弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2013年 08月 29日 ( 3 )

都立墨東病院,医療用麻薬「フェンタニル」紛失

MSN産経「医療用麻薬を紛失 都立墨東病院」(2013年8月28日)は,次のとおり報じました.

「東京都は28日、都立墨東病院(墨田区)で保管していた痛み止めの医療用麻薬「フェンタニル」の未使用アンプルと空瓶をそれぞれ2本紛失したと発表した。

 同病院などによると、23日夕の確認で紛失が判明。探したが見つからず、26日に本所署に紛失を届け出た。フェンタニルは通常点滴に入れて使用するもので、体重50キロの100人に各230本を注射した場合、半分が死亡する可能性があるという。」


以前,国立循環器病センターで「フェンタニル」が30本紛失し,同センターの麻酔医が窃盗容疑で逮捕されたことがありました.
本件は,窃盗なのか,誤廃棄なのか,慎重な捜査が必要でしょう.


谷直樹

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by medical-law | 2013-08-29 06:30 | 医療

箕面市立病院,空気塞栓症による71歳男性死亡事案で,3600万円示談(報道)

読売新聞「肺がん手術中に針貫通、死亡…遺族と病院和解」(2013年8月28日)は,次のとおり報じました.

「大阪府箕面市の同市立病院で昨年6月、肺がん手術中に男性患者(当時71歳)が死亡する医療事故があり、同病院は27日、遺族側に約3600万円の示談金を支払うことで和解が成立した、と発表した。

 9月4日開会の市議会に示談金支払いに関する議案を提出する。

 発表によると、昨年6月26日、男性の左肺の一部を切除する手術で、担当医が肺に空気を送るために気管支に針を刺した際、誤って針が気管支を貫通し、肺静脈に刺さった。しかし、ミスに気付かず、そのまま肺静脈に空気を送り、数秒後、男性は全身の血管内に空気が入り血流が止まる「空気塞栓症」を発症。救命処置を行ったが、約2時間後に死亡したという。

 記者会見した重松剛・市病院事業管理者は「亡くなった患者や遺族に対し、心から申し訳なく思っている。再発防止に努めていきたい」と陳謝した。」


約20ミリリットル以上の空気が入ると空気塞栓症を起こし,血液の流れがとまります.
肺静脈に空気を送ってしまったことが肺塞栓症の原因ですから,因果関係と注意義務違反が認められますので,病院側の責任は明らかです.

なお,逸失利益の算定は,事故がなければその患者がどれくらい生きることができたかによって異なります。そこで,その患者の余命が問題になることがあります.他方,死亡慰謝料については,余命の長短は死亡慰謝料の算定に影響しないという考え方(この考え方のほうが正しいと思います)と,多少算定に影響があるという考え方があります.


谷直樹

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by medical-law | 2013-08-29 06:05 | 医療事故・医療裁判

彦根市立病院,説明義務違反で1000万円和解(報道)

毎日新聞「彦根市立病院:手術中死亡、遺族に賠償金1000万円 市、説明責任認める」(2013年8月27日)は,次のとおり報じました.

「彦根市は26日、市立病院(金子隆昭院長)で手術を受け、静脈損傷による出血多量で死亡した70代の男性の遺族に1000万円の損害賠償金を支払い和解する方針を明らかにした。9月2日開会の定例議会に提案する。

 病院によると、男性は昨年7月上旬に脊椎(せきつい)固定の手術を受けた。更に、同8月上旬に病巣部分を除去して骨を移植するため2回目の手術を受けたが、手術開始から約1時間後に病巣近くの静脈から出血。輸血と止血の措置を行ったが開始から15時間後に死亡した。いずれも整形外科主任部長が執刀した。

 死亡について、病院側は「病巣近くの静脈が脆弱(ぜいじゃく)だったため出血し、止血できなかった。手術自体に問題はなかった」としている。ただ、手術の方法や合併症、死亡の可能性などについての説明責任を十分果たさず、「患者が不本意な結果の可能性を認識した上で手術が受けられなかった」と認めている。金子院長は「患者さんやご家族に迷惑をかけ申し訳ない。今回の事案を謙虚に受けとめ医療の質の向上に生かす」とコメントした。【松井圀夫】」


説明義務違反の賠償金額については,判決例,和解例において幅があります.
適切な金額はそれぞれの事案に応じて異なりますが,死亡のような重大な結果が発生する可能性について説明を怠った場合の例として,本件は参考になると思います.


谷直樹

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by medical-law | 2013-08-29 06:04 | 医療事故・医療裁判