弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2014年 05月 20日 ( 3 )

国立病院機構近畿中央胸部疾患センターが厚生労働省の通達に反し使い捨て器具を洗浄、滅菌して再使用

西日本新聞「使い捨て器具を洗浄再使用 堺の医療機関、肺の手術で」(2014年05月19日)は,次のとおり報じました.

「国立病院機構近畿中央胸部疾患センター(堺市北区)は19日、肺の胸腔鏡手術で3種類の使い捨て器具を洗浄、滅菌して再使用していたと明らかにした。器具に汚れが残っていたのが3月に見つかり、再使用を中止。厚生労働省の通達に沿っておらず不適切と分かったため、現在は完全に再使用をやめている。

 器具を使った手術は、導入された2008年から6年間で約2300件だったが、どのケースで再使用したかは分からないという。手術後、33人が感染症にかかり、うち8人が元の病気の進行や敗血症で亡くなったが、同センターは「感染症になった割合は低く、因果関係はないと考えている」とした。」


長期間不適切な使い回しを行っていたことについて,謝罪もないのでしょうか.
なお,使い捨て器具を使い回ししていた点は注意義務違反(過失)にあたるでしょうが,それと感染との因果関係立証は困難ですので,患者が賠償責任を追及するのは困難です.

弁護士 谷直樹

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by medical-law | 2014-05-20 07:41 | 医療

歯科医療機関の66%が日本歯科医学会の指針に反し医療機器を滅菌せず使い回し

読売新聞「歯削る機器 7割使い回し…院内感染懸念」(2014年5月19日)は,次のとおり報じました.

「歯を削る医療機器を滅菌せず使い回している歯科医療機関が約7割に上る可能性のあることが、国立感染症研究所などの研究班の調査でわかった。

 患者がウイルスや細菌に感染する恐れがあり、研究班は患者ごとに清潔な機器と交換するよう呼びかけている。

 調査対象は、歯を削るドリルを取り付けた柄の部分。歯には直接触れないが、治療の際には口に入れるため、唾液や血液が付着しやすい。標準的な院内感染対策を示した日本歯科医学会の指針は、使用後は高温で滅菌した機器と交換するよう定めている。

 調査は、特定の県の歯科医療機関3152施設に対して実施した。2014年1月までに891施設(28%)から回答を得た。

 滅菌した機器に交換しているか聞いたところ、「患者ごとに必ず交換」との回答は34%だった。一方、「交換していない」は17%、「時々交換」は14%、「感染症にかかっている患者の場合は交換」は35%で、計66%で適切に交換しておらず、指針を逸脱していた。

 別の県でも同じ調査を07~13年に4回行い、使い回しは平均71%だった。

 研究班の泉福(せんぷく)英信・国立感染症研究所室長によると、多くの歯科では、人手や費用がかかり、簡単な消毒や洗浄をしただけで繰り返し使っているとみられる。

 厚生労働省によると、歯科での院内感染は原因の特定が難しく、国内で明らかになった例はない。

 感染症に詳しい浜松医療センターの矢野邦夫副院長は「簡単な消毒では、機器を介して患者に感染する恐れのあるウイルスもある。十分な院内感染対策を取ってほしい」と話している。」



院内感染対策をとっているかを,保健所が抜き打ちで調査し,対策を怠っている歯科医療機関に業務停止等のペナルティを課すなどの必要があるかもしれません.
なお,歯科治療で感染したという立証は困難(因果関係立証困難)ですので,患者個人がが民事の損害賠償請求を行うのは困難です.


弁護士 谷直樹

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by medical-law | 2014-05-20 07:40 | 医療

東京医科歯科大学医学部附属病院、患者の個人情報が含まれたUSBメモリを紛失

東京医科歯科大学は,平成26年5月9日,「個人情報が含まれたUSBメモリの紛失について」をサイトに掲載しました.

