弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2012年 11月 23日 ( 4 )

「臨界水」と名付けた蒸留水に漢方薬を調合し注射した鍼灸師を医師法違反で逮捕(報道)

NNNニュース「漢方薬を混ぜた水注射、鍼灸師を逮捕 大阪」(2012年11月23日)は,次のとおり報じました.

「大阪市天王寺区で医師の免許がないにもかかわらず、漢方薬を混ぜた水をがんの女性ら2人に注射したとして、医師法違反の疑いで鍼灸師の××××容疑者(61)が逮捕された。××容疑者は「臨界水」と名付けた蒸留水に漢方薬を調合し「全ての病気に効く」とうたって患者を集めていたとみられる。××容疑者の弟子とされる鍼灸師の△△△△被告も同様の医療行為を行ったとして、すでに逮捕されている。調べで××容疑者は「医師がいないときは私がやっていた」と容疑を認めている。」

医師法違反のみならず,薬事法違反も考えられるでしょう.
ちなみに,△△△△被告の逮捕時の報道msn産経「臨界水」!? 治療と称し水を注射 大阪府警、鍼灸師を逮捕 「早く回復してほしいと…」(2012年9月27日)は次のとおりです.

 
「無資格で治療と称し水を注射するなど医療行為をしたとして、大阪府警生活環境課などは27日、医師法違反(非医師の医業)の疑いで奈良県大和高田市日之出東本町、鍼灸(しんきゅう)師で自称医療研究所所長、△△△△容疑者(38)を逮捕した。△△容疑者は容疑を認めているが、「早く回復してほしいと思い注射した」と供述しているという。

 府警によると、△△容疑者は大阪市天王寺区に「臨床免疫代替医療研究所」を開設。「免疫力が高まり、全ての病気に効く」などとして「臨界水」と称する水を注射していた。臨界水は蒸留水とみられ、府警は薬事法違反の疑いもあるとみて捜査している。

 逮捕容疑は平成23年9月14日~今年9月8日、医師でないのに広島県の女性(42)ら3人の首などに水を注射するなどしたとしている。20年4月から約300人が同研究所で診察を受けたとみられ、府警は他にも注射された人がいなかったか調べている。

 今年7月、広島県の男性から「乳がんを患った妻が治療を受けていたが亡くなった」と大阪府警天王寺署に相談があった。」


谷直樹

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by medical-law | 2012-11-23 21:24 | 医療事故・医療裁判

中津川市民病院,胃ろう手術とカテーテル交換の際に医療ミス,和解(報道)

毎日新聞「医療過誤:中津川市民病院、225万円支払い和解 患者に胃ろう手術、カテーテル交換ミス /岐阜」(2012年11月23日)は,次のとおり報じました.

「中津川市は22日、市民病院で行われた同市内の女性患者(当時86歳)に対する胃ろう手術と、その後のカテーテル(管)交換の際にミスがあったとして、女性の次男に賠償金約225万円を支払うことで和解したと発表した。

 女性は認知症のため市民病院に入院。消化器系の治療を受けていた。09年9月9日に消化器内科の男性医師(32)が、腹部を切開し胃にカテーテルを通して栄養分を補給する胃ろう手術を行った。翌年3月26日、カテーテルの交換を行った直後、下痢の症状が起きたため同6月18日に内視鏡検査を実施。胃ろう手術の際に誤って結腸を貫いていたことや、カテーテル交換時に先端が胃に届いていなかったことなどが判明した。

 女性は退院して自宅療養をしていたが、今年2月に死亡している。【小林哲夫】」

岐阜新聞「中津川市民病院、手術ミスで和解 225万円賠償」2012年11月23日)は,次のとおり報じました.
 
「中津川市は22日、市民病院(浅野良夫院長)で2009年9月に市内の女性患者=当時(86)=に胃ろうを造設する手術をした際、大腸の主要部分の結腸を貫通させる医療過誤があったとして、遺族に約225万円の損害賠償を支払うことで11月16日に和解した、と発表した。女性は今年2月に恵那市内の病院で死亡したが、医療過誤との因果関係はないとしている。

 病院によると、消化器内科の男性医師=当時(32)=が手術を担当。10年3月に胃ろうカテーテルを取り換えたところ、女性に下痢の症状が出た。症状が改善されないために同年6月に内視鏡検査を行うと、胃ろうが横行結腸を貫いて造られていることが分かったという。下痢は取り換えたカテーテルの先端が胃に届かずに横行結腸にとどまったため、起きたとしている。男性医師は現在、他の病院に勤務している。

 病院は「(今後は)確実に胃ろうが入っているか確認したい」としている。」


本件は,医師が誤って胃ろうを横行結腸を貫いて造ったこと,看護師が誤ってカテーテルの先端が胃に届かなかったことの二重の医療ミスの事案です.
医療ミスがあっても,賠償責任は,因果関係のある範囲に限られます.

谷直樹

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by medical-law | 2012-11-23 20:52 | 医療事故・医療裁判

SFC,ライフクラウドの時代がやってくる

慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)の「SFC Open Research Forum 2012」で,パネルディスカッション「ライフクラウドの時代がやってくる~個人の健康情報を利用する情報社会基盤〜」がありました.

個人が,医療機関におけるカルテ等のEHR(Electronic Health Record)と,医療機関以外のPHR(Personal Health Record)を管理する「マイカルテ構想」がテーマです.
患者自身が自分の医療情報,健康情報にアプローチできるようになると,患者が自分の健康状態,病状を正しく理解でき,より健康に気をつけ,また医療者との意思疎通の円滑になると思います.ただ,個人情報保護についての環境整備も必要ですし,患者の同意なく行政・医療機関を含め第三者が利用することを制限する法整備も必要でしょう.

