弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2013年 04月 26日 ( 4 )

春の大型連休

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谷直樹

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by medical-law | 2013-04-26 19:54 | 法律相談

ノルバデックスとノルバスク,エクセラーゼとエクセミドとエクセグラン,誤って処方(報道)

ミクス「降圧薬と抗がん剤 抗てんかん薬と消化酵素製剤 似た販売名で誤投与 メーカー注意喚起」(2013年4月24日)は,次のとおり報じました.

「医療機関内で、販売名が似た違う薬剤を処方し、患者に誤って投与した医療ミスがあったとして、関係メーカーは注意を呼びかけている。この中で、降圧薬ノルバスク(ファイザー)を処方するところを抗がん剤ノルバデックス(アストラゼネカ)を処方した医療機関では、誤処方しやすいとしてノルバスクを採用していないなどのミス防止策をしていたものの、その対策をすり抜けてミスに至ったケースだった。

メーカーの文書によると、ノルバデックスを誤って処方した医療機関は、間違えやすい薬剤名だとしてノルバスクを採用していなかった。しかし、入院患者がノルバスクを持参、医師がオーダーリングシステムに「ノルバ」と入力した際に「ノルバデックス」のみが検索されたが、医師は、ノルバデックスの知識がなく、ノルバスクと勘違いし処方してしまった。ノルバデックスは抗がん剤であることを示す「青色」の表示がされていたが、医師はその意味を知らなかった。患者はその後転院し、紹介状にもノルバデックスを処方している旨が記載され、服用を続けていたが、病名と薬剤の適応症が合わないことに転院先の医師が気付き、ミスが判明した。

今回注意喚起された両剤のほか、▽消化酵素製剤エクセラーゼ(MeijiSeikaファルマ)を処方するところを抗てんかん薬エクセグラン(大日本住友製薬)を処方したケース▽調剤時に抗てんかん薬エクセミド(共和薬品工業)とシステムに入力するところを同薬のエクセグランと入力したケース--。抗てんかん薬エクセグランを誤って処方したケースは、入院患者が持参した消化酵素製剤エクセラーゼが医療機関のシステム画面上になく、エクセグランを選択。2日投与した後、患者が薬の説明書を見て気付き、ミスが判明したという。

これらは日本医療機能評価機構「医療事故情報等収集事業」に報告されたもの。これを受け、ファイザー、アストラゼネカ、MeijiSeikaファルマ、大日本住友製薬、共和薬品工業の各メーカーは文書で、オーダーリングシステムで取り違えを防ぐ表示をするなど工夫を求めている。」


メーカーは,医療現場に注意喚起を求めていますが,むしろ,メーカーが商品名を変えるべきと思います.そもそも,医薬品が多すぎるのも問題ですが,医薬品に類似の商品名をつけてはいけないなどのルール作りが必要で,ルールに基づき承認の時点で規制すべきものと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2013-04-26 05:24 | 医療事故・医療裁判

肺がん検診での見過ごし,原因究明・事故調査委設置を求める遺族と不要とする千葉市(報道)

msn産経「肺がん見過ごし女性死亡 遺族「原因究明して」 千葉市「再発防止策講じている」(2013.4.25)は,次のとおり報じました.
 
「千葉市が実施する肺がん検診で、委託先の医療機関が肺がんの所見を見過ごしたため、平成19年に市内の女性=当時(59)=が死亡した問題。25日に同市内で会見に応じた女性の夫(67)は、「なぜミスが起こったのか、市は原因を究明すべきだ」と訴え、事故調査特別委員会を設置しない市の対応に憤りをあらわにした。一方、市は「県警の捜査などで設置は難しかった」と釈明し、現在は再発防止策を講じているとした。

 遺族によると、女性が17年と18年に委託先の医療機関で検診を受けた際、「異常なし」と診断を受けた。しかし女性の死亡後、医療機関に開示請求した18年のカルテには「右肺の陰影が昨年より大きい」という記載があったという。

 夫は「どちらかの検診でがんを見つけることができたのでは」として医療機関を相手取り、裁判外紛争解決手続(ADR)を起こすとともに、実施主体の市に対しては事故原因の究明を求めて事故調査委の設置を要望した。

 肺がんの見過ごしを認めた医療機関とは22年に和解が成立したが、市は事故調査委を設置しなかった。
市によると、当初は事故調査委の設置を検討したものの、県警が業務上過失致死容疑で捜査に乗り出したため、検討を中断。その後、県警が立件を見送ったことで、市側は「見過ごしという原因究明がされており、再発防止策を講じているため設置の必要はない」と判断したという。

 一方、女性の夫は「市の再発防止策は具体性に欠ける。妻の死を価値あるものにするためにも、きちんとした対策をしてほしい」と訴えている。」


日本経済新聞「がん兆候見落とし女性死亡 千葉市健診、和解金払う」(2013年4月25日)は,次のとおり報じました.
 
