弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2013年 01月 25日 ( 1 )

日本産婦人科医会,「母体血を用いた出生前遺伝学的検査に関する指針(案)」への検討要望事項

公益社団法人日本産婦人科医会は,2013年1月21日,「母体血を用いた出生前遺伝学的検査に関する検討委員会「母体血を用いた出生前遺伝学的検査に関する指針(案)」への検討要望事項」を発表しました.

「本検査が適切に行われれば、従来2万件弱行われていた侵襲的な羊水検査、絨毛検査は、著減させることが可能となります。」と羊水検査,絨毛検査の延長上に母体血を用いた出生前遺伝学的検査(新型検査)を捉えています.しかし,新型検査を羊水検査,絨毛検査と同様に考えてよいかは,一個の論点となると思います.

日本産婦人科医会は,「母体血を用いた出生前遺伝学的検査に関する指針(案)」が,本検査について「一般産科婦人科臨床に導入すべきではない」とした点について,検査の有用性の視点からの見解を追加するよう求めています.
しかし,日本産婦人科医会が,検査の有用性を述べるのみで,生命倫理との関係で新型検査についてどのように考えるのか,基本的な理念は必ずしも明確でないように思います.

また,日本産婦人科医会「一般の妊婦の当然の思いを叶えるために、早期に、施設の強い限定ではない、遺伝子カウンセリング体制の整備などの、厳しすぎる条件ではない、適切な方法で開始されることを強く望みます。」と述べています.

新型検査は,中絶のための検査です.「一般の妊婦の当然の思い」と断言していますが,検査・中絶を希望する妊婦が一般的。当然であることは実証されていません.
たしかに,中絶を希望する親は,新型検査が広く緩やかな条件で受けられることを望むでしょうが,出生に関し生命の価値に鑑みてどの程度どのようなコントロールが許されるかについては,社会のコンセンサスが必要なのではないでしょうか.
もし新型検査が広く緩やかな条件で受けられ,中絶が一般化したら,障がいをもって生まれた児に対する差別が助長されるかもしれません.
単にその妊婦が希望しているから,有用な検査だからという理由だけから判断できるほど単純な問題ではないように思います.


谷直樹

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by medical-law | 2013-01-25 06:10 | 医療