弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2013年 03月 14日 ( 3 )

業務上過失致死容疑で東芝病院元院長ら書類送検(報道)

時事通信「東芝病院元院長ら書類送検=入院男性が病室で死亡-業務上過失致死容疑・警視庁」(2013年3月14日)は,次のとおり報じました.

東京都品川区の東芝病院で2010年4月、植物状態だった男性が病室で死亡する事故があり、警視庁捜査1課と大井署は13日までに、業務上過失致死容疑で、男性元院長(61)と医師(44)、看護師(26)ら計4人を書類送検した。
 死亡したのは、政治評論家の本沢二郎さん(71)の二男正文さん=当時(40)=。1997年に脳の手術を受けてから意識が戻らず、在宅介護を受けていたが、誤嚥(ごえん)性肺炎のため同病院に入院した直後に死亡した。本沢さんは正文さんが病院側の過失で死亡したとして、11年8月に告訴していた。
 送検容疑は10年4月7日、気管が詰まって容体が急変したのに適切な対応を取らず放置し、窒息死させた疑い。」


刑事訴訟法第二百四十六条本文は「司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。」と定めています.
つまり,検察官送致(送検)が原則です.
検察官送致(送検)されても起訴になるとは限りません.

谷直樹

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by medical-law | 2013-03-14 20:25 | 医療事故・医療裁判

労働政策審議会の障害者雇用分科会,精神障害者を障害者雇用促進法に基づく雇用義務の対象とすべき

日本経済新聞「精神障害者「雇用義務化を」 厚労省審議会」(2013年3月14日)は,次のとおり報じました.

「厚生労働省の労働政策審議会の分科会は14日、精神障害者を障害者雇用促進法に基づく雇用義務の対象とすべきだとする意見書をまとめた。これを受け、同省は改正法案を作成し、21日に開かれる分科会で議論する。分科会で合意が得られれば改正法案を今国会に提出し、5年後の2018年4月に施行したい考え。

 ただ企業側からは「精神障害者の雇用支援策を充実させ、効果を確認してから義務化に踏み切るべきだ」などと慎重な声も出ており、法改正の見通しは不透明だ。

 厚労省が雇用義務の対象と想定するのは精神障害者保健福祉手帳を持つ統合失調症、そううつ病、てんかんなどの患者。近年は精神障害者の就労意欲が高まり、大企業を中心に採用が増えている。

 障害者雇用促進法は企業や国、自治体などに一定割合以上の障害者を雇用するよう義務付けている。現行法は身体障害者と知的障害者が雇用義務の対象。企業の法定雇用率は1.8%で、今年4月から2.0%に引き上げられる。精神障害者の雇用が義務化されると、法定雇用率がさらに上がることになる。

 昨年6月時点の企業の障害者雇用率は1.69%。法定雇用率を満たさない企業は、国に納付金を支払う必要がある。」


労働・雇用分野における障害者の権利に関する条約は,障害者雇用率制度について積極的差別是正措置を講じることを求めています.
法改正実現までは紆余曲折があるでしょうが,とりあえず一歩前進です.

谷直樹

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by medical-law | 2013-03-14 19:54 | 人権

東京地裁平成25年3月14日判決,成年後見選挙権喪失は違憲(報道)

NHK「成年後見制度で選挙権喪失 違憲判決」(2013年3月14日)は,次のとおり報じました.

「病気や障害などで判断力が十分でない人に代わって財産を管理する「成年後見制度」で、東京地方裁判所は「後見人がつくと選挙権を失う公職選挙法の規定は憲法に違反する」という初めての判決を言い渡しました。

茨城県牛久市の名兒耶匠さん(50)はダウン症で知的障害があるため6年前に父親と妹が判断力が十分でない人に代わって財産を管理する成年後見制度を利用して後見人となりました。
しかし、公職選挙法では後見人がつくと選挙権を失うと規定されているため、「障害者を守るはずの制度が逆に権利を奪うのはおかしい」と国を訴えていました。

判決で東京地方裁判所の定塚誠裁判長は「選挙権は憲法で保障された国民の基本的な権利で、これを奪うのは極めて例外的な場合に限られる。財産を管理する能力が十分でなくても選挙権を行使できる人はたくさんいるはずで、趣旨の違う制度を利用して一律に選挙権を制限するのは不当だ」と判断し公職選挙法の規定が憲法に違反するという判決を言い渡しました。

最後に裁判長は名兒耶さんに「どうぞ選挙権を行使して社会に参加してください。堂々と胸を張っていい人生を生きてください」と語りかけました。
成年後見制度の選挙権については全国のほかの裁判所でも同じような訴えが起きていますが、判決はこれが初めてです。

平成12年に始まった成年後見制度で後見人がついた人は最高裁判所のまとめで全国で13万6000人に上り、高齢化が進むなかで利用者は増え続けていて、判決は国に法律の見直しを迫るものとなりました。

原告の名兒耶さん支援者に喜びの声

判決のあと、裁判所の前で弁護士らが「勝訴」と書かれた紙を掲げると集まった支援者から大きな拍手と歓声が上がりました。
裁判所から出て来た原告の名兒耶匠さん(50)は「ありがとうございます」と述べ、笑顔で写真撮影に応じていました。
また、父親の清吉さん(81)は「うれしかったです。
裁判長にあそこまで言ってもらえるとは思わなかった」と話していました。
また、判決の後の会見で、名兒耶匠さんは「うれしいです」と話し、記者から「今度の選挙に行こうと思いますか」と聞かれると「思います」と答えていました。
父親の清吉さんは「それまで選挙に行けたものが成年後見制度を利用したとたんに行けなくなるというのは明らかにおかしいと思っていた。
判決で裁判長がきちんと述べてくれたのはわが意を得た思いだ」と述べました。

総務省

今回の判決について、公職選挙法を所管する総務省の米田耕一郎選挙部長は、NHKの取材に対し、判決の内容を精査したうえで、法務省と協議して今後の対応を決めたい」と話しています。」


この東京地裁判決は,最高裁判決の基準に基づき「公正を確保しつつ投票を認めることが事実上不能か著しく困難で、選挙権の制限がやむを得ない場合」にあたるか否かを判断した判決です.この判決を覆すのは困難と思います.また,他地裁の判決にも影響を事実上与えるでしょう.

日本弁護士連合会(日弁連)も,2012年12月25日,「公職選挙法11条1項1号が成年被後見人の選挙権を一律かつ全面的に剥奪していることは,成年者による普通選挙を定めた憲法15条1項,同条3項に反し
ており,成年被後見人の選挙権を不当に侵害するものである。
よって,当連合会は,貴殿(内閣総理大臣野田佳彦,総務大臣樽床伸二,衆議院議長,参議院議長平田健二)に対し,速やかに公職選挙法11条1項1号を削除する法改正を行うことを勧告する。」としています.

医療事故の被害者の中にも成年後見を必要とする人がいます.
その人たちにとっても朗報です.

谷直樹

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by medical-law | 2013-03-14 19:07 | 司法