弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2013年 07月 21日 ( 1 )

中村航氏著『星に願いを、月に祈りを』

中村航氏の『星に願いを、月に祈りを』が,最近文庫本になりましたので,移動中に読みました.
2つの話が交互に進行し,つながるところは,村上春樹氏の『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を想起します.交互に同時進行するのは,読書と現実も同じです.電車に乗り文庫本を開くと,物語が始まり,電車が目的の駅に着くと物語は中断し,現実世界が始まり,また電車に乗ると物語が始まる・・・というように.
この本は,時間をかけ,ゆっくり読むほうがよいと思いました.

こと座α星のベガ (Vega),わし座α星のアルタイル(Altair),そして,はくちょう座α星のデネブ(Deneb)は,夏の大三角形を形作ります.
ベガとアルタイルは若い星で,それを優しく見守るデネブは白色超巨星です.
それが,この物語の構図です.

第1章は,小学5年生の大介の視点から,キャンプの不思議な一夜が語られます.中村氏の文章に引き込まれます.
星空放送局は,クリフ・エドワーズでWhen You Wish Upon A Starをかけます.

第2章は,中学生になり,野球部員となったアキオの視線から,語られます.
〝君はいつの日か、君が本当に届けたい人に、本当に届けたい何かを届けるんだ〟
アキオの使命が明かされます.

挿話を挟んで,第3章は,半袖セーラー服の見知らぬ少女(ミニー)の押す「ぽーん」で「僕」(掌ほたる)が起こされるところから始まります.
この「ぽーん」は,マーラーの交響曲第6番イ短調のハンマー?
交響曲第6番イ短調の第3楽章の主題は「亡き子をしのぶ歌」に似ています.

「うん・・・・・・、そうだね・・・・・・、と、僕はつぶやく。
うん・・・・・・、そうだよ・・・・・・、わかった、と、大切な人はつぶやく。
ありがとう・・・・・・、行くよ・・・・・・、と、僕はつぶやく。
そっか・・・・・・、そうだね・・・・・・、と、大切な人はつぶやく。」

素晴らしい第1章と第2章は,この第3章のためにあったことがわかります.

第4章は,最近の話です.

「ぽーん♪」

「ピアノの一番右の白鍵を押すと、硬い木を叩いたような音が鳴った。八十八鍵最後の響きは、最も短い時間で減衰する。だからこの音は、八十八鍵のなかで、一番寂しい音だ。一番寂しくて、一番切なくて、一番祈りに近い音だ。」

そして,23歳の里崎美紀は,モーツァルトのきらきら星変奏曲を演奏します.

「どうか君の夜空に、優しい星が流れますように-。」


谷直樹

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by medical-law | 2013-07-21 13:25 | 趣味