弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2014年 01月 22日 ( 2 )

横浜地裁,喫煙禁止表示が小さいと,市に過料処分取り消しを命じる(報道),東京高裁判決で逆転

読売新聞「禁煙表示小さい…路上喫煙の男性が横浜市に勝訴」(2014年1月22日)は,次のとおり報じました.

 「横浜市条例で指定された喫煙禁止地区でたばこを吸ったとして、2000円の過料処分を受けた東京都立川市の男性が処分取り消しを求めた訴訟の判決が22日、横浜地裁であった。

佐村浩之裁判長は「男性は喫煙禁止地区であることを知らず、過失は認められない」と述べ、横浜市に処分取り消しを命じた。

 同市などによると、男性は2012年1月、同地区に指定された横浜駅近くの路上で喫煙した。男性は「禁止地区であることを認識できる標識が近くになかった」と主張。市は「路面表示があり、容易に認識可能だった」と反論していた。

 判決では、佐村裁判長は「路面表示は小さく、歩行者が認識することが困難だった」と指摘、男性に過失はなく処分は違法とする判断を示した。

 市は「判決文を精査し、弁護士とも協議して対応を決めたい」としている。」


今後,喫煙禁止地区であることをより大きく表示するなど,横浜市は対応を迫られることになるでしょうが,横浜市内全域を喫煙禁止地域に指定し,例外的に喫煙可能な地域を表示するという方法も考えられるでしょう.

私は,突然咳き込み苦しくなり,見ると20メートルくらいさきに歩行喫煙している人を発見するということがよくあります.路上喫煙する人は,人に害をなしていることに気づいていないのでしょうが...


【追記】

東京高裁平成26年6月26日判決(第4民事部 田村幸一裁判長)では, 横浜市が逆転勝訴しました.


日刊スポーツ「「禁煙確認は義務」と判決 横浜路上喫煙」(2014年6月26日)は,次のとおり報じました.

「横浜市の路上禁煙地区でたばこを吸ったとして、過料2000円の処分を受けた男性が「表示が小さくて見えなかった」と取り消しを求めた訴訟の控訴審で東京高裁は26日、「路上禁煙の取り組みは拡大しており、あえてたばこを吸う人は禁煙地区かどうか事前に確認する注意義務がある」と男性側逆転敗訴の判決を言い渡した。

 1審横浜地裁判決は「禁煙地区を示す路面表示や看板が小さく、読み取ることは困難だった」と、男性の過失を否定し、処分を取り消していた。

 判決によると、男性は2012年1月、横浜駅近くの「喫煙禁止地区」の路上でたばこを吸っていて、市の美化推進員から過料処分を受けた。男性が喫煙した付近には、直径30センチの円形の路面表示が2カ所と、看板が1つあった。

 高裁の田村幸一裁判長は判決理由で「受動喫煙防止のために路上喫煙を規制する条例を制定している自治体は多い。この程度の表示があれば十分で、確認を怠らなければ禁煙地区かどうか認識することは可能だった」と指摘し、男性に注意義務違反の過失があったと認めた。

 男性は東京都立川市在住で、1審判決は「禁煙地区と知らない場合は、過失がないこともあり得る。その地区を訪れる者には標識などで周知する措置が必要だ」としていたが、高裁判決は「立川市にも路上禁煙地区はあり、男性は喫煙場所の制限が時代の流れと認識していた」と指摘した。(共同)」


神奈川新聞「路上喫煙訴訟:「禁止地区と認識できた」 横浜市の過料認める 東京高裁」(2014年6月27日) は,次のとおり報じました.

「指定した地区での路上喫煙を禁じる横浜市の条例をめぐり、過料2千円の処分を受けた東京都の自営業の男性(64)が、「違反現場が禁止地区とは認識できなかった」として市に処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が26日、東京高裁であった。田村幸一裁判長は「注意すれば現場は禁止地区と認識できた」として、処分取り消しを命じた一審判決を覆し、男性の請求を棄却した。

 一審横浜地裁判決は、路上喫煙の規制の現状について「禁止されている地域は極めて限られている」としたが、田村裁判長は「条例制定などの取り組みは、拡大してきている」と指摘。その上で、「あえて路上で喫煙する場合には、禁止地区かどうか十分に注意する義務がある」とし、違反現場にあった禁止地区を周知する路面表示も「注意を怠らなければ認識できた」として、男性の過失を認定した。

 一方、争点の一つだった過料処分に過失が必要かどうかについては、「本来違法とされていない喫煙を禁止し、それに対する制裁という過料の性質からも、違反者に過失がない場合まで制裁を科すのは不相当」と判断。一審に引き続き「過失がなくても過料を徴収できる」とする市側の主張を退けた。

 男性は2012年1月、市条例で喫煙が禁止された横浜駅近くの路上で喫煙。市の「美化推進員」から過料2千円の処分を受け、提訴した。今年1月の横浜地裁判決は、「違反現場は路面表示が小さく禁止地区との認識は困難」として、市に処分の取り消しを命じていた。

