弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2013年 10月 05日 ( 2 )

田辺三菱製薬とその子会社に対する薬事法違反に係る行政処分の繰り返しが示すもの

厚生労働大臣は,田辺三菱製薬株式会社に対し,改善命令を下しました.
厚生労働大臣は,田辺三菱製薬株式会社の子会社であるバイファ(薬害エイズを引き起こした旧ミドリ十字が1996年に設立した会社)に対し,医薬品製造業の業務停止(2013年10月2日から同年10月31日まで)と改善命令を下しました.

これは,株式会社バイファの人血清アルブミン製剤「メドウェイ注5%」「メドウェイ注25%」に,申請していない成分がひそかに添加されていた薬事法違反についての処分です.

なお,「メドウェイ注5%」「メドウェイ注25%」は,データ改ざんがあり,2009年3月に回収されています.その後,製造されていません.

田辺三菱製薬とバイファは,メドウェイのデータ改ざん問題で,2010年4月に業務停止処分(田辺三菱は25日間,バイファは30日間)及び業務改善命令を受けました.
田辺三菱製薬とバイファの社内調査チームは,メドウェイのデータ改ざん問題について,社内調査を行いました.
その後,社内調査チームが発表していない,申請していない成分が添加されていた事実(薬事法違反)が内部告発により明らかになり,今回の処分につながりました.

今回のことは,社内調査には限界があり,第三者機関による調査が必要なことを示している,と思います.


谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-10-05 07:12 | コンプライアンス

日本製薬工業協会,ノバルティス ファーマ株式会社を会員資格停止に

日本製薬工業協会は,2013年10月3日,会員会社であるノバルティス ファーマ株式会社の高血圧症治療薬の臨床研究に係る事案について,コンプライアンス委員会の審議に基づき,「本会の目的に反する会員の行為があった場合等」に該当するとして,会員資格停止の措置をとったことを発表しました.


9月30日に厚生労働省大臣直轄の「高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会」が中間報告書を発表したことを受けて,10月3日,スイス本社ノバルティスファーマ社長,同チーフ・コマーシャル・オフィサー,ノバルティスファーマ株式会社 代表取締役社長,ノバルティスホールディングジャパン株式会社 代表取締役社長が記者会見を行いました.

ノバルティス ファーマのサイトに掲載されている,会見要旨は,以下のとおりです.

このたびは、日本で行われた医師主導臨床研究につきまして、患者様とそのご家族、医療関係者の皆様をはじめ、多くの方々に多大なご心配とご迷惑をおかけしたこと、また、臨床研究の信頼性を著しく損なうとともに、日本社会の不利益につながる事態を引き起こしてしまったことについて、ノバルティス グループを代表して、心よりお詫びいたします。

私どもは高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会の報告書において受けたご指摘を厳粛に受け止め、十分反省し、本事案の解決に向けて会社として真摯に取り組んで参ることを表明し、引き続き当局の調査への全面的な協力を通じて、真相解明に協力していきたいと考えております。また、このようなことを繰り返さないよう再発防止に取り組んで参ります。

再発防止策の一環として、ノバルティスのグローバル本社でチーフ・コマーシャル・オフィサーであるエリック・コルヌート(Eric Cornut)を日本のノバルティスの会長に任命しました。コルヌートは、ノバルティス本社による日本のノバルティスに対するガバナンスの強化に努めます。また、ノバルティス ファーマ株式会社に再発防止委員会を設置します。この委員会はノバルティスの役員と社外の専門家により構成され、再発防止について助言します。さらに、日本におけるノバルティスの最高経営責任者である石川と二之宮の両社長は、利益相反の状態を見過ごしてきたことを反省する意味で、今回の事案が解決するまで30%の減俸処分となります。今後は新設される再発防止委員会の助言を得ながら企業倫理ならびにコンプライアンスの向上に向けて全力を尽くして参ります。

今後も、厚生労働省の調査に全面的に協力してまいります。産学連携の重要性を認識し、研究の信頼回復のために、厚生労働省の指導も受けながら弊社が出来ることに前向きに貢献していきたいと考えています。

ノバルティスは2007年以来、日本の患者様に15件の新規化合物の新薬と16件の適用拡大による新薬をお届けして参りました。弊社はこれからも日本の社会、日本の患者さんに新薬を届けることに全力で取り組んで参ります。」


この会見要旨を読んで,同社の誠意を感じられたでしょうか.

朝日新聞「ノバルティス社長、逃げの答えに終始 論文不正会見」(2013年10月3日)は「高血圧治療薬ディオバン(一般名・バルサルタン)の臨床研究に関する論文のデータが不正に操作されていた問題で、ノバルティスファーマ・スイス本社のデビッド・エプスタイン社長らが3日、都内で記者会見を開いた。米科学誌など内外メディアの報道陣の質問に答えたが、不正を防げなかった具体的な過程は説明せず、逃げの答えに終始した。」と報じました.

具体的な事実経過の説明と具体的な対策のない会見では,事態を収拾することはできないでしょう.
ディオバン問題については,未だに事実が明らかになっていません.


谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-10-05 03:31 | コンプライアンス