弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2014年 01月 07日 ( 3 )

国立成育医療研究センター病院,患者を取り違え幹細胞注入(報道)

NHK「誤って別の子どもに幹細胞移植 東京」(2014年1月7日)は,次のとおり報じました.

「東京の国立成育医療研究センター病院で、先月、小児がんの1歳の男の子に移植する予定だった男の子の細胞を、誤って4歳の女の子に移植する、患者の取り違えがあったことが分かりました。
今のところ女の子に目立った健康被害は起きていないということです。

患者の取り違えがあったのは、東京・世田谷区にある国立成育医療研究センター病院です。
病院によりますと、先月18日、小児がんの1歳の男の子に抗がん剤治療をしたあと、あらかじめ男の子から採取していた血液を造る「幹細胞」を注射器で体内に移植する際、主治医が患者を取り違え、同じ病気で入院していた4歳の女の子に誤って移植したということです。
男の子と女の子の主治医は同じで、主治医は冷凍保存していた男の子の幹細胞を解凍し注射器に詰めたあと、女の子の部屋に行き、注射したということです。
直後に別の医師が気付き、慎重に経過を見ていますが、女の子に今のところ目立った健康被害は起きていないということです。
男の子には予備の幹細胞を注入し、状態は安定しているということです。
主治医は「病気も同じで治療の経過も似ていたので、取り違えてしまった」と説明しているということです。
国立成育医療研究センター病院の松井陽病院長は、「患者や家族に多大な迷惑をおかけしたことをおわびします。患者の本人確認が徹底できていなかったことが最大の原因で、責任を持って再発防止に取り組みたい」と話しています。
幹細胞の移植に詳しい、日本大学医学部の麦島秀雄教授は、「女の子は、場合によっては、拒絶反応のため免疫抑制剤を飲み続けなければならなくなるおそれもある。基本的なミスで、決して起きてはならない事故だ」と話しています。」



共同通信によれば,幹細胞の入ったバッグと患者が装着しているリストバンドとの照合作業が不十分なまま移植を行ったとのことです.
病気も同じで治療の経過も似ていたとは言え,1歳の男児と4歳の女児をとりちがえたわけですから,主治医の思い込みと確認ミスによる事故だと思います.ダブルチェックが常に必要と思います.

谷直樹

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by medical-law | 2014-01-07 19:14 | 医療事故・医療裁判

日本産科婦人科学会,「低用量ピルの副作用について心配しておられる女性へ」

公益社団法人日本産科婦人科学会は,平成25年12月27日,「低用量ピルの副作用について心配しておられる女性へ」を発表しました.


欧米では、静脈血栓症の発症は以下の症状(ACHES)と関連することが報告されていますので、低用量ピル内服中に症状を認める場合には医療機関を受診して下さい。
A:abdominal pain (激しい腹痛)
C:chest pain(激しい胸痛、息苦しい、押しつぶされるような痛み)
H:headache(激しい頭痛)
E:eye / speech problems(見えにくい所がある、視野が狭い、舌のもつれ、失神、けいれん、意識障害)
S:severe leg pain(ふくらはぎの痛み・むくみ、握ると痛い、赤くなっている)

 低用量ピルおよびその類似薬剤の有益性は大きく、女性のQOL向上に極めて効果的であります。しかし、一方で静脈血栓症という有害事象もあります。低用量ピル内服中の静脈血栓症の発症頻度は低いものの、一旦発症すると重篤化するケースもありますので、服用中に上記の症候がみられた場合は、ただちに服用を中止し、処方元の医療機関を受診してください。早期の診断、治療により重症化を防ぐことができます。」

「海外の疫学調査によると、低用量ピルを服用していない女性の静脈血栓症発症のリスクは年間10,000人あたり1-5人であるのに対し、低用量ピル服用女性では3-9人と報告されています。一方、妊娠中および分娩後12週間の静脈血栓症の発症頻度は、それぞれ年間10,000 人あたり5-20 人および40-65人と報告されており、妊娠中や分娩後に比較すると低用量ピルの頻度はかなり低いことがわかっています。」


これは全体の平均ですが,喫煙,高年齢,肥満というハイリスクの人では,どれくらいの確率になるのかが知りたいところです.
また,低妊娠中および分娩後12週間の静脈血栓症の発症確率は低くないので,これについて不安を感じられた方もいるのではないでしょうか.

谷直樹

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by medical-law | 2014-01-07 09:04 | 医療

社会医療法人信愛会新生病院で集団感染(報道)

毎日新聞「大阪・院内感染:対応遅れ被害拡大 病院長は会見で謝罪」(2014年1月6日)は,次のとおり報じました.

「大阪府高槻市の「信愛会新生病院」で発覚した多剤耐性緑膿菌(りょくのうきん)(MDRP)による院内感染。11人が死亡する深刻な事態を受け、病院側は謝罪したが、対応の遅れが被害を拡大させた面も否めない。関係機関や専門家から「もっと早く報告を」と対応の不備を指摘する声が上がった。【五十嵐和大】

 「11人の方が亡くなり、大変申し訳ない」。同病院の後藤研三院長は6日午後、記者会見で謝罪し、経緯を説明した。昨年1月に最初の感染者が発生し、6月には4人が感染。その時点で3人が死亡し、7月には「院内感染と認識した」という。後藤院長は「(感染者が)多いな、という印象を持った」と語ったが、対応は近隣の医師会や大阪医科大に相談しただけで、院内の対策も医師に手洗い研修を実施するにとどまった。

 事態を重視しなかった理由について、後藤院長は「複数の感染者が各病棟に分かれ、アウトブレーク(集団感染)であると判断しかねた」と釈明した。

 8月には大阪府公衆衛生研究所に電話で相談。研究所側から「調査を一緒にやりましょうか」と提案を受け、10月に入って同研究所に遺伝子検査を依頼した。病棟のベッドや人工呼吸器などからMDRPが検出されたが、拡大を食い止められなかった。

 結局、高槻市保健所に報告したのは、患者から検出したMDRPの遺伝子型が一致し、科学的に院内感染と確定した後の12月20日だった。

 こうした対応の遅れについて、後藤院長は「厚生労働省が定める報告基準に満たない事案であり、対応に問題ない。結果として多くの方が亡くなったため、自主的に公表した」と説明した。」


謝罪よりむしろ,なぜこのような経過をたどったのかについて調査委員会を設置し解明し,再発防止策を提示することのほうが必要と思います.


谷直樹

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by medical-law | 2014-01-07 08:43 | 医療事故・医療裁判