,
「タテの6は,××だよ!」
「さすが!あとちょっとで正解分かるね!正解何かな~.」
などと,白々しい会話を交わしながらのクロスワードパズルでした.
結局ちゃんと正解し,景品をいただいて,大満足のすみだ水族館めぐりでした.

飼育員の方が積極的に客とコミュニケーションをとって,生き物について知ってもらおうとする姿勢を感じました.
また,お食事や,体重測定の様子など,色々と見られるので,小さいお子さんにいいなと思いました.

谷直樹法律事務所 事務局H

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by medical-law | 2012-10-06 09:07 | 趣味

市立奈良病院,インターフェロン療法の副作用による自殺事案,1500万円で和解(報道)

読売新聞「インターフェロン療法後自殺 市立奈良病院側と遺族和解」(2012年10月6日)は,次のとおり報じています.
 
「奈良市の市立奈良病院で、インターフェロン療法によるC型肝炎の治療を受けたあと自殺した市内の男性会社員(当時27歳)の両親が、「うつ症状の副作用に関する説明を怠った」などとして、病院を運営する地域医療振興協会(東京)と主治医に6900万円の損害賠償を求めた訴訟が、地裁(一谷好文裁判長)で和解していたことがわかった。

 和解は昨年12月14日付。協会が両親に1500万円を支払い、協会と主治医が同療法で、こうした副作用に注意して治療に努めることなどが条件。」


医療過誤に基づく損害賠償は,①注意義務違反(過失),②因果関係,③損害の3要件がそろってはじめて認められます.

医師は,インターフェロン療法の副作用(抑うつ症状等)について説明する義務がありますし,副作用に注意して治療に努める義務があります.本件は,おそらく,注意義務違反については認められる事案だったのでしょう.
注意義務違反が認定できても,さらに,医師が副作用(抑うつ症状等)について説明していれば,患者はインターフェロン療法義務を選択しなかった,医師が副作用に注意して治療に努めていたら,自殺の徴候を発見できインターフェロン療法を中止し自殺を防止できた,という因果関係の認定が必要です.
そして,最後に,注意義務違反と相当因果関係のある損害を認定する必要があります.
請求認容判決には,①注意義務違反(過失),②因果関係,③損害の3要件について厳密な証明が必要です.

これに対し,裁判上の和解は,厳密な証明を要せず,或る程度の心証に基づき中間的解決が可能です.
本件において,協会が両親に1500万円を支払い,協会と主治医が今後インターフェロンのこうした副作用に注意して治療に努める,という和解は,裁判所の心証に基づき成立したものと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-06 08:16 | 医療事故・医療裁判