弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2012年 10月 28日 ( 1 )

日本脳炎ワクチン,2人の死亡前に,重い副作用104人,後遺症少なくとも8人が報告されていた(報道)

日本消費者連盟とワクチントーク全国は,2012年10月19日,日本脳炎ワクチン投与後の2例の死亡例が報告されている以上,即刻中止して徹底的に原因究明すべきとして,厚生労働大臣宛に要請書を提出しました.
その要請の趣旨は,以下のとおりです.

「1 乾燥組織培養日本脳炎ワクチンの接種を中断し、日本脳炎の今回の死亡事故の原因を徹底究明すること。ほかの事例がないかを緊急に調査すること。

2 乾燥組織培養日本脳炎ワクチンは、承認時「Vero細胞を用いて製造されるはじめての医薬品であるので、重篤な副反応に関するデータの収集及び評価を行うこと」と貴省のQ&Aに書いてあります。接種開始後の予防接種の副作用について詳細に公表すること

3 日本脳炎ワクチン接種に必要性について、広く市民の意見を聴く場を設け、乾燥組織培養日本脳炎ワクチンの定期接種や勧奨を中止すること」


日本脳炎は,人から人には感染しない病気で,媒介するコガタアカイエカにさされて,抵抗力のない人に発生する疾患です.

要請書は,「2000年に国立感染症研究所が同ワクチンに接種者、非接種者を対象に行った抗体保有率調査では、9歳から20代前半の接種者では90パーセントを超える抗体、非接種者でも80パーセント弱の抗体を保有しており、自然感染で抗体を獲得して発症していません。その後、必ずしも自然感染獲得の抗体価が高くないので、ワクチン接種が必要であるとの論文が発表されていますが、一般的に、日本人と日本脳炎という病気には共生関係ができていると言え、ワクチン接種の必要性には疑問があります。」と必要性に疑問を投げかけていました.

危険性について,要請書は,「09年1月に阪大微研製の「ジェービック」が承認され6月より接種開始されました。承認時に提出された「審査報告書」やその後の追加報告でも、新ワクチンは量が少なくてもアレルギー反応による髄膜刺激症状や大脳機能の変調をきたす危険性が危惧されていました。」と指摘しています.

要請書は,予防接種後副反応報告書では2010年度(22年度)148件(そのうち脳炎・脳症3件、けいれん12件、運動障害3件、その他の神経障害4件),薬事法上の副作用報告では承認時より2010年1月5日までに21件(そのうちADEM1件、小脳性運動失調1件、けいれん4件、顔面神経麻痺1件など神経系障害7件)が報告されている,と指摘しました.

この時点では,上記の程度の情報しか公開されていなかったためです.

東京新聞「日本脳炎ワクチン 重い副作用104人 未回復、後遺症も」(2012年10月28日)は,次のとおり報じました..

「現行の日本脳炎ワクチン接種が始まった二〇〇九年六月から今年六月までに、医療機関の情報を基にした製薬企業から、百四人が接種後にけいれんや脳炎など重い副作用を起こしていたと報告されていたことが厚生労働省などへの取材で分かった。 

 今月十七日に岐阜県美濃市で男児(10)が接種後に急死したことを受け、厚労省は三十一日に「日本脳炎に関する小委員会」を開催。美濃市の男児と七月に死亡した子どもの経緯を公表し、副作用の事例も説明する。

 百四人の内訳は十歳未満が九十一人、十代が十二人、二十代が一人。症状は延べ百九十八件。このうち最多は発熱の四十一件で、「熱性けいれん」と「けいれん」がともに十五件、嘔吐(おうと)が十二件、急性散在性脳脊髄炎が十件など。過剰なアレルギー反応を示す「アナフィラキシー反応」と「アナフィラキシーショック」は計五件。回復していなかったり後遺症がある患者は少なくとも八人いる。

 薬事法は製薬企業に対し、医療機関から副作用が疑われる症例を知った時は、医薬品医療機器総合機構への報告を義務付けている。厚労省も医療機関などへ市町村を通じた報告を求めているが、法的義務はない。

 日本脳炎ワクチンの定期接種では、〇四年に女子中学生が急性散在性脳脊髄炎にかかり、厚労省は「接種との因果関係が否定できない」として翌年に「積極的な勧奨」を控えた。〇九年六月からは、マウスの脳を利用して作られた旧ワクチンに代わり、動物の脳が使われず副作用が少ないとされる乾燥ワクチンが使われている。

◆情報発信を迅速に

 厚労省で予防接種に関する委員を務める国立成育医療研究センター・加藤達夫名誉総長(小児科)の話 市町村を通じて医療機関や被害者から厚労省に報告される内容は、毎年十二月に前年度一年分を一度にチェックする仕組みになっており、緊急な検討ができない。厚労省に直接的に連絡でき、年に三、四回の頻度で検証する体制をつくり、迅速に詳しい情報を発信する必要がある。」


2人の死亡前に,重い副作用104人,後遺症少なくとも8人という事実が知らされていなかったことは,大きな問題です.この情報に基づき検討評価が行われていれば,2人の死亡は防止できたかもしれなかったのです.

日本脳炎ワクチンがもともと必要性に乏しい,必要性が疑問視されているワクチンであることからすれば,たとえわずかの副作用でもあれば接種の積極勧奨は止めるべきでしょうし,少なくとも,選択のために,日本脳炎ワクチンを接種するリスクと接種しないリスクを具体的な数字で知らせるべきでしょう.
また,現行システムは,日本脳炎ワクチンの安全性・危険性を即時に検討評価するものではないので,改める必要がある,と考えます.

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-28 14:19 | 医療事故・医療裁判