弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2013年 08月 10日 ( 3 )

元京都弁護士会長彦惣弘弁護士刺傷事件を受け、京都弁護士会対策強化へ

毎日新聞「京都の弁護士刺傷:「社会正義、使命貫く」 京都弁護士会長、事件受け」(2013年08月10日)は、次のとおり報じました.

「京都市上京区の路上で8日、彦惣(ひこそう)弘弁護士(66)が男にアイスピックで刺された傷害事件で、京都弁護士会の藤井正大会長が9日、京都市中京区で記者会見した。「いかなる理由があっても暴力を正当化できない」との見解を表明し、弁護士の安全確保のため京都弁護士会として対策を強化する方針を示した。今後、日弁連も抗議声明を出す予定。

 事件は8日午後6時半ごろ、上京区駒之町の路上で発生。男(60)がアイスピックで彦惣弁護士の脇腹などを刺し、上京署は男を傷害容疑で現行犯逮捕した。同署によると、弁護士業務に関連して男と彦惣弁護士との間にトラブルがあったという。

 藤井会長は、弁護士業務について「一部の当事者から反感や恨みを持たれる可能性が常にある」とした上で、「弁護士の使命である社会正義を実現するため、暴力に屈してはいけない」と強調した。彦惣弁護士は1975年に弁護士登録し2004年度には京都弁護士会長を務めた。【松井豊】」


京都新聞「元京都弁護士会長刺される 上京の路上、容疑男逮捕」(2013年8月9日)は、次のとおり報じました.

(被疑者は)「調べに対し「刺したのは間違いない。弁護人が来ないと話せない」と供述しているという。

 上京署の説明では、凶器は長さ23センチのアイスピックのような刃物で、腹を2カ所刺したとみられる。同署は、彦惣弁護士との間でトラブルがなかったか調べている。

 近くに住む女性(64)は「騒ぎを聞いて駆けつけると、男が『相手が謝らないからこんなことになる』としゃべっていた」と話した。



 この被疑者も、自分の弁護人となる弁護士は信頼しているようです.
 京都弁護士会は,具体的にどのような対策をとるのでしょうか.

【ご参考】

京都弁護士会「会員が襲われた件について(会長談話)」(2013年8月9日)

昨日当会会員の彦惣弘弁護士が男に襲われ負傷するという痛ましい事件が発生しました。
暴力はそれ自体人間の尊厳を踏みにじる許しがたい行為であり、いかなる理由があろうとも正当化できるものではありません。

弁護士は、その職業柄、他人間の紛争の渦中に身を置かねばなりません。
その中にあって弁護士の使命を果たそうとすれば、常に毅然とした対応をしていかなければなりません。そのため、ともそれば、一部の当事者や関係者から反感をかったり、逆恨みや業務妨害を受けるおそれは常にあるといわざるをえません。しかしながら、弁護士としての使命を貫くためにはそれらに屈することはできません。弁護士は、司法の一翼を担う重大な役割を国民から負託を受け、弁護士法により基本的人権の擁護と社会正義の実現という使命を帯びているからです。そのために、弁護士自治が確立し、それぞれ独立した立場にあります。しかしながら、その重大な使命を背負う生身の身体は、誰かが守ってくれる訳ではありません。その立場上、一人ひとりが自らの責任でセキュリティをはかっていくほかありません。それがゆえに、今回の事件には、京都弁護士会としても激しい憤りとともに深い悲しみを禁じえません。

今後、かようなことが起きないように、会全体としても、弁護士のセキュリティ問題に対して、取り組みを一層強化していきたいと考えております。」



谷直樹

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by medical-law | 2013-08-10 23:37 | 弁護士会

横浜市立大学附属病院と横浜市立大学附属市民総合センターで医療事故(2件)

東京新聞「横浜市立大 医療ミス2件公表 手術とカテーテル」(2013年8月9日)は、次のとおり報じました.

