弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2012年 11月 19日 ( 1 )

大阪大学医学部附属病院,B型肝炎キャリアの悪性リンパ腫患者へのリツキシマブ投与で提訴される(報道)

大阪大学医学部附属病院が,悪性リンパ腫患者にリツキシマブを投与し,B型肝炎キャリアである患者が肝不全で死亡した事案で提訴されました.

MSN産経「抗がん剤でB型肝炎悪化、遺族が1億円賠償提訴」(2012年11月19日)は,次のとおり報じています.
 
「大阪大学付属病院(大阪府吹田市)で悪性リンパ腫の治療を受けていた男性(当時70歳)が死亡したのは、抗がん剤「リツキシマブ」の副作用でB型肝炎ウイルスが増えたのに、病院が必要な措置を怠ったためだとして、男性の遺族が19日、同大学に約1億円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした。

 訴状によると、男性は悪性リンパ腫と診断されて2009年11月に入院し、リツキシマブの投与を受け、5度目の入院中だった11年11月、肝不全で死亡した。入院直後の血液検査で男性がB型肝炎ウイルスの持続感染者と判明していた。

 遺族側は、10年6月の血液検査でウイルスが増えていたのに、病院はリツキシマブの投与中止や抗ウイルス剤の併用などをせず、注意義務を怠った、と主張。月1回のウイルス検査を求めた厚生労働省の指針も守らなかった、としている。

 リツキシマブについては、同省が06年、投与後にB型肝炎が悪化して死亡した例があると発表し、医療機関などに注意喚起するよう製薬会社を指導していた。

 提訴後、記者会見した男性の長女(42)は「悪性リンパ腫は快方に向かっていた。病院の怠慢で命が失われたようなものだ」と話した。

 同病院は「訴状の確認ができておらず、コメントを差し控える」としている。」


リツキサンの添付文書には,
「B型肝炎ウイルスキャリアの患者で、本剤の治療期間中又は治療終了後に、劇症肝炎又は肝炎の増悪、肝不全による死亡例が報告されている」(「警告」欄),
「B型肝炎ウイルスキャリアの患者で、本剤の投与により、劇症肝炎又は肝炎が増悪することがあるので、本剤の治療期間中及び治療終了後は継続して肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合は投与を中止し、直ちに抗ウイルス剤を投与するなど適切な処置を行うこと。なお、投与開始前にHBs抗原陰性の患者において、B型肝炎ウイルスによる劇症肝炎を発症し、死亡に至った症例が報告されている 」 (「重要な基本的注意」欄)
「B型肝炎ウイルスによる劇症肝炎、肝炎の増悪  (頻度不明 注)) B型肝炎ウイルスによる劇症肝炎又は肝炎の増悪による肝不全があらわれることがあるので、肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど患者の状態を十分に観察すること」(「重大な副作用」欄)
と記載されています.

谷直樹

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by medical-law | 2012-11-19 23:57 | 医療事故・医療裁判