弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2013年 10月 26日 ( 2 )

産業医科大学若松病院,134人分の患者情報が入った外付けハードディスクを持ち出し盗難に遭う

毎日新聞「個人情報:134人分患者情報、持ち出して盗難−−産業医大若松病院」(2013年10月26日)は,次のとおり報じました.

「産業医科大学(八幡西区)は25日、同大若松病院(若松区浜町)で勤務する30代の男性職員が小倉南区内で車上荒らしの被害に遭い、134人分の患者情報が入った外付けハードディスクを盗まれたと発表した。

 産業医大によると、男性職員は24日午後7時ごろ、小倉南区の保育所駐車場に車を止め、その場を離れた15〜20分間で、ハードディスクの入ったかばんを盗まれた。既に近くの交番に被害を届け出た。

 ハードディスクには、患者の氏名や病名、血液データなどが記録されていた。市町村以下の細かい住所や電話番号などは入っていなかった。

 産業医大では、患者の情報を外部に持ち出す際には上司の承認が必要だが、承認を得ていなかった。ハードディスクに記録が入っていた患者には、担当医師から個別に説明する予定という。」



個人情報の杜撰な取り扱いがあとを絶ちません.
なぜ,ハードディスクを持ち出す必要があるのでしょうか,
外付けハードディスクに保管できないように設定できないのでしょうか.

◆ 2011年6月以降の個人電磁情報の紛失事故

2011年 6月
慶應義塾大学病院スポーツ医学総合センター
北海道大学病院

2011年7月
医療法人 柏堤会(財団) 戸塚共立第1病院
藤田保健衛生大学病院
昭和大学歯科病院

2011年8月
筑波メディカルセンター病院

2011年9月
千葉県精神科医療センター
鹿児島大学病院

2011年10月
JA茨城県厚生連茨城西南医療センター病院
独立行政法人国立病院機構三重中央医療センター
独立行政法人労働者健康福祉機構関東労災病院
大和市立病院

2011年11月
独立行政法人国立病院機構金沢医療センター

2012年1月
医療法人聖愛会
独立行政法人国立病院機構千葉医療センター
独立行政法人国立病院機構宇多野病院
東京女子医科大学附属八千代医療センター

2012年2月
京都府立洛南病院(ただし一時紛失)
岡山大学病院
藤沢市民病院
長崎大学病院

2012年3月
日本赤十字社医療センター
国立大学法人高知大学医学部

2012年4月
ごう在宅クリニック(札幌)
静岡県立病院機構静岡県立総合病院
広島大学病院
福岡大学病院

2012年5月
福岡大学病院

2012年6月
日本大学医学部附属板橋病院

2012年7月
日本大学歯学部付属歯科病院

2012年8月
名古屋大学医学部附属病院
順天堂大学医学部附属順天堂医院
愛知県厚生農業協同組合連合会江南厚生病院

2012年9月
沖縄県立中部病院
福岡歯科大学医科歯科総合病院
大阪リハビリテーション病院

2012年10月
医療法人社団恵仁会セントマーガレット病院
東京医科大学病院
昭和大学病院附属東病院
浜松医科大学医学部付属病院,浜松医療センター

2012年11月
九州大学病院
東京慈恵会医科大学附属柏病院

2013年2月
札幌医科大学附属病院

2013年3月
東京医科歯科大学歯学部附属病院

2013年4月
昭和大学歯科病院

2013年5月
市立岸和田市民病院

2013年7月
順天堂大学医学部附属順天堂医院
東京女子医科大学病院
一般財団法人神奈川県警友会けいゆう病院
埼玉県立がんセンター

2013年8月
さいたまほのかクリニック

2013年9月
新潟県立六日町病院

2013年10月
産業医科大学若松病院

谷直樹

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by medical-law | 2013-10-26 21:06 | コンプライアンス

長野県弁護士会,TPPへの交渉参加の秘密保持契約が国民主権・国会の最高機関性等に反することを懸念

長野県弁護士会は,平成25年10月12日,「環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への交渉参加の秘密保持契約が国民主権・国会の最高機関性等に反することを懸念する会長声明」を発表しました.

「政府は,環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉について,本年7月に開催されたマレーシア交渉から参加を開始したところである。
TPP交渉への参加について,政府は,平成25年7月25日付け甘利明TPP対策本部長名義の「日本のTPP交渉への正式参加について」という文書の中で,「アジア太平洋地域における新たなルールを作り上げていくことは,日本の国益となるだけでなく,世界に繁栄をもたらし,この地域の安定にも貢献するものであり,日本が一旦交渉に参加した以上,重要なプレーヤーとして,新たなルール作りをリードしていく」「強い交渉力を持って,守るべきものは守り,攻めるべきものは攻めていくことによって,我が国の国益を最大限に実現するよう全力を挙げて交渉にあたる」などと表明している。

しかし,「我が国の国益を最大限に実現する」にあたって,その「国益」の判断が政府ないし官僚機構の独りよがりの判断であってはならない。また,TPPへの参加が真に「国益」に適っているか否かの判断は,TPPに参加した場合の効果等について広く国民に情報提供した上で,国民的議論を踏まえたものでなくてはならない。それにも関わらず,報道に拠れば,TPP交渉への参加国には秘密保持契約の締結が求められ,政府はマレーシア交渉からTPP交渉に参加するにあたり,この秘密保持契約を締結したとされている。その契約によれば,交渉中はもとより,協定発効から4年間は,交渉経過等の開示が禁じられるとされているとのことであり,交渉中に国民に十分な情報発信を行ってTPPに関する国民的議論を行うことが不可能である。更に,外交に対する民主的コントロールを必要とする,条約締結に関する国会の承認権(憲法73条3号但書)の行使にも支障が生じることは明らかである。

TPPは21分野にわたって行われるものであり,食の安全や環境・労働,国民生活に不可欠な各種サービスなど,国民の生活に大きな影響を及ぼす広汎な分野が交渉の対象となっているが,それらの分野に於いては例外規定に該当しない限り完全な自由化が求められるとされる(ネガティブリスト方式の採用)。また,投資分野に於いては,ISDS条項(外国の投資家や企業が,進出国において相手国政府の法律や行政上の不備等で損害を被った場合,協定に基づいて相手国政府に対する損害賠償を相手国の司法手続ではなく国際仲介機関によって解決することを選択できるという条項)を入れることが見込まれる。そうなると,国民の生命・身体・健康・財産を保護するために行う国家の規制や,日本固有の司法権のあり方や弁護士制度を含む司法制度等についても大きく改廃を迫られる危険がある。そのように,国民生活に多大な影響が出るTPPへの参加の是非や参加した場合の内容が,十分な情報による国民的議論なしに決められ,国会の承認にすら十分な情報が提供されないことは,およそ国民主権(憲法前文,1条)や国民の知る権利(同21条1項参照),国会の最高機関性(同41条)に反し,到底容認されるものではない。

以上の意味で,国民生活に多大な影響が出るTPP交渉への参加が,国民や国会に対して十分な情報を提供なく進められることは憲法の理念に反するものであり,当会は,このような現状を強く憂う。真に政府が,国益のために「強い交渉力を持って,守るべきものは守り,攻めるべきものは攻めていく」決意を持っているのであれば,現状の秘密保持契約のもつ問題性を根拠として,国民や国会への十分な情報の提供が可能となるような新たな約定を交わすべく交渉すること,それが不可能であれば,直ちにTPP交渉から脱退することを求める次第である。」


谷直樹

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by medical-law | 2013-10-26 02:15 | 弁護士会