弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2013年 03月 17日 ( 3 )

内閣府,がん対策に関する世論調査

東京新聞「がん検診 未受診理由 「時間ない」47%「発見怖い」36%」(2013年3月17日)は,次のとおり報じました.

「内閣府は十六日、がん対策に関する世論調査結果を発表した。

 「日本のがん検診の受診率が、20~30%程度と低い現状を踏まえ、検診を受けない理由を複数回答で聞くと「受ける時間がないから」(47・4%)、「がんだと分かるのが怖いから」(36・2%)との回答が上位を占めた。

 また、がん治療などのため二週間に一度程度通院しながら働く環境が日本社会で整っているか尋ねたところ、仕事との両立は不可能との回答が計68・9%で可能の計26・1%を大きく上回った。

 厚生労働省の担当者は「がん検診の受診率を上げる方策に調査結果を生かしたい」と強調。「早期発見で治癒し、再び職業人として生活する人も増えている。療養しながら就労が継続できる施策にも力を入れていきたい」と話している。

 未受診理由はほかに「費用がかかり経済的にも負担になるから」(35・4%)、「健康状態に自信があり、必要性を感じないから」(34・5%)、「心配なときはいつでも医療機関を受診できるから」(22・0%)などが多かった。

 政府に力を入れてほしい対策(複数回答)では「がん検診」(67・2%)、「医療機関の整備」(54・2%)に次ぎ、50・0%が「就労が困難になった際の相談・支援体制の整備」を挙げた。

 調査は一月に全国の成人男女三千人を対象に面接で実施し、千八百八十三人が回答した。」


この調査をがん検診を受けやすい環境作りに役立ててほしいです.
また,がん患者の就労問題にも積極的に取り組んでいただきたいです.

なお,「受ける時間がないから」(47・4%)と言っても,中高年ではがん検診の優先度は高いでしょう.
「がんだと分かるのが怖いから」(36・2%)と言っても,人は必ず死ぬわけで,家族や社会に責任ある立場であれば,受診すべきでしょう.
「費用がかかり経済的にも負担になるから」(35・4%)は分かりますが,優先度の問題でしょう.
「健康状態に自信があり、必要性を感じないから」(34・5%),「心配なときはいつでも医療機関を受診できるから」(22・0%)と言っても,自覚症状のないがんもあります.
国がをがん検診を受けやすい環境を整備するには時間がかかるでしょうから,中高年は国の施策を待たずに受診したほうがよいと思います.

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-03-17 18:35 | 医療

法曹養成制度検討会議,司法試験の合格者数3000人計画の撤廃提言へ

朝日新聞「司法試験3000人枠撤廃へ 需要伸びず「非現実的」」(2013年3月17日)は,次のとおり報じました.

「弁護士ら法律家の数や法科大学院のあり方について見直しを議論している政府の「法曹養成制度検討会議」(座長・佐々木毅学習院大教授)が、司法試験の合格者数を「年間3千人程度」とした2002年の政府計画の撤廃を提言する見通しになった。4月に公表する中間素案に盛り込む方向だ。

 法曹3千人計画は01年に公表された司法制度改革審議会の意見書に基づき、10年ごろに達成する目標として閣議決定した。しかし、法科大学院修了者を対象とした新司法試験の合格者は年2千人前後で低迷。「社会の隅々に法律家を」という理念のもとで進められた司法制度改革の大きな柱が見直されることになる。

 法務省によると、昨年の合格者は2102人で、合格率は25・1%。当初の想定の7~8割を下回った。合格率の低迷で法科大学院への志願者も減少。昨春の志願者は1万8446人で、法科大学院ができた04年度の約4分の1まで落ち込んでいる。」


この朝日新聞の記事は,新司法試験の合格者が年2千人前後と低迷しているので法科大学院への志願者も減少している,3000人計画が撤廃されると「社会の隅々に法律家を」という理念も達成できなくなる,というトーンで書かれているように読めますが,2000人時代に弁護士になった人たちに十分な仕事がない事態をどのように考えているのでしょうか.法曹の増員は法曹の質の低下につながり,法曹の質の低下は国民への司法サービスの低下を招きかねません.社会の隅々に法律家がいても,司法サービスの質が低下したら,意味はないでしょう.

現実を直視して,3000人計画が失政だったことを率直に認めるべきでしょう.
では,何人が適切かですが,私は1500人でも多いと思います.裁判官の大幅増員でも行わないかぎりは.

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-03-17 09:20 | 司法

水俣病認定訴訟上告審,弁護士山口紀洋氏が裁判官に「あまりに拙速ではありませんか」と声を上げる(報道)

毎日新聞「水俣病:認定訴訟・最高裁弁論 原告、被告8人が意見 認定基準の是非争う」(2013年3月16日)は,次のとおり報じました.

「水俣市の農業、溝口秋生さん(81)と、水俣市出身で大阪府豊中市の女性(今月3日、87歳で死去)がそれぞれ熊本県に水俣病認定を求めた訴訟の15日の最高裁口頭弁論。5人の裁判官を前に2件の訴訟で原告、被告側合わせて8人が意見を述べた。水俣などからも多くの患者や支援者らが最高裁を訪れ見守った。【西貴晴】

 口頭弁論は女性の裁判が午後1時半から、溝口さんが3時半からそれぞれ最高裁第3小法廷で約40分ずつあり、国が定めた水俣病認定基準などを巡ってやり取りが交わされた。

 女性の弁論では、代理人の田中泰雄弁護士(60)ら4人が国の水俣病認定基準を批判し「人権救済の最後のとりでたる最高裁がその名にふさわしい救済を図られるよう求める」と主張した。続いて被告の県側の代理人が認定基準を「現在の医学的知見に照らしても合理性を有している」などと訴えた。

 溝口さんの弁論では、原告の溝口さん自身が意見を述べた。今回の裁判で認定を求めた母チエさん(故人)が77年に亡くなった後、毎年命日前後に県に認定申請の結果を電話で問い合わせたが「検討中」の返事ばかりだったことや、棄却となったのがチエさんの死後18年もたってからだったことを挙げ、県の認定行政を批判した。

 溝口さんは「(溝口さんの勝訴となった)福岡高裁判決をそのまま認めて私の苦労を終わりにしてください。裁判が長すぎる。よろしくお願いします」と締めくくった。

 この後、溝口さんの代理人の山口紀洋弁護士(72)が「正義の判決をお願いします」などと述べた。4月16日の判決期日を決めて法廷を出ようとする裁判官に、山口弁護士が「あまりに拙速ではありませんか」と声を上げる場面もあった。

 溝口さんの意見陳述に先立ち、県側の代理人は認定基準の正当性を主張したほか、認定基準を満たさない被害者を対象に09年に施行された水俣病被害者救済特別措置法を引き合いに、行政が実施している「立法および行政施策全体の救済体系」の意義を強調した。」


判決が1か月後ということは,判決の中身はすでに決まっているのでしょう.
「声をあげた」というだけで,「声を荒げた」とは報じられていませんが,山口紀洋(としひろ)先生の声は一際力強く良くとおりますから,法廷に響いたことでしょう.

山口紀洋先生の言葉が第三小法廷の裁判官の心に伝わったことを願います.良い判決を期待いたします.
ちなみに,第三小法廷は,田原睦夫氏,岡部喜代子氏,大谷剛彦氏,寺田逸郎氏,大橋正春氏で構成されています.

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-03-17 00:59 | 司法