「横浜市立大学は八日、付属病院(同市金沢区)と付属市民総合医療センター(同市南区)で計二件の医療ミスがあったと発表した。

 付属病院では昨年五月、三十代の女性が椎間板ヘルニアの手術を受ける際、手術する位置を示すために刺した針が、実際より上の背骨に刺さっていることがエックス線撮影で判明。医師が指で骨をたどって手術したが、約一週間後、実際より下の背骨を手術していたことが分かった。女性は手術を受け直し、予定より三週間長い五週間で退院した。

 付属市民総合医療センターでは昨年十二月、県内の病院から転院した二十代女性が静脈カテーテルの栓を女性看護師に外された際、意識を失ってベッドに倒れた。血液に空気が混入し、脳の機能が落ちていることが分かったが、五カ月後に正常に戻った。看護師は、カテーテルに同センターで用いている弁が付いていないことに気付いていなかった。

 付属病院は、四月に栄養チューブの詰まりを除去するため高濃度の酢酸液を投与し、五十代の女性が死亡した事故の調査報告書も発表。科学的根拠が明確でない酢酸水を使う行為が「確認や検討がなされないまま患者に使用される慣行があった」とし、看護マニュアルの見直しなどを行ったことを明らかにした。 (橋本誠)」


2件とも基本的なミスといえるでしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2013-08-10 01:31 | 医療事故・医療裁判

第1回高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会

「第1回高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会」が,2013年年8月9日18:00~20:30,厚生労働省講堂で開かれました.

◆ 高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会論点(案)は,以下のとおりです.

「論点1:今回の事案を踏まえ、臨床研究の信頼性及び質の確保することが必要であるが、具体的にどのような方策を取り得るのか。また、その場合、どのような課題が考えられるか。

論点2:臨床研究の信頼性確保のためには、大学等研究機関と製薬企業との間の透明性を確保することが必要であるが、具体的にどのような方策を取り得るのか。

論点3:ノバルティス社が一連の誤ったデータに基づきディオバンに関する広告等の販売促進活動を行ったこと及びそれにより得た売上金額についてどのように考えるべきか。

論点4:論点1~3を踏まえ、我が国の臨床研究に対する信頼回復に向けた取組みとして、大学等研究機関、製薬企業、学界、行政等はどのようなことを行うべきか。

※上記論点1~4の検討に当たっては、今回の事案は約10年前に実施されたものであり、当時と現在の臨床研究を取り巻く環境の変化があることについて考慮する
ことも必要ではないか。

※現在、臨床研究については、被験者保護の観点から「臨床研究に関する倫理指針」等において、関係者が遵守すべき事項を厚生労働大臣告示として定めている。」


◆ 委員は下記のとおりです.

稲垣治氏 (日本製薬工業協会医品評価委員会委員長)
桑島巌氏 (特定非営利活動法人臨床研究適正評価教育機構理事長)
曽根三郎氏 (日本医学会利益相反委員会委員長 委員長)
竹内正弘氏(北里大学薬部 北里大学薬部 臨床医学(統計・薬開発)教授)
田島優子氏 (さわやか法律事務所弁護士)
田代志門氏 (昭和大学研究推進室講師)
花井十伍氏 (全国薬害被者団体連絡協議会代表世話人)
藤原康弘氏(独)国立がん研究センター企画戦略局長)
宮田満氏 (日経BP 社特命編集委員)
森下典子氏 ((独)国立病院機構大阪医療センター臨床研究推進室室長)
森嶌昭夫氏 (名古屋大学誉教授)
山本正幸氏 (公益財団法人かずさ 公益財団法人かずさDNA研究所 所長)

日本経済新聞「製薬会社、5大学に11億円寄付 治療薬データ操作」 (2013年8月9日)は、次のとおり報じました.

「スイス製薬大手の日本法人、ノバルティスファーマ(東京)の高血圧症治療薬の臨床研究データに人為的な操作があった問題で、真相解明や再発防止策を議論する厚生労働省の検討委員会の初会合が9日、開かれた。ノ社の元社員(5月に退職)が参加し、薬の効果を調べる臨床研究をした5大学の研究室に、同社が計11億3290万円を寄付していたことが明らかになった。

 検討委は研究者や弁護士ら12人で構成。今後、元社員らから事情聴取を進め、9月末をめどにいったん結論をまとめる。臨床研究開始から10年以上が経過しており、大学側とノ社の調査が食い違う中で真相に迫れるかが今後の焦点だ。

