弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2012年 12月 07日 ( 2 )

京都刑務所などに収容されていた元受刑者が適切な検査を受けられずがんが進行した事案で国を提訴(報道)

読売新聞「受刑中に医療受けられず、がん進行 国を提訴へ 耳から出血でも検査受けられず」(2012年12月7日)は,次のとおり報じました.
 
「京都刑務所などに収容されていた元受刑者の男性(59)が、体調の異変を訴えたのに適切な検査を受けられず、約3年後にがんと診断された際には手術困難な状態に進行していたとして、国に損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こす方針を決めた。男性の刑事裁判を担当した弁護士ら14人は弁護団を結成し、「男性への対応は極めてずさん。国は受刑者らに適切な医療を施す義務がある」と訴えている。

 男性は、車のナンバープレートを盗んだとする窃盗罪などで公判中の2008年11月、大阪拘置所(大阪市都島区)に収容された。

 弁護団によると、男性は09年1月頃、左耳の下のしこりに気づいた。次第に痛みも強まり、職員に再三検査を申し込んだが、「問題ない」として取り合ってもらえなかった。

 懲役3年8月の実刑が確定した後の09年6月、京都刑務所(京都市山科区)に移った。たびたび耳から出血し、顔面マヒになるなど症状は悪化したが、鎮痛剤を処方される程度だった。今年1月、京都市内の病院で検査を受け、「左耳下腺腫瘍および左顎下(がっか)リンパ節転移」と悪性の疑いが示されたが、その後も所内の軽作業をさせられたという。

 男性の弁護士が、同刑務所に緊急の医療措置を求める要望書を出し、男性は3月末、八王子医療刑務所(東京都八王子市)に移監された。数日後、所内の検査で、腫瘍はがんで肺にも転移していることが判明。男性は8月に出所したが、大阪市内の病院で「根治的治療は困難」と診断され、入退院を繰り返しながら抗がん剤の投与を受けている。

 男性は「受刑者にも医療を受ける権利はある。国の対応は許せない」と憤る。弁護団も「顔面がゆがむなど異常が明らかなのに放置し続けた」と、国側の対応を批判している。

 大阪拘置所は「医療措置は全て医師の判断に任せている」、京都刑務所は「受刑者の中に男性がいたかどうかも答えられない」としている。」



受刑者にも医療を受ける権利がありますので,人手がないというのは正当な理由にならないでしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2012-12-07 13:04 | 医療事故・医療裁判

秋田県立リハビリテーション・精神医療センター,診療放射線技師2人が独断でエックス線撮影

秋田魁新報「エックス線独断撮影、知人や自分に CT検査も」(2012年12月7日)は,次のとおりじました.

「大仙市協和の「県立リハビリテーション・精神医療センター」で、診療放射線技師2人が独断でエックス線撮影をしていた問題で、技師が知人や自分の膝などを撮影していたことが6日、分かった。義父に対するコンピューター断層撮影(CT)検査を無断で行っていたことも判明した。小畑信彦病院長が同日、県庁で会見した。

 診療放射線技師法は、医師や歯科医師の具体的な指示なしにエックス線撮影することを禁止しており、エックス線撮影にはCT検査も含まれる。

 小畑病院長は「法令順守意識の欠如や、放射線の危険性に対する認識不足によるもので誠に遺憾。深くおわびしたい」と陳謝した。」


診療放射線技師法第26条1項は,「診療放射線技師は、医師又は歯科医師の具体的な指示を受けなければ、放射線を人体に対して照射してはならない。」と定めています.
同法第34条は,「第二十六条第一項又は第二項の規定に違反した者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と定めています.

【追記】

秋田魁新報「エックス線無断撮影に停職3カ月 県が男性技士を処分」(2012年12月29日)は,次のとおり報じました.
 
県は20日、医師の指示を得ずに独断でエックス線撮影を行ったとして、県立リハビリテーション・精神医療センター(大仙市協和)の放射線科の男性技師(39)を、停職3月の懲戒処分とした。男性は県健康福祉部職員で、2005年から同センターに派遣されている。

 男性は今年1月ごろ、同センターで義父の腹部のコンピューター断層撮影(CT)を行ったほか、同5月ごろには、知人男性の左手をエックス線撮影した。

 診療放射線技師法は、医師または歯科医師の具体的な指示を受けずに、放射線を人体に照射することを禁止。センターと県人事課が事情を聴いたところ、「頼まれて断れなかった」と話し、法令違反の認識があったという。

 同じく独断で、自身の右ひざなどをエックス線撮影していた同センターの女性技師(36)の処分については、運営する地方独立行政法人・県立病院機構が内部の懲戒委員会で審査中。年内にも処分を決める。」


谷直樹

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by medical-law | 2012-12-07 09:29 | 医療