「本学医学部附属病院の医師が、患者さん225名の個人情報が含まれている可能性のあるUSBメモリを紛失しました。
 本学においては、個人情報の取扱いに関する規程の遵守及び個人情報の適切な管理に努めて参りましたが、このような事態を招き、患者さんをはじめ関係する皆様方に多大なご迷惑とご心配をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。
 なお、この発表では、個人情報保護に配慮した発表とさせていただきますので、ご理解のほどお願いいたします。

1.経緯
 平成26年4月26日(土)午前9時頃、本院の医師が、JR武蔵野線の車内に、自身のカバンを置き忘れ、そのカバンの中に患者情報が入ったUSBメモリが2つ入っていました。直ちにJR及び警察に遺失物の届出を行い、カバンは発見されましたが、USBメモリは現在まだ見つかっていません。

2.紛失した個人情報の内容
 (1)患者の手術症例リスト(215名分)
   ID、患者氏名、年齢、性別等、パスワードで保護されたデータ
 (2)患者の画像データ等(16名分)
   ID、患者氏名(カナ・漢字)、画像データ、生年月日、所見等、パスワードで保護されていないデータ
 (1)、(2)で重複している患者が6名いるため、実人数は225名。

 いずれのデータにも患者さんの住所、電話番号は入っておりません。
 なお、現時点においては、紛失した個人情報の転載や流用の事実は報告されておりません。

3.該当する患者さんへの対応
 関係の皆様には、平成26年5月7日付け文書により謝罪を行いました。

4.再発防止に向けた今後の取り組み
 今回の事態を真摯に受け止め、学生、職員等に対して個人情報保護の重要性を再度徹底し、USBメモリ等のパスワード設定の徹底化を図り、再発防止に努めて参ります。」


2013年3月に,東京医科歯科大学歯学部附属病院で紛失事故がおきています.
全国的にも,病院の個人情報流出事故が続いています.根本的な再発防止対策が必要と思います.

◆ 2011年6月以降報じられた病院での個人電磁情報の紛失事故は以下のとおりです.

2011年 6月
慶應義塾大学病院スポーツ医学総合センター
北海道大学病院

2011年7月
医療法人 柏堤会(財団) 戸塚共立第1病院
藤田保健衛生大学病院
昭和大学歯科病院

2011年8月
筑波メディカルセンター病院

2011年9月
千葉県精神科医療センター
鹿児島大学病院

2011年10月
JA茨城県厚生連茨城西南医療センター病院
独立行政法人国立病院機構三重中央医療センター
独立行政法人労働者健康福祉機構関東労災病院
大和市立病院

2011年11月
独立行政法人国立病院機構金沢医療センター

2012年1月
医療法人聖愛会
独立行政法人国立病院機構千葉医療センター
独立行政法人国立病院機構宇多野病院
東京女子医科大学附属八千代医療センター

2012年2月
京都府立洛南病院(ただし一時紛失)
岡山大学病院
藤沢市民病院
長崎大学病院

2012年3月
日本赤十字社医療センター
国立大学法人高知大学医学部

2012年4月
ごう在宅クリニック(札幌)
静岡県立病院機構静岡県立総合病院
広島大学病院
福岡大学病院

2012年5月
福岡大学病院

2012年6月
日本大学医学部附属板橋病院

2012年7月
日本大学歯学部付属歯科病院

2012年8月
名古屋大学医学部附属病院
順天堂大学医学部附属順天堂医院
愛知県厚生農業協同組合連合会江南厚生病院

2012年9月
沖縄県立中部病院
福岡歯科大学医科歯科総合病院
大阪リハビリテーション病院

2012年10月
医療法人社団恵仁会セントマーガレット病院
東京医科大学病院
昭和大学病院附属東病院
浜松医科大学医学部付属病院,浜松医療センター

2012年11月
九州大学病院
東京慈恵会医科大学附属柏病院

2013年2月
札幌医科大学附属病院

2013年3月
東京医科歯科大学歯学部附属病院

2013年4月
昭和大学歯科病院

2013年5月
市立岸和田市民病院

2013年7月
順天堂大学医学部附属順天堂医院
東京女子医科大学病院
一般財団法人神奈川県警友会けいゆう病院
埼玉県立がんセンター

2013年8月
さいたまほのかクリニック

2013年9月
新潟県立六日町病院
公益財団法人東京都保健医療公社荏原病院

2013年10月
産業医科大学若松病院

2013年12月
筑波大学附属病院
岐阜大学医学部附属病院(その後発見)
JR東京総合病院

2014年1月
医療法人鉄蕉会亀田総合病院(その後発見)
兵庫医科大学附属病院
湘南藤沢徳洲会病院

2014年3月
公益財団法人がん研究会有明病院
鳥取大学医学部付属病院
大阪大学医学部附属病院

2014年4月
鳥取県立厚生病院
東京医科大学病院
東京医科歯科大学医学部附属病院


弁護士 谷直樹

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by medical-law | 2014-05-20 06:46 | コンプライアンス