 問題の治療薬はディオバン(一般名バルサルタン)。

 この日の会合で、京都府立医大と東京慈恵医大はデータ操作があったとする調査結果を報告したのに対し、ノ社は元社員による意図的な操作を示す証拠は見つからなかったと改めて説明した。元社員はデータ操作を否定している。

 滋賀医大は、元社員の他に、部下の同社員(当時)1人も研究に関わっていたと明らかにした。

 一方、ノ社は2002~12年、5大学の主任研究者の研究室に提供した奨学寄付金を公表。京都府立医大3億8170万円、慈恵医大1億8770万円、名古屋大2億5200万円、千葉大2億4600万円、滋賀医大6550万円だった。」



MSN産経「賠償責任「薬害と別物」 刑事責任“虚偽”適用困難」(2013年8月9日)は、次のとおり報じました.

「ディオバン販売元のノバルティスファーマは、降圧効果に加え脳卒中や狭心症の予防などにも有効とした論文を宣伝に使用し、年間1千億円超を売り上げていた。先月29日の会見で患者らへの賠償責任を問われた二之宮義泰社長は「患者の役に立つ薬剤だと思っている」と述べ、それ以上の言及を避けたが、実際に患者らが民事訴訟を起こしたり、関係者の刑事責任を問うことは可能なのだろうか。

 「重篤な副作用被害が生じたこれまでの薬害問題とは性質が異なる」と指摘するのは、薬害エイズなど多くの医療訴訟を手がけてきた医療問題弁護団代表の鈴木利広弁護士だ。個々の患者が購入費用上の損害のみを対象に訴訟を起こすのは訴訟費用と見合わず、健康保険組合も、組合員の強い要請がない限り訴訟は現実的ではないという。鈴木弁護士は「真相究明が十分になされた後、業界団体が自主的な賠償を求めていくという方策もある」と話す。

 刑事責任はどうか。京都府立医大で論文不正が発覚した際、山田啓二府知事は「犯罪に当たる話なら告発しないといけない」と述べ刑事告発も視野に入れるよう求める姿勢を示した。

 捜査関係者は、産地偽装など品質を誤認させる表示を禁じた不正競争防止法違反が考えられるとする一方、「医薬品の顧客は専門家である病院や薬局。データの不正操作で『誤認させる』とまでいえるのか」と慎重な見方も示す。

 医薬品の製造販売などを規制する薬事法は虚偽や大げさな広告も禁じているが、別の捜査関係者は「降圧効果がある以上、『虚偽』ではないし『大げさな広告』とも言い難い」。降圧以外の効果を装い、不当な価格で購入させたとする刑法の詐欺罪の適用も「会社が元社員の不正を把握し、組織ぐるみでだます意図があったことを示す証拠が必要で、相当厳しいだろう」(同)としている。」


まず,事実を解明していただき,原因を探求し,そのうえで論点1から4について検討し,臨床研究の透明性と公正性を保障する法的枠組み,違反した場合のサンクションを提案していただきたいと思います.結論を急ぐよりまず事実の解明が必要と思います.はじめに結論ありきの検討会では意味がありません.
このような論点(案)が第1回にでてくるとは!

【追記】

ミクス「ディオバン問題検討委が初会合 新たに2試験で論文とカルテデータに食い違いも」(2013年8月12日)は,次のとおり報じました.

◎VART 血圧値にカルテデータと食い違いも

この日の検討委では、「KYOTO Heart Study(京都府立医科大学)」、「JIKEI Heart Study(東京慈恵会医科大学)」、「VART Study」、「SMART Study」、「NAGOYA Heart Study(名古屋大学)」の臨床研究で中心となった医療機関と、ノバルティスの元社員が肩書きとしていた大阪市立大学の内部調査の現状と、ノバルティスからのヒアリングが行われた。

VART Studyでは、カルテデータと論文データとの間で血圧値について食い違いがみられたことも分かった。千葉大学では、7月5日に症例データを入手、8日から内部調査を開始した。登録時の症例データ109例のうち、解析対象の108例をカルテから特定し、外部機関の先端医療振興財団臨床研究情報センターが照合を行った。

