弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2013年 08月 11日 ( 2 )

日弁連,「医療事故に係る調査の仕組み等に関する基本的なあり方」に関する会長声明

日本弁護士連合会(日弁連)は,2013年8月9日,「医療事故に係る調査の仕組み等に関する基本的なあり方」に関する会長声明を発表しました.

「本年5月29日、厚生労働省内の「医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会」は、「医療事故に係る調査の仕組み等に関する基本的なあり方」(以下「本とりまとめ」という。)を公表した。これを受けて、厚生労働省は、今秋の臨時国会において必要な法改正を目指すと報じられている。

医療事故が発生したとき、その原因を調査分析して再発防止に生かすことは、患者の安全な医療を受ける権利の実現のために欠かすことのできない取組である。そのため、当連合会は、2007年3月16日付け「『医療事故無過失補償制度』の創設と基本的な枠組みに関する意見書」及び2008年10月3日付け「安全で質の高い医療を受ける権利の実現に関する宣言」など、かねてより、国に対して、医療事故調査制度を整備することを繰り返し求めてきた。今般、本とりまとめによって、医療事故調査制度の実現に向けた具体的な作業が開始されることは、まずは評価することができる。ただ、本とりまとめには、なお検討すべき問題点がある。その骨子は、次の3点である。

第一に、調査の対象となる医療事故及び第三者機関への届出の範囲は、より広く設定すべきである。本とりまとめは、行った医療又は管理に起因した死亡(そのような死亡が疑われるものを含む。)で事案の発生を予期しなかったものを対象とするが、本来、再発防止のためには、広く医療事故事例を集積して調査分析することが求められる。当面、診療関連死から開始するとしても、本とりまとめのように調査対象を限定するべきではないし、不作為による事故事例も対象とすることを確認すべきである。なお、死亡事例以外は、段階的に拡大していくとしているが、早急に拡大すべきである。また、医療機関は事故発生後直ちに届出を行うよう明示すべきである。さらに、第三者機関に対する事故の届出については、遺族からの届出を受理する仕組みも必要である。

第二に、院内事故調査委員会について、中立性・透明性・公正性・専門性を担保する具体的な仕組みが必須である。本とりまとめは、外部の専門家の支援を受けることができるという記載にとどまるが、具体的には、外部委員を過半数とする、弁護士等医療者以外の外部委員を加える、委員長は外部委員とするなどの原則的な委員構成を明確に定める必要がある。また、支援法人・組織にも、中立性・透明性・公正性・専門性を担保する制度が必要である。

第三に、第三者機関の業務を効果的にするためには、事故調査等情報の収集、院内事故調査に対する指導・監督・検証、独自の事故調査、再発防止勧告、医療安全の啓蒙普及などに関する権限を認め、これを法律で明確に定めなければならない。本とりまとめは、独立性・中立性・透明性・公正性・専門性を有する民間組織としての第三者機関を設置するとしている。この点、院内事故調査に任せるのではなく、第三者機関がかかる実質的な機能を果たすことが、市民が信頼するに足る事故調査制度であるためにも必須である。そのためには、これが全国一つの組織ではなく地域単位で支所を設置するなど、必要な役割を果たし得る組織として設置される必要がある。また、第三者機関の維持・運営のために、十分な予算措置を講じること及び事故調査に必要な解剖実施体制の整備が必要である。

医療事故の再発防止及び医療の安全と質の向上は、全ての市民の命と健康、ひいては人生に直結する。国にはこれを保持する責務がある。医療事故調査制度はこの医療の安全と質の向上を実現するために必須の制度であり、この医療事故調査制度を担う要は、独立性・中立性・透明性・公正性・専門性を有する第三者機関である。本声明が指摘する問題点を解決し、我が国において、かかる第三者機関が設置され、真に実効性のある医療事故調査制度が創設されることを強く望むものである。」


医療事故の再発防止及び医療の安全と質の向上は,医事事件にかかわる弁護士であれば,医療側を代理する弁護士も患者側を代理する弁護士も,誰もが強く願っていることと思います.そのためには,院内調査のみならず,医療事故調査を行う中立的第三者機関の充実が必要です.調査は,医療事故の再発防止及び医療の安全と質の向上という公の利益のためですから,遺族に費用負担をさせるべきではないでしょう.

