弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2013年 03月 26日 ( 4 )

近畿大学医学部付属病院,中心静脈カテーテル挿入時の事故について合併症の範疇に属すると報告

近畿大学医学部附属病院は,2013 年3 月26 日,「中心静脈カテーテル(CVC)挿入時の事故発生についてのご報告【訂正】」を発表しました.

「近畿大学医学部附属病院におきまして、腹膜癌の患者様へのCVカテーテル挿入時に医療事故が発生いたしましたことをご報告申し上げます。

平成25 年3 月12 日15 時頃、当院入院中の患者様に対し、今後の継続的治療に備え皮下埋め込み型CVカテーテル挿入を施行していた際に、突然患者様の容体が急変いたしました。ただちに救急処置室において気管内挿管を含めた緊急蘇生措置を行いましたが、患者様は治療に反応されず、残念ながら同16 時40 分にご逝去されました。

原因につきましては、当院内部調査委員会において現在、検討中でありますが、同委員会の現時点での見解では、カテーテル挿入操作施行医師は、院内中心静脈カテーテル穿刺認定を受け、多数例の穿刺経験を持つ医師が行っており、院内規定である超音波(エコー)装置を用い、X線透視下に施行しておりました。また、急変後の止血操作、投薬処置も問題点は見出せず、現状では明らかな過誤を指摘することはできず、合併症の範疇に属するとものと判断しております。

今後、さらに委員会において、その原因究明に全力を尽くす旨、患者様のご家族にも了解いただいております。
患者様、ご家族の皆様には深い哀悼の意を表しますとともに、今後、このような事案を予防すべく検討し、さらなる改善を図って行く所存であります。
以上、経過についてご報告申し上げます。」


産経新聞「近大病院で女性患者急死…カテーテル挿入後 大阪府警が捜査」(2013年03月26日)は,次のとおり報じました.

 
「近畿大学医学部付属病院(大阪府阪狭山市)に入院していたがん患者の女性(55)が、30代の男性医師から静脈にカテーテルを挿入する手術を受けた直後に急死したことが26日、分かった。

 病院からの届け出を受けた大阪府警黒山署が業務上過失致死の疑いもあるとみて捜査を始めた。

 捜査関係者と病院によると、女性は昨年2月ごろに腹腔などにがんが見つかり入院。今月12日午後1時半ごろ、点滴を注入するため、医師が右鎖骨下の静脈にカテーテルを挿入したところ動脈を損傷した。

 すぐに止血や投薬処置を行った結果、止血できたとして手術を続行したが、女性が激痛を訴えたため中止。女性はまもなく心肺停止状態に陥り、午後4時40分に死亡が確認された。

 病院側は産経新聞の取材後、動脈損傷による血胸が死因である可能性を示唆しながらも、「患者の急変後の止血や投薬処置に問題点は見いだせず、現状では明らかな過誤を指摘することはできない」とする見解をホームページに掲載した。

 さらに、25日の取材には、動脈損傷が死因だった可能性も否定し、「合併症ではないかと考えており、内部調査委員会で原因究明に全力を尽くしたい」と説明した。」
 

「合併症」は,その手技の際に起きた有害事象をさします.合併症の範疇の中には,過失のある合併症(医療過誤)と過失のない合併症(医療過誤でないもの)があります.
何が起きたのか,事実が解明されていない段階で,過失の有無を判断することはできません.
先走ることなく,まず事実をきちんと解明する必要があるでしょう.


谷直樹

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by medical-law | 2013-03-26 21:07 | 医療事故・医療裁判

全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会発足

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朝日新聞「接種禍に被害者連帯」(2013年3月25日)は,次のとおり報じました. 


「◆「子宮頸がん」連絡会きょう発足

 「子宮頸(けい)がんワクチンの接種に伴い、重い副反応が出たとする被害者や親同士が手をつなぐことになった。25日に発足する「全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会」(042・594・1337)。中高生ら10代が被害者の大半を占め、事務局長の日野市議、池田利恵さんらのもとには各地から相談が寄せられている。

◇副反応症例、海外情報頼り

 子宮頸がんワクチン「サーバリックス」は3回の接種が必要。三多摩地区の中3生(15)は、母親(44)によると、2011年5月の1回目の接種から1週間ほど後、右足首が痛むようになった。6月に2回目を接種後は激しい痛みが脇腹や背中、ふくらはぎなどあちこちに起きるようになり、体育の授業に出られず登校にも支障が出た。検査を重ねたが異常は見つからず、医師からは「きっかけはワクチンだが因果関係の解明は難しい」などと言われたという。

 11年12月には、現在かかっている小児科医が、サーバリックスがきっかけの「難治性疼痛」と厚生労働省に報告した。現在も、日によって体のあちこちに痛みを訴えている。
 富山県の中3生(15)も、中2だった12年2月に3回目を接種した後に激しい痛みが起きた。手首や股関節、肩や背中など痛みはあちこちに転移。鼻血が出たり吐いたり、髪の毛が抜けたり熱が出たりした。血液検査はすべて正常だが、8月に歩行困難になり、今も1日の大半を寝て過ごしている。

 母親(40)は「インターネットで海外の副反応の症例を見て娘の状態と同じだとわかった時は、震えが止まらなかった。良かれと思って接種したのに、娘に申し訳ない」と涙声。接種した産婦人科医が今月、厚労省に、サーバリックスの副反応として届け出た。

 このほかにも八王子市、練馬区、山形県、三重県、長崎県などから同様の相談が集まっている。

 宮城県で開業している佐藤荘太郎医師は、1年ほど前から海外の副反応の事例を調べている。米国や英国などの事例について、父母や本人の手記を翻訳、ブログで紹介してきた。連絡会に集まる人たちは、こうした海外の症例から副反応と気がついた人が多い。

 佐藤医師は「接種したり接種を推進したりする医師は、こうした実態を知らなすぎる」と指摘する。
(斎藤智子)」


もし,がんがワクチンで予防できるとしたら,画期的なことなのですが,実際はそう簡単な話ではないようです.

