弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2012年 11月 11日 ( 3 )

厚生労働省研究班報告,事故調査には院外の専門家の派遣が必要と指摘

毎日新聞「医療事故:3割の病院で重大事故 厚労省調査」(2012年11月11日)は,次のとおり報じています.

全国の病院の約3割が、患者が死亡したり、重い後遺症が残ったりする重大な医療事故を3年以内に経験したことが、厚生労働省研究班の調査で分かった。しかし、原因を究明する組織に外部の人材が参加したのは半数以下だった。研究班は「原因究明には、中立性の確保が欠かせない。調査に必要な人材を病院側に紹介する支援体制づくりが求められる」と指摘する。アンケートは昨年9月に、3890病院を対象に実施、1261病院(32.4%)から回答があった。

 3年以内に重大事故を経験した病院は32.9%。規模別にみると、300床以上で63.6%▽100〜299床29.4%▽99床以下で11.9%だった。規模が大きいほど割合が高いのは、患者10+件が多く、高度な医療を行う機会が多いためとみられる。

 ほぼすべての病院が原因究明に取り組んだが、うち、法律家など外部の専門家の支援を受けたのは47.7%だった。原因究明で困ったことでは▽院内に事故調査の専門家がいない▽当事者以外に、事故に関連した医療分野の専門家がいない▽院外の専門家の支援を得ることが困難−−の順に多かった。【八田浩輔】」


院内の事故調査委員会の限界が浮き彫りになったと思います.
厚生労働省研究班の報告は,第三者の院外の専門家が必要で,院外の専門家の派遣体制が必要,と指摘しています.
そもそも,中立公正な事故調査のためには,院外の中立的な第三者専門家によるもの(院外の事故調査委員会)が不可欠と思います.

谷直樹

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by medical-law | 2012-11-11 11:22 | 医療事故・医療裁判

練馬区の歯科診療所の元医院長の歯科医師が業務上横領の容疑で逮捕される(報道)

MSN産経「「手取り収入が15万円…」 歯科医師逮捕 診療報酬100万円着服容疑」(2012年11月9日) は,次のとおり報じています.
 
「診療報酬約100万円を着服したとして、警視庁光が丘署は、業務上横領の疑いで、東京都板橋区南常盤台、歯科医師、××××容疑者(58)を逮捕した。同署によると、「手取り収入が15万円ほどしかなく、家族への仕送りや生活費のためだった」などと容疑を認めている。

 逮捕容疑は、練馬区の歯科診療所で医院長として勤務していた昨年8~9月、計2回にわたり、60代の女性患者に行ったインプラント治療の診療報酬計約100万円を着服したとしている。歯科助手に指示して治療したことをカルテに記載させなかったという。

 内部調査で不正が判明し、診療所が同年12月、光が丘署に告訴していた。

 ××容疑者は平成17年にも、当時開業していた医院で診療報酬の不正請求を行ったとして、厚生労働省から医業停止1カ月の行政処分を受けていた。」


歯科診療所の医院長なので,窃盗の容疑ではなく,業務上横領の容疑となります.
類似の事件が医師でも報道されています.

MSN産経「守山市民病院 副院長が不正会計12回 滋賀」(2012年11月1日)は,次のとおり報じました.

 「■親族診察、カルテに記載せず

 守山市民病院(同市守山)は31日、副院長(58)が親族の男性患者(78)を診察した際に、診療内容をカルテに記載せず、診療報酬を算定しない不正な会計処理を12回繰り返していたと発表した。請求漏れとなった診療報酬は約60万円に上るという。

 同病院によると、副院長は請求漏れを認めたうえで、「診療報酬に対しての認識が甘かったのと、事務部門への請求指示に不備があった」としたが、「親族に便宜を図ったわけではない」と話しているという。

 診療報酬は通常、診察した医師がカルテに診療内容を記載して算定。患者が負担割合に応じた診察料金を支払い、病院側が残りを保険請求する。

 同病院によると、この男性患者は酸素ボンベを利用した在宅療法を受けていた。副院長は昨年2月から今年8月までに12回にわたり、男性患者にボンベの使用法を指導するなどの診察を行った際、カルテに診察内容を記載せず、診療報酬を算定しなかった。

 このため、男性患者は約28万円分の診察料金の支払いを免れるとともに、病院側は約32万円分の保険請求ができなかった。ほかの医師もこの男性患者を診察していたが、副院長が診察したケースでだけ請求漏れがあった。」


つまり,インプラント治療の診療報酬計約100万円を請求し着服した疑いで58歳の歯科医師は逮捕されましたが,親族に診察料金を請求しなかった58歳の医師は逮捕されませんでした.

なお,歯科医師が診察内容をカルテに記載しなかったことは,歯科医師法23条違反となり50万円以下の罰金に処せられます(歯科医師法31条の2 1号).
医師が診察内容をカルテに記載しなかったことは,医師法24条違反となり50万円以下の罰金に処せられます(医師法33条の2 1号).
もちろん,検察がそれぞれ歯科医師法23条違反,医師法24条違反を立件する気があれば,ですが.

谷直樹

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by medical-law | 2012-11-11 01:41 | 医療

旧国立水戸病院(現国立病院機構水戸医療センター,医療用ガーゼ19年間放置,公表せず(報道)

日本経済新聞「鼻にガーゼ、19年間放置 水戸医療センター」 (2012年11月10日)は,次のとおり報じています.

「茨城県の旧国立水戸病院(現国立病院機構水戸医療センター、500床)で手術を受けた男性患者の鼻の奥に、医療用ガーゼが19年間にわたり放置されていたことが10日、情報公開請求で開示された医療事故報告書と病院関係者への取材で分かった。

 当時のカルテなどは既に残っておらず、手術の詳しい経緯、その後の状況は不明。病院側は、個別の医療事故について「コメントできない」としている。同センターは2004年に現在の名称となった。

 病院関係者や医療事故報告書によると、男性患者は1991年、旧国立水戸病院で鼻などの手術を受けた。10年1月、強い痛みを感じて別の病院で検査し、ガーゼの一部が見つかった。

 同センターでは08年からの5年間で51件の医療事故があり、10年1月には60代の男性が胃の一部を切除する手術で腹部にガーゼが残され、数日後に摘出手術を受けていたことも判明。いずれも患者が死亡する医療事故ではないとして、公表していなかった。

 同センターは30近い診療科を持つ総合病院で、県知事から「地域医療支援病院」の承認を受けている。

 医療事故に詳しい柴田義朗弁護士(愛知県弁護士会)は「全国的にガーゼの取り残し事案は多く、手術の際に枚数の確認やエックス線に写るものを使うなどの対策が必要だ」と話している」


患者が死亡しなくても,5医療事故である以上は,公表すべきでしょう.
平均年約10件の医療事故が減らすためには,医療事故をオープンにし原因を分析と再発防止策を講じることが必要でしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2012-11-11 00:41 | 医療事故・医療裁判