医療側を代理する弁護士も患者側を代理する弁護士も所属する日弁連が,会長声明という形で,①調査対象を診療関連死から早急に拡大することが必要,②院内事故調査委員会について外部委員(弁護士等医療者以外の外部委員を加える)を過半数とする,③独立性・中立性・透明性・公正性・専門性を有する第三者機関を地域単位設置する,等の意見を発表したことは,今後の議論にための一石となると思います.

谷直樹

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by medical-law | 2013-08-11 20:39 | 弁護士会

4大法律事務所は9時ー5時(もちろんAM)勤務が当然

金融ジャーナリスト伊藤歩氏の記事「2年目で肩叩き?エリート弁護士の出世競争 4大事務所は9時ー5時(もちろんAM)勤務が当然」が東洋経済に載っています.

「総じて法曹を目指す人のマインドは、世間が思うよりもはるかに純粋だ。社会正義を実現したい、グローバルカンパニーを法的な側面で支援をすることを通じ、日本経済の発展に貢献したい、といった高邁な目的があればこそ、難関試験にも挑める。

司法修習を経て、徐々に現実の弁護士業務への理解が進んでも、なお、新人弁護士が抱く理想は高邁だ。それでも現実に初任給という形で自分の価値に値段がつく段階になると、やはり高い値段をつけてくれる事務所に素直に心が動く。ブル弁事務所へのあこがれは、スケールの大きい仕事ができるということへのあこがれが第一ではあるが、自分に高い値段がつくことへの誇りが相まったものといったところだろう。」

「一般に4大事務所のオンタイムは「9時-5時」と言われる。これは午前9時から午後5時を指しているのではない。午前9時から午前5時のことを言うのである。もちろん象徴的な意味での言い回しではあるのだが、職場のすぐ近くに住居を構え、午前9時から翌朝5時まで働き、短時間の仮眠後、午前9時には業務を開始できる。そのくらいの覚悟がなければ入所すべきではないという、覚悟を促す言い回しなのである。」

「9時-5時生活を覚悟しなければならないのは4大事務所プラス一部の大事務所くらいだ。マチ弁でもブル弁でも、総じて土日も働いている弁護士は多いが、平日に毎日3~4時間睡眠などという生活をしている弁護士は、決して多数派ではない。」

「肩たたきは入所2~3年目が最初のターニングポイントだ。よほどひどければ入所1年目で追い出されるが、大体は2~3年目。」

「この時期に大事務所を辞めるとかなり悲惨だ。大事務所は大企業相手の法務であり、しかも分業が徹底しているので、ごく限られたことしか経験していない。」

「1年程度で大事務所を離れ、中規模の有力事務所への移籍を選択する有能な若手弁護士は増加傾向にある。」


記事は、けっこうあたっているように思います.4大法律事務所に残っている弁護士は、感心するくらい寝ないで平気です.どうすれば、寝ないでさくさく仕事ができる特別な能力を身につけることができるのでしょうか.

なお、4大法律事務所とは、400人台の西村あさひ法律事務所、300人台の長島・大野・常松法律事務所、森・濱田松本法律事務所、アンダーソン・毛利・友常法律事務所をいいます. 5大法律事務所というときは、200人台のTMI総合法律事務所が加わります.4大の人数は減少傾向にありますが、TMIは増加傾向が続き、4大との差を縮めています.6位のシティユーワ法律事務所は100人台ですから、4大は突出して大人数です.

谷直樹

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by medical-law | 2013-08-11 00:45 | 司法