伏見学氏が「医療情報は誰のもの?」で,パネルディスカッションでの発言を,以下のとおり,紹介しています.

◆ 坪田一男氏(慶應義塾大学医学部教授)の発言

「医療情報は原則としてその人自身のもの。しかしながら、それらの情報は病院や医療機関に存在する。本来ならばこうした状況はおかしいはずだ」
「医療情報が本人のものになり、簡単に情報へアクセスでき、経時的にデータを保管するような環境の整備が必要だ」
「現在の医療情報は病気の診断に用いられる結果情報からのアプローチに過ぎない。ヘルス情報を定常的に取得し、健康状態を把握することは予防医療の観点で重要だ」


◆ 黒岩祐治氏(神奈川県知事)の発言

「マイカルテ、すなわち、ICT(情報通信技術)を用いた診療情報の利活用によって、効率的な医療が行われているかどうかの検証が可能になる。高齢者はさまざまな病気を抱えていて、それぞれ治療方法が異なる。今までの診療情報がないと薬を選ぶ際にも無駄が生じ、個人の負担額が膨らんでいくばかりだ」

◆ 堀部政男氏(一橋大学名誉教授)の発言

「個人情報保護とデータ活用の両立が課題となっている。実現に向けて、法的整備や環境整備が必要になってくる」
「医療情報の活用を考えたとき、地方自治体は今まで個人情報保護について審議会や審査会で対応していたが、今後は第三者機関が対応していくべきだ。個人や医療関係者が自由にデータを利用できる上で第三者機関の役割は大きい」



谷直樹

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by medical-law | 2012-11-23 06:06 | 医療

東京慈恵会医科大学附属柏病院,医師がコンビニで患者個人情報が入ったUSBメモリを置き忘れる

東京慈恵会医科大学附属柏病院は,平成24年11月21日,「患者情報の紛失に関するお詫び」をサイトに掲載しました.

「平成24年11月4日、当院の医師が柏市内のコンビニエンスストアで、USBメモリが入ったケースを置き忘れ、他の客に持ち去られた事実が判明致しました。
USBメモリには、16名分の患者様の情報が記録されておりますが、パスワードでロックされており、内容を閲覧することはできません。
該当患者様に対し説明と謝罪を順次行っておりますが、現在、情報が不正に利用されたとの連絡はありません。
本件につきましては、遺失物横領で柏警察署に被害届を出し、11月12日付で柏市保健所に報告いたしました。
このような事態を招き、誠に申し訳ございません。深くお詫び申し上げます。
柏病院では、全教職員に対し、個人情報の取扱いに関する注意喚起を定期的に行っておりますが、再度その適切な取扱いについての教育を徹底し、再発防止により一層努めてまいります。」


毎日新聞「個人情報:医師が患者情報メモリーを紛失−−東京慈恵医大付属柏病院」(2012年11月22日)のほうが詳細です.

「同院によると、勤務を終え、帰宅途中の医師が4日午前1時ごろに立ち寄ったコンビニで、USB、私物のパソコンが入ったケースをレジの前の台に置き忘れた。紛失に気付き翌日コンビニで確認したところ、医師の後に来た男が持ち去っていたことが防犯カメラの映像でわかった。柏署で遺失物横領の疑いで捜査している。

 USBには、カルテから写した患者の氏名、病名、治療経過が記録されているが、8ケタのパスワードが設定されている。USBの院外への持ち出しは、病院職員の規定で原則禁止されている。医師は、自宅で患者の治療経過をチェックするために持ち出したという。【橋本利昭】」


注意喚起だけで再発防止は本当に可能でしょうか.

アメリカでは,個人情報の紛失事故は高額の民事賠償責任を生じます.
USBメモリへコピーすると自動的に暗号化されるソフトを導入するなど,具体的な再発防止策が必要と思います.

◆ 昨年6月以降の個人電磁情報の紛失事故

2011年 6月
慶應義塾大学病院スポーツ医学総合センター
北海道大学病院

2011年7月
医療法人 柏堤会(財団) 戸塚共立第1病院
藤田保健衛生大学病院
昭和大学歯科病院

2011年8月
筑波メディカルセンター病院

2011年9月
千葉県精神科医療センター
鹿児島大学病院

2011年10月
JA茨城県厚生連茨城西南医療センター病院
独立行政法人国立病院機構三重中央医療センター
独立行政法人労働者健康福祉機構関東労災病院
大和市立病院

2011年11月
独立行政法人国立病院機構金沢医療センター

2012年1月
医療法人聖愛会
独立行政法人国立病院機構千葉医療センター
独立行政法人国立病院機構宇多野病院
東京女子医科大学附属八千代医療センター

2012年2月
京都府立洛南病院(ただし一時紛失)
岡山大学病院
藤沢市民病院
長崎大学病院

2012年3月
日本赤十字社医療センター

2012年4月
ごう在宅クリニック(札幌)
静岡県立病院機構静岡県立総合病院
広島大学病院
福岡大学病院

2012年5月
福岡大学病院

2012年7月
日本大学歯学部付属歯科病院

2012年8月
名古屋大学医学部附属病院

2012年9月
沖縄県立中部病院
福岡歯科大学医科歯科総合病院

2012年10月
医療法人社団恵仁会セントマーガレット病院
東京医科大学病院
昭和大学病院附属東病院
浜松医科大学医学部付属病院,浜松医療センター

2012年11月
九州大学病院
東京慈恵会医科大学附属柏病院


谷直樹

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by medical-law | 2012-11-23 05:04 | 医療