 原告側代理人は「市の主張通りなら、自治体の取り締まりに歯止めが利かなくなり、過失の必要性を認めた点は評価できる。判決については上告が可能か検討したい」と話した。横浜市は「処分が適法だったことが認められた」とコメントした。

〈解説〉マナー向上と条例周知求め

 東京高裁判決は、一審判決を覆しつつ、喫煙者にはマナーの向上を、規制する自治体側には条例の十分な周知徹底を求めた。個人のたしなみと、不特定多数が利用する空間の環境保全の両立に、一つの物差しを提示している。

 判決の根幹にあるのは、「路上喫煙をなくす」という条例制定の目的だ。横浜市は「規制の実効性を保つため」として県内で最も厳しく対応してきた。ただ、控訴審判決が求めたのは、丁寧な事前周知と注意喚起。それを徹底すれば結果的に、「知らなかった」との言い訳が通用しなくなり、違反者の過失の立証にもつながる、というわけだ。

 一方で、喫煙者にも注意義務があるとしている。現状では繁華街などを中心に路上喫煙の規制が進んでおり、吸う側も周囲の環境に注意すべき、との指摘は当然といえる。

 さらに判決は、自治体の独自ルールの設定にも影響を与えそうだ。路上喫煙のように、違法ではない行為にあえて過料を適用するためには、事前の周知徹底が欠かせない。「周知が不十分な場合は自治体の責任」という判決の指摘を踏まえ、罰則を適用することが求められている。」


神奈川新聞「路上喫煙処分は適法 最高裁が男性の上告棄却」(2015年1月8日)は、次のとおり報じました.

「指定地区での路上喫煙を禁じる横浜市の条例に基づき、過料2千円の処分を受けた東京都の自営業の男性(64)が処分の取り消しを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は7日までに、男性の上告を棄却した。決定は昨年12月18日付。処分を適法と認めた同6月の東京高裁判決が確定した。

 東京高裁判決は、「路上喫煙規制の取り組みは次第に拡大してきたと認められる」とし、「あえて路上で喫煙するなら、その場所が禁止地区か注意する義務がある」と判断。喫煙禁止地区を知らせる路面表示の大きさなどから「(男性が)禁止地区と認識することは困難」として処分取り消しを命じた一審横浜地裁判決を覆し、市の処分を適法と認めた。

 男性は2012年1月、市条例で喫煙が禁止された横浜駅近くの路上で喫煙。過料処分を受けたが、「違反現場が禁止地区とは認識できなかった」として、取り消しを求めていた。

◆横浜市、条例の周知強化

 横浜市は路上喫煙を禁じる条例の周知強化に乗りだしている。昨年6月の東京高裁判決が、今回の過料処分は適法と認めた一方、「喫煙禁止の周知徹底、喫煙者の注意喚起に費用を掛けるのは当然」と指摘したからだ。

 市資源循環局業務課によると、これまで期間限定ながら、京急電鉄や東急電鉄の協力を得て、駅ホームや車両内に条例を周知する広告を掲示。昨年12月からは、観光情報を発信するホームページで市の取り組みを紹介した。さらに今月、地元の情報誌に有料広告を掲載する予定だ。

 また、一審判決で「認識が困難」とされた禁止地区を伝えるシール式の路面表示についても、従来は劣化が目立ったものを交換するだけだったが、地区ごとに一斉貼り替えを進める。市内に6カ所ある禁止地区のうち、2014年度中に2カ所、15年度にも2カ所を刷新させる。将来的には、景観に配慮しつつ、外国人も理解しやすいデザインへの変更も検討するという。

 「処分の適法性が認められた」と判決確定を受け止める横浜市は、今後も違反者を見つけた場合は条例に基づいて過料を徴収する方針。ただ、「より丁寧に条例の趣旨を説明し、PRや表示も充実させて路上喫煙の防止を目指したい」としている。」



弁護士 谷直樹

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by medical-law | 2014-01-22 22:06 | タバコ

市立甲府病院,気管切開手術ミスを理由に提訴されていた(報道)

毎日新聞「提訴:「甲府病院のミスで死亡」 気管切開手術、遺族が市を」(2014年1月22日)は,次のとおり報じました.

「市立甲府病院(甲府市増坪町)で気管切開手術を受けた後に死亡した男性(当時37歳)の甲州市に住む遺族が、気管挿入の際にミスがあったなどとして甲府市に約1億1300万円の損害賠償を求める訴訟を甲府地裁に起こした。 提訴は12月26日付。」

12月は,提訴が多い月です.
請求額と訴状に貼る印紙代が連動する関係で,私ですと,160万円の一部請求で提訴し印紙代を節約するのですが,一部請求ではなく全部請求という弁護士も多いですし,不法行為の時効(3年)との関係で全部請求することもあるのでしょう.

弁護士 谷直樹

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by medical-law | 2014-01-22 21:39 | 医療事故・医療裁判