弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2013年 11月 21日 ( 2 )

弘前市立病院、食道挿管事故で4900万円支払い(報道)

毎日新聞「弘前市立病院の誤挿管医療事故:遺族に4900万円賠償へ」(2013年11月19日)は、次のとおり報じました.

「弘前市は18日、弘前市立病院の医療事故で死亡した患者の遺族に4900万円の損害賠償を支払う議案を、29日開会の定例市議会に提案することを明らかにした。18日の議会運営委員会に報告した。

 市などによると、2010年2月、同病院に救急搬送された市内の男性患者(当時53歳)に対し、内科医が気管に挿入すべき管を誤って食道に入れた結果、患者が死亡した。内科医は翌11年10月、弘前署によって業務上過失致死容疑で青森地検弘前支部に書類送検され、同支部は12年10月に不起訴処分とした。

 遺族は今夏、市を相手取って弘前簡裁に損害賠償の調停を申し立て、10月に市に4900万円の調停額を支払うよう決定が出されていた。【松山彦蔵】」


このような事件ですと、過失は明らかですので、医療ADRや調停が早いですね.

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-11-21 02:38 | 医療事故・医療裁判

独エアフルト区裁判所、タバコの煙を相手の顔にふきかけたら傷害罪

マイナビウーマン「ご注意!タバコの煙を相手の顔にふきかけたら「傷害罪」―ドイツ」(2013年11月19日) は、次のとおり報じました.

「非喫煙者がタバコの煙を吸ってがんになる「タバコの二次被害」については、すでにご存じでしょう。タバコの煙を相手の顔にふきかける行為を、独裁判所が「傷害罪」とみなしたケースを紹介しましょう。

『南ドイツ新聞』によると、独エアフルト区裁判所は、「タバコの煙を故意に相手の顔にふきかける者は傷害罪にあたる」という判定を下しました。

実はこの裁判で「傷害罪」の疑いで訴えられていたのは、タバコの煙を顔にかけられた女子学生Aさんのほうでした。禁煙のナイトクラブで喫煙する男性Bさんに、「ここは禁煙ですよ」と注意したAさん。注意されたBさんは腹の虫が収まらず、ダンスフロアで踊っていたAさんのところに行き、タバコの煙をAさんの顔におもいっきりふきかけました。

Aさんは自分の身を守ろうと反射的にガラスのコップをBさんに投げ、Bさんの頭にこぶができ、BさんはAさんを「傷害罪」で訴えました。それに対し、Aさんは「正当防衛」を主張。

同区裁判所は、Bさんはタバコの煙だけではなく、ウイルスやバクテリアも含まれるつばの粒子もふきかけたため、Aさんが防衛手段としてグラスを投げたのは正当であると判断。さらにBさんの行為は「傷害罪」にあたるとの判定を下しました。

タバコの二次被害者にとって、予想外の勝利判決となり、「傷害罪」という裁判所のお墨付きをもらったAさんは、Bさんを起訴するつもりはないと言います。これからタバコの煙をはくときは、十分に気をつけたほうがよさそうです。

参考:
Rauch ins Gesicht blasen ist Korperverletzung.
http://www.sueddeutsche.de/panorama/gerichtsurteil-rauch-ins-gesicht-blasen-ist-koerperverletzung-1.1774446」


ドイツでは傷害と暴行の区別がありませんが、日本刑法は、「傷害罪」と「暴行罪」を区別しています.

日本の刑法第204条は「人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」と定めています.
「傷害」については、(1)身体の生理機能の障害・健康状態の不良な変更、(2)身体の完全性の傷害、(3)身体の外観の重大な変更の3説があります.髪の毛を切る行為が傷害にあたるかが議論されています.
「傷害」を「身体の生理機能の障害・健康状態の不良な変更」と解釈する説に立っても、実際に一回のタバコの煙で直ちに生理機能の障害・健康状態の不良な変更があったことを立証するのは困難ですから、日本刑法では、多くの場合、傷害罪は成立しないでしょう.

日本の刑法第208条は、「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」と定めています.
「暴行」とは、人の身体に対する不法な有形力の行使をいいます.
タバコの煙が人顔に接触していますので、「有形力の行使」にあたります.
「不法な」の要件が問題になりますが、少なくとも人の顔にタバコの煙をふきつける行為は「不法」と言ってよいでしょう.

したがって、日本刑法では、タバコの煙を故意に人の顔にふきかける行為は、多くの場合、「傷害罪」ではなく、「暴行罪」にあたると解すべきでしょう.

谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
by medical-law | 2013-11-21 01:14 | タバコ