「千葉市が医療機関に委託して実施した健康診断で、担当医が肺がんの兆候を見落としたため治療が遅れ、市内の女性(当時59)が2007年に死亡していたことが25日、市などへの取材で分かった。医療機関側はミスを認め、遺族に和解金として約1200万円を既に支払ったという。

 市と遺族によると、女性は05年6月と06年6月、市内の医療機関で胸のエックス線検査を受診。いずれも肺に影がみられたが「異常なし」と判断された。女性はその後、体の不調を訴え、別の医療機関で検査したところ末期の肺がんと診断され、07年11月に死亡した。

 医療機関側は「陰影は把握していたが、近く乳がんの検査もあると聞いていたので通知しなかった」と釈明したという。〔共同〕」


損害賠償金を支払えばよいというものではなく,医療機関側は「陰影は把握していたが、近く乳がんの検査もあると聞いていたので通知しなかった」と釈明したことが事実であれば,なぜそのような釈明を行ったのかを究明すべきですし,また,原因が見落としにあることが判明したからよいというものではなく,その見落としの原因を究明することが実効的具体的な再発防止策のためにも必要と思います.

谷直樹

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by medical-law | 2013-04-26 05:12 | 医療事故・医療裁判

聖隷三方原病院,コンプライアンス担当部門に内部告発した職員を不利益扱いで提訴される(報道)

msn産経「「内部告発後、不利益扱い」 職員が聖隷事業団を提訴 」(2013年4月26日)は,次のとおり報じました.

「浜松市や横浜市などで総合病院を運営する社会福祉法人、聖隷福祉事業団(浜松市中区)に勤務する職員が、病院内で違法行為が行われているとして内部告発したところ、不利益な扱いを受けたとして、同事業団を相手取り、慰謝料300万円を求める訴えを静岡地裁浜松支部に起こしたことが、25日分かった。

 訴状によると、原告は聖隷三方原病院(浜松市北区)に勤務していた際、平成21年4月から23年8月末までの間、麻酔医師の免許を持っていない歯科医師が手術の際に麻酔を行っているなどの違法行為を把握し、上司に通報した。また、原告は聖隷横浜病院(横浜市保土ケ谷区)で、医師が記載する必要がある医療関係書類を、事務員が医師に無断で作成していることを把握。21年6月に事業団のコンプライアンス担当部門に内部告発した。

 これらの告発後、原告は同僚や上司から悪口を言われるようになったり、仲間はずれにされるようになったとされる。また、原告が使用するパソコンのソフトが突然使用不能になったり、事務室や手術室への入室を禁止されるなどの不利益な扱いも受けたという。

 原告の代理人の弁護士は「公益通報後の不利益な扱いは公益通報者保護法に違反している。また、裁判の過程で病院の一連の違法行為が事実だったかについても明らかになっていくのでは」と話している。

 聖隷横浜病院の書類の無断作成をめぐっては、昨年6月に神奈川県警が元事務職員を有印私文書偽造、同行使の疑いで神奈川地検に書類送検している。

 聖隷事業団総務部広報室では「訴状が届いておらず、事実関係が把握できないのでコメントできない」としている。」


公益通報者保護法は,次のとおり規定しています.

「第五条  第三条に規定するもののほか、第二条第一項第一号に掲げる事業者は、その使用し、又は使用していた公益通報者が第三条各号に定める公益通報をしたことを理由として、当該公益通報者に対して、降格、減給その他不利益な取扱いをしてはならない。
2  前条に規定するもののほか、第二条第一項第二号に掲げる事業者は、その指揮命令の下に労働する派遣労働者である公益通報者が第三条各号に定める公益通報をしたことを理由として、当該公益通報者に対して、当該公益通報者に係る労働者派遣をする事業者に派遣労働者の交代を求めることその他不利益な取扱いをしてはならない。

第六条  前三条の規定は、通報対象事実に係る通報をしたことを理由として労働者又は派遣労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをすることを禁止する他の法令(法律及び法律に基づく命令をいう。第十条第一項において同じ。)の規定の適用を妨げるものではない。
2  第三条の規定は、労働基準法第十八条の二の規定の適用を妨げるものではない。」


また,公益通報は,公益通報者保護法2条の厳格な要件にあたらない場合であっても,判例が形成してきた基準にあてはまれば保護されると考えられます.

谷直樹

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by medical-law | 2013-04-26 04:37 | コンプライアンス