弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2013年 11月 02日 ( 3 )

佐久総合病院,毒薬指定の筋弛緩剤エスラックス紛失

テレビ朝日「筋弛緩剤の紛失が発覚 長野・佐久総合病院」(2013年11月2日)は,次のとおり報じました.

「長野県佐久市の佐久総合病院で、麻酔をかける際に使われる筋弛緩剤(きんしかんざい)がなくなっていることが分かりました。

 佐久総合病院によりますと、先月28日、薬剤師が医薬品の点検をしていたところ、手術の準備室に保管していた筋弛緩剤の「エスラックス」が1本なくなっていることに気づきました。この筋弛緩剤は、手術などで麻酔をかける際に筋肉の緊張を取るために使うもので、紛失したのは緊急用にあらかじめ手術準備室に用意されたものでした。薬剤師が月に一度、薬の数を点検していましたが、筋弛緩剤がいつなくなったか分かっていません。病院は、警察と保健福祉事務所に報告したほか、引き続き病院内を探していますが、まだ見つかっていません。」


過去にも同種の紛失事故が報道されています.
紛失事故の報道に接したときに,自院の管理について検討してみることも必要と思います.

◆ 過去の報道事例

佐賀大学医学部付属病院で平成22年12月(但し公表は平成23年6月)に1本
独立行政法人国立病院機構名古屋医療センターで平成23年1月に10本
独立行政法人国立病院機構千葉医療センターで平成23年9月に1本
愛知厚生連海南病院で平成23年9月に1本
有田市立病院で平成23年9月に10本
浜松医療センターで平成23年9月に1本
NTT東日本札幌病院で平成23年12月に2本
社会福祉法人恩賜財団済生会熊本病院で平成23年12月に3本
市立室蘭総合病院で平成24年3月に1本
地方独立行政法人福岡市立病院機構福岡市立こども病院・感染症センターで平成24年7月に1本
公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院で平成24年7月に5本
熊本大学医学部附属病院で平成24年7月に1本
公立南丹病院で平成24年10月に1本
尾道市公立みつぎ総合病院で平成24年10月に4本
社会医療法人将道会総合南東北病院で平成24年11月に2本
伊賀市立上野総合市民病院で平成25年3月に10本
広島大学病院で平成25年4月に5本
独立行政法人国立成育医療研究センターで平成25年4月に4本
半田市立半田病院で平成25年5月に10本
東京都保健医療公社豊島病院で平成25年6月に3本
奈良市立奈良病院で平成25年6月に1本
長野県厚生農業協同組合連合会佐久総合病院で平成25年10月に1本

谷直樹

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by medical-law | 2013-11-02 17:45 | 医療事故・医療裁判

薬害オンブズパースン会議が薬事法違反と不正競争防止法違反でノバルティスファーマを告発

msn産経「ノバルティスファーマを刑事告発 降圧剤広告は「誇大」 薬害NGO」(2013年11月1日)は、次のとおり報じました.
 
「高血圧治療の降圧剤「ディオバン」(一般名・バルサルタン)の臨床研究データ操作問題で、研究論文を引用して薬の効果を誇張して宣伝するなどしたとして、NGO「薬害オンブズパースン会議」が1日、薬事法違反(誇大広告)と不正競争防止法違反(誤認惹起=じゃっき=)罪で、販売元の製薬会社「ノバルティスファーマ」の告発状を東京地検に提出した。

 同会議のメンバーは薬害エイズ問題などを手がけた弁護士ら。告発状によると、ノ社は平成23年発行の医療専門誌2誌に、データ操作が発覚した京都府立医大の論文を引用した記事広告を掲載。治療効果を「脳卒中、狭心症のリスクは有意に減少した」と宣伝したなどとしている。

 同会議は、論文の結論が誤っていた可能性が高いにも関わらず、ノ社の広告は抑制効果が高い印象を与えており、「虚偽または誇大」と指摘。「商品の品質について誤認を引き起こした」として、不正競争防止法にも違反するとした。

 ノ社の関与については、データ解析に元社員が参加し、交通費を負担していた点を指摘し、「会社として(不正を)認識していたとするべきだ」と主張した。同会議事務局長の水口真寿美弁護士は「日本の臨床試験の信頼性を揺るがす重大事案。厚生労働省の調査は不十分。(解明は)捜査に委ねたい」と訴えた。

