弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2013年 04月 09日 ( 3 )

広島大学病院,南岡山医療センター,米子医療センター,山陰労災病院に喫煙ハウス

中國新聞「4病院で敷地内禁煙が未実施」(2013年4月9日)は,次のとおり報じました.
 
「中国地方で独立行政法人や国立大学法人が運営する30の公的病院のうち、広島大病院(広島市南区)など4病院が敷地内を全面禁煙にしていないことが9日、中国四国管区行政評価局の調査で分かった。厚生労働省は健康増進法に基づき「医療機関は全面禁煙が望ましい」との見解を示しており、評価局は4病院に改善を求めた。

 全面禁煙になっていないのは広島大病院のほか、国立病院機構南岡山医療センター(岡山県早島町)▽同米子医療センター(米子市)▽労働者健康福祉機構山陰労災病院(同)。

 広島大病院は昨年1月、中央診療棟の近くに「喫煙ハウス」(約5平方メートル)を設けた。室内の空気をフィルターで浄化して排気する装置を備え、ハウス内に限り喫煙を認めている。全国44の国立大学病院のうち、全面禁煙でないのは広島大と九州大だけという。

 広島大病院以外の3病院も敷地内に喫煙所を設けている。いずれも壁や窓で遮断されておらず、煙が外気に触れる状態という。

 病院内の喫煙をめぐっては、厚労省が10年2月の健康局長通知で、受動喫煙の防止をうたう健康増進法に基づき「官公庁と医療機関は全面禁煙が望ましい」としている。

 広島大財務・総務室は「喫煙ハウスは外部と遮られて受動喫煙の可能性はなく、事実上の全面禁煙になっている認識だった」と釈明。「他の大学病院の状況を踏まえ対応を検討する」としている。」


健康増進法第25条は,「学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。」と定めています.

平成22年2月25日付の厚生労働省健康局長通知「受動喫煙防止対策について」(健発0225第2号) は,「 受動喫煙による健康への悪影響については、科学的に明らかとなっている。」と述べます.

「受動喫煙による健康への悪影響については、流涙、鼻閉、頭痛等の諸症状や呼吸抑制、心拍増加、血管収縮等生理学的反応等に関する知見が示されるとともに、慢性影響として、肺がんや循環器疾患等のリスクの上昇を示す疫学調査があり、IARC(国際がん研究機関)は、証拠の強さによる発がん性分類において、たばこをグループ1と分類している。
また、受動喫煙により非喫煙妊婦であっても低出生体重児の出産の発生率が上昇するという研究報告がある。
また、国際機関や米英をはじめとする諸外国における公的な総括報告においては、受動喫煙の煙中には、ニコチンや一酸化炭素など様々な有害化学物質が含まれており、乳幼児突然死症候群、子どもの呼吸器感染症や喘息発作の誘発など呼吸器疾患の原因となり、特に親の喫煙によって、子どもの咳・たんなどの呼吸器症状や呼吸機能の発達に悪影響が及ぶなど、様々な報告がなされている。」


この医学知見に基づき,上記通知は,「全面禁煙は、受動喫煙対策として極めて有効であると考えられているため、受動喫煙防止対策の基本的な方向性として、多数の者が利用する公共的な空間については、原則として全面禁煙であるべきである。全面禁煙を行っている場所では、その旨を表示し周知を図るとともに、来客者等にも理解と協力を求める等の対応をとる必要がある。 また、少なくとも官公庁や医療施設においては、全面禁煙とすることが望ましい。」としています.

疾病を診断治療する医療施設が,受動喫煙でタバコ病をつくりだすことは本来許されることではありません.医療施設の全面禁煙は,すべての医療施設において早急に実行していただきたいと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2013-04-09 23:35 | タバコ

京都市立病院の個人情報流出事故

msn産経「京都市立病院の個人情報流出」(2013年4月9日) は,次のとおり報じました.

「京都市立病院機構(京都市中京区)は8日、委託業者が持ち出した病院の取引先の住所、口座番号など計5500件のデータの所在が分からなくなったと発表した。委託業者が個人情報を無断でコピーし、院外に持ち出したパソコンを盗まれたという。同機構は、システムへのアクセスにはIDやパスワードが必要で、個人情報が流出した可能性は低いとしている。」

個人情報保護法第22条は,「個人情報取扱事業者は、個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合は、その取扱いを委託された個人データの安全管理が図られるよう、委託を受けた者に対する必要かつ適
切な監督を行わなければならない。」と定めています.

「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」は,「医療・介護関係事業者は、検査や診療報酬又は介護報酬の請求に係る事務等個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合、法第20条に基づく安全管理措置を遵守させるよう受託者に対し、必要かつ適切な監督をしなければならない。「必要かつ適切な監督」には、委託契約において委託者である事業者が定める安全管理措置の内容を契約に盛り込み受託者の義務とするほか、業務が適切に行われていることを定期的に確認することなども含まれる。」としています.

したがって,委託業者に必要かつ適切な監督が行われていなかった場合は,京都市立病院機構も責任を負うことになります.

谷直樹

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by medical-law | 2013-04-09 06:47 | コンプライアンス

奈良県立医科大学附属病院,調査委員会が最低限解剖を勧めるべきと提言

奈良新聞「病理解剖の提案徹底 - 県医大病院の調査委が提言」(2013年4月8日)は,次のとおり報じました.

「橿原市の県立医大病院で平成21年7月、心臓手術後の幼児=当時(1)=が原因不明の容体急変で死亡し、同病院が設置した調査委員会が「想定外の事態が生じた症例は、病理解剖の(遺族への)提案と実施を徹底すべきだ」と提言していたことが7日までに分かった。

 調査委が24年5月にまとめた報告書によると、担当医師は「号泣する遺族を前に、これ以上苦痛を与えられなかった」として、解剖を提案しなかった。報告書は一連の治療に「許し難い過失や注意義務違反はなかった」とする一方、解剖をしなかったため容体急変の原因が特定できなかったとして「遺族に拒否される可能性があっても、最低限(解剖を)勧めるべきだ」と提言した…」


心臓手術後の幼児が原因不明の容体急変で死亡した事案において最小限解剖の提案をすべきとする公立大学法人奈良県立医科大学附属病院の調査委員会の提言はもちろん正しいのですが,病理解剖の提案がなされてもそれを病理解剖の増加につなげるのは難しいのが現実でしょう.かつては,病理解剖が熱心に勧め,遺族も医学の進歩のために同意した時代もあったのですが,医師側の事情(最近は医師からの熱心な勧めが少ないように思います.)と遺族側の事情で,病理解剖は年々減少しています.予想外の急変の原因を調べることで医学は進歩します.原因が明らかになることで遺族も疑問に応えることもできます.病理解剖の質を担保し,病理解剖の成果をわかりやすく示す活動が必要なのではないでしょうか.

谷直樹

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by medical-law | 2013-04-09 01:40 | 医療