弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2013年 03月 06日 ( 3 )

伊賀市立上野総合市民病院,筋弛緩剤スキサメトニウム紛失

MSN産経「筋弛緩剤アンプル10本紛失 伊賀市立病院、誤廃棄か」(2013年3月6 日)は,次のとおり報じました

「三重県伊賀市立上野総合市民病院は6日、薬事法で毒薬指定されている筋弛緩剤「スキサメトニウム」のアンプル10本(各2ミリリットル入り)を紛失したと発表した。手術時に筋肉の緊張を和らげるために使われ、2ミリリットルで成人の呼吸を3~5分間止める量に相当する。

 病院によると、4日午後5時ごろ、手術室にある保管庫の薬品をチェックしていた看護師が、10本がないのに気づいた。

 10本は1日、薬剤助手が期限切れのものと交換するために搬入したが、別の看護師が近くにあった空き箱に入れたまま、保管庫にしまうのを忘れていたという。

 外部から侵入された形跡がないことなどから、病院は、1日午後3時ごろに手術室を清掃した際、空き箱ごと廃棄したとみているが、5日に伊賀署に盗難届を出した。病院は「患者や関係者に迷惑をかけ申し訳ない。再発防止に努める」としている。」


伊賀タウン情報ユー「院内保管の毒薬を紛失 上野総合市民病院」(2013年3月 6日)は,次のとおり報じました.
 
「伊賀市四十九町の市立上野総合市民病院(三木誓雄院長)は3月6日、2階の手術室内で保管していた薬剤の筋弛緩剤「スキサメトニウム注40『AS』」(1本2ミリリットル)が計10本入った箱を紛失したと発表し、謝罪した。同薬剤は薬事法で毒薬に指定されており、病院は5日に被害届を提出、伊賀署が受理した。
 同日午前10時から開いた会見には、三木院長ら病院関係者と岡本栄市長、辻上浩司副市長の6人が出席した。紛失に気付いたのは4日午後5時ごろで、岡本市長は「日常業務のなかで緊張感が欠如していたのではないか。危機意識や重要なものを取り扱っているという心構えを皆で共有できるよう徹底し、信頼の回復に努めたい」と述べた。

 病院によると、1日午後2時30分ごろ、薬剤助手が薬剤師の指示で期限切れの古い薬剤と取り替えるようメモを貼った新品の箱をリフトで送ったが、確認の電話はしなかった。看護師は届いた薬剤が請求伝票に記載がなく、交換方法を別の職員に確認しようと思い、別の空きダンボールの中に入れ、その後放置していたという。

 紛失に気付いた後、院内やごみ置き場などを探したが、薬剤は見つからなかった。盗難の可能性について、同病院は「手術室は誰でも侵入できる環境ではなく、その形跡もないので低いと考えている」とし、「折りたたんだダンボール類と一緒に誤って廃棄されたのではないか」とみている。

 三木院長は「手術室での期限切れ薬剤の取り扱いが周知徹底できておらず、薬剤担当職員の確認不足が原因」と説明。今後は「劇薬や毒薬は薬剤師が直接手術室金庫に収納し、確認表には手術室看護師とダブルチェックを行う」などと話した。」


毒薬指定されている筋弛緩剤の紛失事故が絶えませんね.
他院の紛失事故が報じられたのを機会に,自院の筋弛緩剤の管理方法を見直すべきではないでしょうか?
他院でおきたことは自院でも起きる可能性が あるのですから.
また,アンプルそのものを厳重管理(注意喚起)を促すものに,変更することはできないのでしょうか?

