弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2013年 09月 27日 ( 3 )

さいたま地裁平成25年9月26日判決,急性肺血栓塞栓症による死亡で越谷市立病院の責任認める(報道)

東京新聞「過失認め4770万円賠償命令 越谷市立病院の女性患者死亡」(2013年9月27日)は,次のとおり報じました.

「越谷市の市立病院で二〇〇八年、入院中の女性=当時(66)=が急性肺血栓塞栓症(はいけっせんそくせんしょう)で死亡したのは診断ミスが原因だとして、女性の遺族が約六千五百万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が二十六日、さいたま地裁であり、窪木稔裁判長は市立病院の過失を認め、病院を運営する越谷市に約四千七百七十万円の支払いを命じた。

判決は、女性に意識消失や呼吸困難など急性肺血栓塞栓症を疑う症状があったのに、市立病院は必要な検査と治療を行わなかったと判断。適切な治療を行っていれば助かった可能性を指摘し、死亡との因果関係を認めた。市は「急激な高血糖による症状と考えるのが自然だった」と争っていた。

判決は、女性を最初に診察した医院への損害賠償請求は退けた。

市は判決について「まだ判決文が届いていないのでコメントは差し控えさせていただきたい」としている。」


 救命可能性(因果関係)まで認めた判決です.

谷直樹

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by medical-law | 2013-09-27 09:54 | 医療事故・医療裁判

富山県立病院,スタッフステーションで保管していた向精神薬紛失

読売新聞「県立中央病院で向精神薬紛失」(2013年9月27日)は,次のとおり報じました.

「富山市の県立中央病院(野田八嗣院長)は26日、精神病棟(50床)で入院患者向けに処方された向精神薬を含む62錠を紛失したと発表した。事故対策チームを設け調査を進めているが、盗難の疑いもあるとして富山中央署に届け出た。

紛失したのは睡眠導入剤のハルシオン19錠、抗不安剤のレキソタン20錠の向精神薬2種類のほか、安定剤のデパス19錠、睡眠導入剤のアモバン4錠。いずれも看護師らが詰めるスタッフステーションで保管していた。女性看護師が25日、5人分の薬の紛失に気づいた。

ステーションのドアには常時鍵が掛けられており、監視カメラも設置されているが、薬の保管棚は鍵付きではなかった。

同病院は同日午後、医師や看護師ら約40人から聞き取り調査を実施。監視カメラの記録からはこの数日間、不審者の出入りは確認できなかったという。

麻薬及び向精神薬取締法は、鍵をかけた場所での向精神薬の保管を定めているが、野田院長はステーションに鍵が掛かることを理由に「管理に問題はなかった」と説明。今後は、鍵の掛かる保管棚を利用するなど再発防止に努めるという。」



福井大学病院の薬剤師が,コカイン窃盗の疑いで逮捕された事件もありました.病院の薬の管理は厳重にしてほしいですね.

谷直樹

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by medical-law | 2013-09-27 09:28 | 医療

宗圓聡教授「患者実態調査から見えた患者の本音と疼痛治療の満足度向上に向けて」

ミクス「近畿大医学部・宗圓教授 NSAIDs一辺倒の疼痛治療を問題提起」(2013年9月26日)は、次のとおり報じました.

「近畿大学医学部奈良病院整形外科・リウマチ科の宗圓聡教授は9月24日、「患者実態調査から見えた患者の本音と疼痛治療の満足度向上に向けて」(主催:ヤンセンファーマ)と題する疼痛メディアセミナーで講演した。この中で、変形性膝関節症など5つの運動器疾患を有する患者の調査から、鎮痛薬を服用している患者の88.8%が非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)を使用している現状が明らかになった点をあげて「患者の多くが1年以上鎮痛薬を使用していたのにもかかわらずNSAIDsの使用が9割弱という状況は問題があるのではないか」と指摘した。そのうえで、疼痛の原因や状況に応じた薬剤選択が重要との認識を示した。

調査は、ヤンセンが楽天リサーチの患者パネルを使用して2012年11月27日~12月3日に行った。方法はインターネット調査。調査対象は、運動器の5大疾患の診断を受けて現在通院治療中の40歳以上の患者で有効回答数は897人。内訳は変形性膝関節症195人、骨粗鬆症186人、関節リウマチ179人、脊柱管狭窄症172人、椎間板ヘルニア165人だった。

疼痛のために経口鎮痛薬を服用している患者の割合は、骨粗鬆症が26.3%で3割を下回ったが、他疾患はいずれも5割超で、全体で見ても51.8%(465人)だった。次に経口鎮痛薬の内訳を見ると、NSAIDsが88.8%と圧倒的に多く、続いて神経障害性疼痛用薬プレガバリン(製品名リリカ)が14.6%、弱オピオイド系のトラマドール塩酸塩とアセトアミノフェンの配合錠(トラムセット)が7.5%、ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液含有製剤(ノイトロピン)が7.3%、抗うつ薬・抗てんかん薬・抗不安薬は8.0%――だった。

鎮痛薬服用中の患者の7割以上は1年以上服用を続けていた。一方、鎮痛薬を服用しても「あまり痛みは取れない」「全く痛みは取れない」とする患者が脊柱管狭窄症患者で半数以上、他疾患でも2~4割を占めた。

◎慢性期の疼痛管理はNSAIDsでは不十分 長期使用の弊害も

宗圓教授は講演で、痛みの種類によってアプローチが異なるとし、外的な刺激や炎症により発生する侵害受容性疼痛の急性期にはNSAIDsが有効であり、神経の損傷などで知覚異常を伴う神経障害性疼痛にはリリカなど神経疼痛緩和薬、侵害性と神経性が合わさった疼痛や慢性期には弱オピオイド系などの組み合わせが考えられるとした。調査対象の運動器疾患の場合、急性期はNSAIDsが第一選択となり得るものの、急性疼痛が遷延化してくる亜急性期や中枢神経系の機能が亢進する慢性期にはNSAIDsでの疼痛管理が困難となり、トラムセットやリリカなどでの管理が必要になってくるという。


宗圓教授はNSAIDsの長期服用による消化管障害や腎障害の副作用についても言及。消化管障害についてはPPIとの併用で予防できるものの、腎障害についてはいまだ有効な予防策がなく、調査で取り上げた運動疾患は高齢者が多いことからもNSAIDsの長期使用は慎重にすべきとの見解を示した。また、鎮痛薬の効果を評価し、治療を見直す時期としては、慢性疼痛の診断の定義にもある3カ月が目安になるとした。」


文献に書かれているとおりには薬剤が使われていない, NSAIDsを長期間続けている,という実態が明らかになったわけです.

谷直樹

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by medical-law | 2013-09-27 01:39 | 医療