 ノ社広報部は「現段階では何も情報を得ていないため、コメントは控える」としている。


「<告発状より抜粋>

被告発会社の下記告発事実記載の各所為は、
薬事法第90条2号、第85条4号、第66条1項 誇大広告等の禁止違反
不正競争防止法第22条1項、第21条2項5号 不正競争
に該当すると思料されるので、厳正な捜査を遂げた上、被告発会社を処罰されるよう告発する(刑事訴訟法第239条1項)。

  告 発 事 実
   
被告発会社ノバルティスファーマ株式会社は、高血圧治療薬(降圧剤)であるディオバン(一般名バルサルタン)を製造販売する製薬企業であるが、被告発会社は、京都府立医科大学が実施したディオバンと他の既存降圧剤の効果を比較した臨床研究であるKYOTO HEART Studyの研究論文において、不正なデータ操作が行われ、ディオバンが既存降圧剤と比べて脳卒中や狭心症などの心血管イベントを抑制する効果があるとする同研究論文の結論は真正ではないにもかかわらず、

1 2011年1月発行の日経メディカルにおいて、
(1)「試験の対象は、JIKEI HEART Studyが心不全や冠動脈疾患などの心血管疾患を伴う高血圧、KYOTO HEART Studyはハイリスク高血圧という違いがありましたが、一次エンドポイント(心血管事故及び心血管死の複合ポイント:脳卒中・TIA、心筋梗塞、心不全及び狭心症による入院など)の相対リスクは両試験とも有意に減少しました」(疎1、151頁堀内)
(2)「両試験とも脳卒中、狭心症がバルサルタン群で有意に減少しましたね。」(疎1、151頁光山)

2 2011年6月発行の株式会社メディカルレビュー社が発行する「高血圧ナビゲータ 第3版」において、
(1)「KYOTO HEART Studyで、バルサルタンは日本人の心血管イベントを有意に減少させることが示されています。」(疎2、299~300頁小室)
(2)「(KYOTO HEART Studyでは)一次評価項目である脳・心・腎イベントはバルサルタン群で相対的に45%、有意(P<0.0001)に減少していました。内訳をみると、狭心症はJIKEI HEART Study同様、やはりバルサルタン群で有意に減少しています(相対リスク減少率49%:P=0.01058)。脳卒中も、KYOTO HEART StudyではCTないしMRIで病巣の存在を確認しているのですが、JIKEI HEART Study 同様、バルサルタン群で有意に減少していました(相対リスク減少率:45%、P=0.01488)。」(疎2、300~301頁熊谷)

等、KYOTO HEART Studyの研究論文の結果を引用した医師による対談を利用して記事を提供し、もってディオバンの治療効果について虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布したものである。

また、上記のように、KYOTO HEART Studyの研究論文の結果を引用した医師による対談を利用して記事を提供し、商品の広告にその商品の品質、内容について誤認させるような虚偽の表示をしたものである。 」


谷直樹

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by medical-law | 2013-11-02 01:11 | 医療

東京拘置所、投薬ミスを隠蔽した看守を戒告

MSN産経「女性看守が薬渡しのミス隠す 東京拘置所が戒告処分」(2013年11月1日)は、次のとおり報じました

「東京拘置所は1日、勾留中の被告に誤った時間にぜんそくの薬を渡し、ミスを隠すため別の薬を渡したように装ったとして、女性看守(27)を戒告の懲戒処分にしたと発表した。

 拘置所によると、看守は7月23日午後5時ごろ、勾留中の女性被告に頼まれてぜんそくの薬を渡した。12時間以上空けて渡すよう指示された薬で、2時間前の午後3時すぎに渡した記録があったが、前日のことと勘違いした。

 午後6時ごろ、被告が体調不良を訴えてミスに気付いたが、発覚を免れるため別の薬を渡したことにしようと思いつき、処方されていた精神安定薬の記録表に「23日午後5時10分に渡した」と書いた上、被告に翌朝「昨日渡したのは精神安定薬だった」とうそを伝えたという。

 被告はその後、診察を受け、健康に問題はなかった。」


医療に関することは、ミスが起きないように別の人が点検確認することが必要です.
ミスを隠蔽しようとしたのは悪質です.

谷直樹

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by medical-law | 2013-11-02 01:04 | 医療