その結果、イベント数(脳卒中、心不全、血清クレアチニン2倍)には解析に用いられたデータベース情報とカルテデータに相違はみられなかった。一方、血圧の測定全ポイント1512のうち、67ポイント(4.4%)に相違がみられたとした。ただ、「カルテデータでの集計結果とデータベース情報から得られた結果との間に有意差は認められなかった」としている。副次評価項目についても調査中という。

同試験へのノバルティス社の元社員との関与について、臨床研究を開始した際の主任研究者(小室一成氏・現東京大学大学院医学系研究科循環器内科学)は、「ノバルティス社の元社員だということを知っており、プロトコルを作成する委員会などには来ないように言っていた」と説明。同試験では、途中で主任研究者が交代しているが、その後は、「ノバルティスの元社員であることは知らなかった。データについてその方に触れさせることとはなかったと聞いている」(横須賀收氏・千葉大学大学院医学研究院医学研究院長)としている。

◎SMART研究 ずさんなデータで論文と一致しない点も 

SMART研究についても、“ずさんなデータ”が含まれており、カルテデータと論文データとの間にかい離がみられる可能性が指摘された。同試験では、2型糖尿病合併高血圧患者における、微量アルブミン尿減少効果をCa拮抗薬とARB群の2群間で比較した。内部調査では、「イベント数ではなく、数値そのものを検討している」(服部隆則氏・滋賀医科大学副学長・教育担当理事)と説明。7月15日に90例のカルテデータを入手し、論文の再現性などについた調査を進めているとした。

現在、カルテデータと論文データとの比較を進めている中にあって、服部氏は「最終的な報告はできない状況」とした上で、「論文の生データを見ると、非常に初歩的なミス、つまりカルテからの入力ミス、計算ミスなどがたくさんでてきている。論文内容と必ずしも一致しない部分もでてきている」と述べた。

Diabetes Careに掲載された主要論文の著者の中に、ノバルティスの元社員の部下が含まれていたことも報告。ノバルティス元社員が主任研究者らと研究立案後に、元社員の部下が研究に参加したと説明した。この元社員の部下は、データ検討委員会や処理にかかわっていたという。

服部氏は、「ノバルティス社の社員2名が関与していたという驚くべき、衝撃的事実が分かってきた。論文の信ぴょう性に関しましては、かなりずさんなデータであるということで、外部委員会にお願いして中立な公表を行いたい」と述べた。今後、研究にかかわった医師、ノバルティスの元社員、元社員の部下らにもヒアリングなどに数週間を要するとし、最終結果については1か月以内に公表する予定とした。


そのほか、ノバルティスの元社員が肩書として用いていた大阪市立大学も内部調査を実施。元社員が所属していた産業医学教室では、「医師主導臨床研究は行っていない。元社員も、産業医学教室で行っていないと主張している。倫理委員会にも当該臨床研究は提出されていない。本学は臨床研究に一切かかわっていない」と述べた。また委嘱についても、“講義”のみを想定したとし、「研究という形でかかわるということは想定していなかった。上司である教授にもそういう相談はしていない。寄附金も産業学教室には一切入っておりません」と、同大学の臨床研究へのかかわりを否定した。同大では元社員は「デスクもメールアドレスも持っていない」とした。なお、委嘱は、2002年4月~13年3月まで(1年更新)。同大では、06年度医学研究セミナーで講義を行ったほか、院生に対してゼミなどで数回指導を行ったとしている。


一方、ノバルティスは奨学寄附金として、2002~12年までの10年間で、東京慈恵会医科大学に1億8770万円、千葉大学に2億4600万円、京都府立医科大学に3億8170万円、滋賀医科大学に6550万円、名古屋大学に2億5200万円の寄付を行ったことも分かった。ただ、同社では2010年以降、契約書で使途を明示した、委託受託契約方式に変更しているとした。また、プロモーション資材として5試験をめぐり、ディオバン関連1384資材のうち、推定495種類を用いていたことも公表。ただし、KYOTO Heart Study関連論文に関する資材は、論文の撤回を受け、13年2月4日以降使用を中止、その他の関連論文についても、5月20日以降は使用を中止しているとした。」



谷直樹

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by medical-law | 2013-08-10 01:04 | 医療