弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2013年 01月 30日 ( 3 )

WHO元事務局長中嶋宏さん御逝去

WHO元事務局長中嶋宏さんが,2013年1月26日,84歳で御逝去されました.心から御冥福をお祈りし,謹んでお悔やみを申し上げます.
中嶋宏さんには,以前来日した際に個人的にお会いし,WHOのタバコ対策についておうかがいしたことがあります.

1997年のWHO事務局長のメッセージを,あらためてご紹介いたします.

"United for tobacco-free world" ~手をつなごう! タバコのない世界を目指して~

 タバコが健康に様々な悪い影響を与えることが明らかにされてから40年以上がたちました。その科学的証拠はまたたく間に積み上げられ、タバコが膨大な死亡と障害をもたらすことは、もはや疑う余地がありません。タバコ製品は20世紀の半ばからこれまでに先進国だけでも6000万人以上の人命を奪いました。この先30 年間、タバコ消費が大きく減らなければ、毎年世界中で1000万人がタバコによって殺され、その7割は発展途上国が占めることになります。このような人災による膨大な死亡は、全世界の保健上の緊急事態となっています。この病災の流行をくいとめるには、効果のある保健対策をすみやかに実行しなくてはなりません。

 しかし、タバコの流行をくい止めることは、病気の流行をくい止めるようにはいきません。タバコには、健康を守るための対策を無効にするために莫大な金をつぎ込むロビイストや世論工作の専門家が味方についています。さらに、一般市民はタバコの害を実際より小さく見積もっており、この傾向は市民の健康を守り増進する責任を負う保健専門家の中にさえ見られます。このようなわけで、甘いままのタバコ規制が続き、タバコ規制をやろうと思えばできる立場にある人々の多くが効果のある対策を実行せずにきたのです。

 その一方で、幸いなことに、タバコ規制の分野で賞賛すべき成果を上げた自覚的な個人、団体、政府が世界中に増えてきました。このような努力によって、無数の人々や社会が早死にから救われ、よりよい生活の質を手に入れることができたのです。これらの実例により、社会全体の健康をよりよい方向に変えることが可能であることが証明されました。

 問題が深刻なら解決策もしっかり立てる必要があります。タバコはあらゆる個人と社会をむしばみなす。幾百万人がタバコにより早死にし、さらに幾百万人がタバコ関連疾患に苦しみます。タバコを吸う友人、肉親、同僚を持つ非喫煙車は彼らをタバコのために失う危機にさらされています。また環境タバコ煙を強制的に吸わされて、深いな目にあい、健康を損ねるだけでなく命までも奪われる非喫煙者がいます。政府はタバコ関連疾患の治療のために何十億ドルも失い、さらにタバコによる早死にで何十億ドルもの生産損失を被ります。

 この病災を一個人、一組織、一国の力だけでくい止めることはできません。総合的で持続的なタバコ対策を実行するには幅広い世論の支持が必要です。社会のあらゆる分野の力がWHOと結びつき、「タバコのない世界を目指して手をつなぐ」ならば、タバコという厄災をなくすことができるでしょう。

WHO事務局長 中嶋 宏



谷直樹

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by medical-law | 2013-01-30 21:42 | タバコ

医療事故と医療過誤

医療事故と医療過誤の概念については,いろいろな考え方があります.

私は,次のように考えています.

(1)不可抗力によるものと(2)過失によるもの(negligence)が「医療事故」(medical acccident)です.
(2)過失によるもの(negligence)と(3)故意によるもの(intention)をあわせて「医療過誤」(medical malpractice)と言います。
つまり,「医療過誤」とは,訴訟により法的賠償責任を問われる医療行為と理解しています.

negligenceとintentionは異なりますが,民法709条は「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」として故意と過失をあわせた条文になっています.
民法415条は,「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。」と定めています.この「債務者の責めに帰すべき事由」には過失のみならず故意も含まれます.

いわゆる安楽死,患者虐待など故意によるものが実際に起きていますし,故意によるもの(intention)も訴訟により法的賠償責任を問われる医療行為ですから,「医療過誤」に含めるのがよいと考えています.


谷直樹

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by medical-law | 2013-01-30 14:15 | 医療事故・医療裁判

風疹流行,妊娠中の風疹感染で先天性風疹症候群(CRS)6例報告

「風疹(rubella)は、発熱、発疹、リンパ節腫脹を特徴とするウイルス性発疹症です。免疫のない女性が妊娠初期に風疹に罹患すると、風疹ウイルスが胎児にも感染して、出生児に先天性風疹症候群 (CRS)と総称される障がいを引き起こすことがあります。」
国立感染症研究所のサイトより)

風疹の予防接種が女子中学生のみを対象に行なわれていた時期があり,成人男性は風疹に感染し易くなっています. 平成23年度の感染症流行予測調査によると,30代から50代前半の男性の5人に1人が,20代の男性は10人に1人が風疹の免疫をもっていなかった,とのことです.
また,すでに風疹にかかったとの記憶のある人達に血液検査を行ったところ,約半分は記憶違い,または風疹に似た他の病気にかかっていたという調査結果もあるそうです.
そこで,国立感染症研究所は,風疹の予防接種を受けたことがない成人男性に可能な限り早く接種を受けるよう勧奨しています.

「男性が風疹にかかると、妊娠中の女性が近くにいた場合、風疹をうつし、その赤ちゃんが先天性風疹症候群となって生まれる可能性があります。
自分と家族、そして周りの人々を風疹とその合併症から守り、生まれてくる赤ちゃんを先天性風疹症候群から守るためにも、これまで風疹の予防接種を受けたことがない場合は、成人男性でも可能な限り早く接種をうけるようにして下さい。」

(国立感染症研究所「風疹Q&A(2012年改訂)」)

NHK「風疹が首都圏を中心に流行」(2013年1月29日)は,次のとおり報じました.

「妊娠初期の女性が感染すると生まれてくる赤ちゃんに障害が出るおそれがある「風疹」が、首都圏を中心に流行しています。
ことしは、過去5年間で患者の数が最も多かった去年を上回るペースになっているため、専門家は、特に妊娠を希望している女性とその周りの男性に対して、予防接種を受けるよう呼びかけています。

風疹は、発熱や発疹、リンパ節が腫れるなどの症状が出る感染症で、妊娠初期の女性が感染すると生まれてくる赤ちゃんが心臓や耳、目などに障害が出る「先天性風疹症候群」になるおそれがあります。
国立感染症研究所によりますと、去年10月から今月にかけて埼玉や大阪、兵庫、香川で生まれた合わせて6人の赤ちゃんが「先天性風疹症候群」と診断されたということです。
風疹は去年の春以降、関東や関西を中心に大流行し、去年1年間の患者数は2353人と、すべての患者数の報告を集める今の統計方法になってからの5年間で最も多くなりました。
そして、ことしは、去年を上回るペースで流行していて、今月20日までの1週間に新たに風疹と診断された患者は44人で、去年の同じ時期の8人と比べて5倍以上となっています。
都道府県別では東京が22人と最も多く、埼玉が6人、神奈川が5人などと首都圏を中心に流行しています。
また、患者の8割近くは男性で、その多くが子どものころ予防接種の対象外だった20代から40代です。
国立感染症研究所の多屋馨子室長は「去年の今頃は1週間に数人の報告だった。風疹は春先から夏にかけて流行するので、ことしは今後どんどん患者が増えていく可能性がある。妊娠を希望する女性と周りの男性は予防接種を受けてほしい」と話しています。」



谷直樹

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by medical-law | 2013-01-30 03:33 | 医療