国立がん研究センターがん対策情報センターのサイトに「子宮頸がんの予防(ヒトパピローマウイルスと予防ワクチン)」が掲載されています.

「どの程度の確率でHPVが感染するか、あるいはHPV感染が続いた場合、どの程度の確率で、前がん病変や子宮頸がんが発生するかについてはよくわかっていません。子宮頸がんの患者さんの90%以上からHPVが検出されることが知られていますが、HPVに感染した方の多くは、無症状で経過し、発がんすることはまれだと考えられています。」

「このワクチンの効果効能に関連する接種上の注意点として、ワクチンに添付されている説明書には、以下の4点が示されています。

1)HPV16型及び18型以外の癌原性(発がんの原因になる)HPV感染に起因する子宮頸がんおよびその前がん病変に対する予防効果は確認されていません。
2)接種の時点ですでに感染しているHPVを排除したり、すでに発症しているHPV関連の病変の進行を予防する効果は期待できません。
3)接種は定期的な子宮頸がん検診の代わりとなるものではありません。接種に加え、子宮頸がん検診を受診したり、性感染症の予防に注意することが重要です。
4)予防効果がどのくらい持続するかについては、わかっていません。」


つまり,子宮頸がんワクチンの予防効果は確認されていませんし,予防効果がどのくらい持続するか,についても分かっていない,ということなのです.1回ワクチンを打てば生涯HPVに感染しないというものではないのです.
他方,先日の総務省の勧告にもあったように薬剤の副作用情報の報告・収集が不十分で,ワクチン注射の害作用についても,どれくらいの被害があるのか,不明です.

ワクチン注射を受けるか否かを自己決定するためには,ワクチン注射についてのベネフイットとリスクの情報提供が不可欠です.現状は,その情報提供が不足しているように思います.

1回ワクチン注射を受けても生涯HPVに感染しないというものではないので,やはり,早期発見のために子宮頸がん検診を定期的に受診することが重要となるでしょう.


谷直樹

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by medical-law | 2013-03-26 07:57 | 医療事故・医療裁判

名古屋市役所敷地内の屋外喫煙所の煙が向かいの病院へ

b0206085_922168.jpg中日新聞「名古屋市役所敷地内に屋外喫煙所 向かいの病院は懸念」(013年3月25日)は,次のとおり報じました.

4月から所管する全ての施設の建物内を全面禁煙化する名古屋市は25日、市役所敷地内の3カ所に屋外喫煙所を設けると発表した。

 開庁日の午前8時~午後6時に灰皿を置き、屋根や囲いは造らない。庁舎出入り口に近い場所などを選んだという。ただ、東庁舎東側に設置する喫煙所は、片側1車線の道路を挟んだ向かいに「愛知三の丸病院」がある。

 「道路を隔てているとはいえ、デリカシーがない」と病院職員。病院を訪れた名古屋市千種区の主婦小林扇子さん(60)は「喫煙者が集中すると、かなりの臭いになるのでは」と心配する。

 市の担当者は「煙が問題になるなら、再検討したい」と話している。」


本来,敷地内を禁煙とすべきでしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2013-03-26 02:49 | タバコ

抗がん剤情報収集に関するアンケート調査

ミクス「情報少なく新薬処方できず 約半数の医師が経験 抗がん剤治療で」(2013年3月25日)は,次のとおり報じました.

がん治療を行なっている医師を対象に「抗がん剤情報収集に関するアンケート」調査を、市場調査のインテージが実施し、3月21日発表した。処方薬剤を検討する際に最も困っているのは「診療ガイドライン通りの処方が最適なのかどうか迷うケースがある」(74.7%)で、次いで「エビデンスの少ない新薬についての情報が少ないため、なかなか新しい薬剤の処方ができない」(47.4%)だった。ガイドラインやエビデンスだけでは対応が難しい日常診療をサポートする情報の必要性が示された。

調査は、グループ会社アンテリオのドクターウェブパネルを利用し、がん患者を10名以上診療している全国のがん拠点病院および一般病院の勤務医95名を対象とがん患者を10人以上診療している全国のがん拠点病院と一般病院の勤務医95人を対象にインターネットで行ったもの。

処方判断を迷った時、最先端の医療機関(国立がんセンター、がん研有明病院など)での処方例の情報提供が受けられるとしたら、受けたいかを尋ねたところ、「是非、利用したい」 (26.3%)、「利用したい」(53.7%)と、約8割が受けたいとの意向を示した。

処方薬剤を検討する際、医師が参考にしている情報のトップ3は「エビデンス、治療成績」(94.7%)、「診療ガイドライン」(92.6%)、「論文、文献」(69.5%)だった。」


多くの医師がガイドラインを参考にしていることが分かります.医師が診療ガイドライン通りの処方が最適なのかどうか迷ったときに,最先端の医療機関に相談できるシステムがあるとよいですね.

谷直樹

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by medical-law | 2013-03-26 02:38 | 医療