弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2013年 10月 01日 ( 3 )

選択型実務修習プログラム

東京の弁護士会では,各委員会に委託して,選択型実務修習プログラムを実施しています.
私は,昨日,消費者委員会からの要請で,「医療と人権」というテーマでお話しました.
患者側弁護士の4つの活動(事件活動,無償のボランティア活動,研究活動,教育普及活動)は,いずれも人権と正義のためであることをお話しました.
事前に,パワーーポイントで作成したファイルを送っておいたのですが,なぜか配布されておらず,受講生のみなさまにはご迷惑をおかけしました.

谷直樹

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by medical-law | 2013-10-01 09:41 | 人権

米国の判事は、大型案件の供述書の分析等を外部の特別マスターに委託

wsj「米国の判事、事務作業を積極的に外注」(2013年 9月 30日)は、次のとおり報じました.

「米国各地の数千人の患者が、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)(JNJ)の子会社が製造した人工股関節には欠陥があるとして同社を提訴した。キンケード判事には、数百万ページに及ぶ証言をまとめ、世界各地からの数十件の供述書の指針を定めた上で、弁護士の顧問料金をめぐる争いを解決する責任がある。

 キンケード判事はすぐにこの案件を専門家に委託した。ダラス地裁では訴訟事件一覧表がびっしり詰まり、職員が大量の作業を抱え込んでいることを挙げ、「当方にはこのような大型案件を扱うだけの資源がない」と述べた。

 キンケード判事は本件の特別マスターに弁護士で元州裁判事のジェームズ・スタントン氏(36)を指名した。スタントン氏は基本的にキンケード判事の代役として供述書の分析や公判前の事務処理を行う。」


「裁判所命令が特別マスターの任務を設定するが、広範な責任を担う場合もある。ただし訴訟の最終的な権限は判事にあり、判事は特別マスターの判断に従う必要はない。特別マスターは訴訟当事者から収入を得る。訴訟の当事者は通常、迅速な処理によって訴訟費用を節約したいと考えている。

 特別マスターの数についての包括的なデータはほとんどないが、今や原告が複数の管轄区域にまたがる案件や知的所有権をめぐる大型案件では、特別マスターが重要な役割を果たしている。

 弁護士や仲裁役、退職した裁判官にとっては、大きな事業機会となる。顧問料は1時間当たり約300〜1000ドル。当事者や裁判所との交渉によって決まる。特別マスター自身の経験や個人で請け負った場合の顧問料、案件の性質などによっても変わってくる。」


日本の最高裁で調査官が行っているような作業を,米国では,外部の「特別マスター」に委託しているようです.

もちろん最終的な権限が判事にあるのですが,実際に記録を丹念に読んでいない判事は、事実上特別マスターが示した方向で判決を下さざるをえないでしょう.
とは言え,事件に追われている判事にとっては,特別マスターはなくてはならないものでしょうし,米国では,大型集団事件、専門事件に迅速に対応するためには、特別マスターが必須なのでしょう.

日本でも,「消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律」(日本版クラスアクション)が成立すると,米国の状況に近似することになるのはないでしょうか.

日本でも,いずれ,TPP(環太平洋戦略的経済連携協定,Trans-Pacific Partnership)によって,「特別マスター」を導入することになるかもしれませんね.日本の裁判遅延によってアメリカの企業の権利が侵害されている,迅速な裁判のために裁判の一部外注化をはかるべきだと言われそうです.

専門訴訟の専門委員に特別マスターの萌芽がある,とも言えるでしょう.

特別マスター制度が導入されれば,当事者が特別マスターの費用を負担することになりますが,すでに医事訴訟では,当事者が鑑定費用を負担しています.
日本の専門委員,鑑定人と,米国の特別マスターは,五十歩百歩と思います,


谷直樹

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by medical-law | 2013-10-01 03:02 | 司法

群馬大学医学部付属病院、患者2人の個人情報を共有サイトにアップした医師を医師を懲戒解雇

弁護士毎日新聞「群馬大:患者2人の個人情報をネットに 医師を懲戒解雇」(2013年9月30日9は、次のとおり報じました.

「群馬大は30日、医学部付属病院の患者2人の個人情報をインターネット上に流出させたとして、同病院の30代の男性非常勤医師を懲戒解雇し、在籍する同大大学院も退学処分にした。群馬県警は9月上旬、この医師を国立大学法人法(秘密保持義務)違反容疑で前橋地検に書類送検している。

 同大によると、医師は今年1月、研修医だった2007〜08年に担当した患者2人の氏名や病歴、治療経過などが書かれた「病歴要約」をファイル共有サイトにアップロードし、インターネット上で閲覧できる状態にした。同大の調査に対し、医師は故意で行ったことを認めたが、「なぜ流出させたかはよく覚えていない」と話しているという。【喜屋武真之介】」


国立大学法人法 第十八条は 「国立大学法人の役員及び職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。」と定めています.

同法第三十八条は「第十八条(第二十六条において準用する場合を含む。)の規定に違反して秘密を漏らした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」と定めています.


本ブログ「群馬大学医学部附属病院の患者個人情報流出,故意の可能性(報道)」ご参照

医療等に関する情報の機微性を踏まえれば、漏洩の被害は重大ですが、過失による漏洩すべてについて刑事罰を科することになれば、医療等の情報の利活用に対する萎縮につながる可能性があると考えられ、過失による情報漏洩一般について、刑事処罰規定はありません.
ちなみに医師法第三十三条は「第三十条の規定に違反して故意若しくは重大な過失により事前に試験問題を漏らし、又は故意に不正の採点をした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」と定め重過失による試験問題漏洩を処罰する規定をおいていますが、これは医師の試験問題に限った例外的な規定です.

本件の医師が患者の個人情報を故意にインターネットにアップしたとされてますが、どうしてそのようなことをするのか不可解です.

谷直樹

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by medical-law | 2013-10-01 01:30 | コンプライアンス