◆ 過去の報道事例

佐賀大学医学部付属病院で平成22年12月(但し公表は平成23年6月)に1本
独立行政法人国立病院機構名古屋医療センターで平成23年1月に10本
独立行政法人国立病院機構千葉医療センターで平成23年9月に1本
愛知厚生連海南病院で平成23年9月に1本
有田市立病院で平成23年9月に10本
浜松医療センターで平成23年9月に1本
NTT東日本札幌病院で平成23年12月に2本
社会福祉法人恩賜財団済生会熊本病院で平成23年12月に3本
市立室蘭総合病院で平成24年3月に1本
地方独立行政法人福岡市立病院機構福岡市立こども病院・感染症センターで平成24年7月に1本
公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院で平成24年7月に5本
熊本大学医学部附属病院で平成24年7月に1本
公立南丹病院で平成24年10月に1本
尾道市公立みつぎ総合病院で平成24年10月に4本
社会医療法人将道会総合南東北病院で平成24年11月に2本
伊賀市立上野総合市民病院で平成25年3月に10本

谷直樹

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by medical-law | 2013-03-06 22:18 | 医療事故・医療裁判

弁護士鈴木利廣氏の真意,医療基本法は医師と患者の対立構造を解消する

CBニュースに「医療基本法シンポでの発言の真意」(2013年3月6日)と題する,弁護士鈴木利廣氏のインタビュー記事が載っています.

「昨年末、日本医師会(日医)主催で開かれた「医療基本法シンポジウム」で、司会を務めていた今村定臣・日医常任理事に促され、客席で傍聴していた鈴木利廣弁護士が発言する機会があった。鈴木氏は、「医療基本法は、医師と患者の対立構造を解消する」と発言した...」


谷直樹

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by medical-law | 2013-03-06 09:43 | 医療

第18回産科医療補償制度運営委員会,分娩施設外のNICUでの医療行為は現行通り医学的評価の対象外

産科医療補償制度運営委員会は,2013年3月5日,現行通り,分娩施設外の小児専門施設のNICUでの医療行為を医学的評価の対象としないことを決めました.

CBニュース 「脳性まひ原因分析、小児専門施設に拡大せず-「必要性低い」と運営委判断」(2013年3月5日)は,つぎのとおり報じました.

「分娩に関連して発症した重度脳性まひ児に一定の条件下で補償金を支払う「産科医療補償制度」の見直しを検討している日本医療機能評価機構の運営委員会は5日、同制度に加入していない小児専門施設のNICU(新生児集中治療室)での医療行為を、原因分析報告書の医学的評価の対象にしない仕組みを維持することを決めた。分娩施設内のNICUでの医療行為に問題があった事例が少ないことなどから、必要性が低いと判断した。

 機構によると、昨年末までに原因分析報告書が公表された188件のうち、分娩施設内のNICUで医療行為が行われていたのは58件で、このうち原因分析報告書で指摘があったのは3件(5.1%)しかなかったという。

 現行の制度では、制度に加入する分娩施設内のNICUでの医療行為は医学的評価の対象になるが、分娩を取り扱っておらず、制度に加入していない小児専門施設のNICUに搬送されたケースは対象にならない。
 小児専門施設への対象拡大は、「産科医療のみならず、周産期医療全体の質を高めることにつながると考えられる」として昨年11月の運営委で検討課題に挙がった。しかし、制度の当事者でない小児科医らの負担増を懸念する意見もあり、分娩施設内のNICUでの医療行為の実態を検証した上で改めて議論することになっていた。

■原因分析報告書の送付を迅速化へ
 運営委ではまた、原因分析報告書の送付を早めるため、作成手順の見直しや、作成に携わる産科医の増員に着手することを決めた。保護者や分娩施設に案内している通り、補償対象と認定されてから1年以内に送付できる体制の構築を目指す。

 機構によると、これまでに報告書を送付した188件では、平均で13か月ほどかかっている。昨年に送付した109件に限ると、平均で14.5か月かかっており、さらに長期化しているという。【高崎慎也】」


分娩施設外の小児専門施設のNICUでの医療行為を医学的評価の対象としないのはともかく,報告書作成に携わる産科医の増員だけではなく,小児科医(新生児科医)の増員も必要ではないでしょうか.

谷直樹

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by medical-law | 2013-03-06 01:47 | 医療事故・医療裁判