弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2014年 07月 04日 ( 1 )

宮崎地裁平成26年7月3日判決,急性低ナトリウム血症による死亡事案で約3500万円賠償命じる(報道)

過剰な水分摂取により希釈性の急性低ナトリウム血症を発症し、死亡することがあります.

読売新聞「水中毒で入院患者死亡、病院に賠償命じる判決」(2014年7月3日)は,次のとおり報じました.

「宮崎市の女性(当時36歳)が過剰な水分摂取による「水中毒」で死亡したのは、入院先の病院が水分摂取を制限する適切な措置を取らなかったためとして、女性の父親が病院を相手取り、約4000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が2日、宮崎地裁であった。末吉幹和裁判長は病院側の過失を認め、約3500万円の支払いを命じた。

 判決によると、女性は統合失調症を患い、2012年3月22日、同市の医療法人真愛会高宮病院に入院。病室の洗面台で水を大量に飲み、水中毒による急性低ナトリウム血症を発症し、同日、死亡した。

 末吉裁判長は、水中毒の主な原因は抗精神病薬などの副作用でのどが渇くことだとしたうえで、「看護師らに対し、洗面台の水道の元栓を閉めるように指示するなどしていれば死亡を防ぐことができた」と指摘した。

 同病院は読売新聞の取材に対し、「院長が不在のためコメントできない」としている。」


東京地方裁判所平成16年1月30日判決は,原告の長男であるAが,かねてから統合失調症のため,被告経営の病院に入通院を繰り返していたが,10回目の入院の翌日に,水中毒を起こして死亡したところ,同病院の医師らにAの水中毒を診断,治療しなかった過失があるなどとして,原告が,被告に対し,診療契約上の債務不履行及び不法行為に基づき,Aから相続した損害賠償金及び原告固有の損害賠償金合計金4374万9757円の内金4237万4325円及びこれに対する死亡の日である平成12年7月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,被告は,過失及び因果関係の存在等について争った事案で,請求棄却としました.
同判決とこの宮崎地裁平成26年7月3日判決が,今後水中毒事案の注意義務違反の認定に役立つと思います.

水摂取による死亡事件がもう1件報じられています.こちらは,水による窒息の疑いがある事案です.

NHK「「悪霊払い」で妻死亡 私大准教授を逮捕」(2014年7月3日)は,次のとおり報じました.

「妻に大量の水を飲ませるなどして死なせたとして、熊本市の私立大学の准教授ら3人が傷害致死の疑いで逮捕されました。
准教授らは「悪霊を払うためにやった」などと供述しているということで、警察で詳しい経緯を調べています。

逮捕されたのは、熊本市東区長嶺南の崇城大学准教授、××××容疑者(52)と、自称、祈とう師の△△△△容疑者(81)ら3人です。
警察によりますと、3人は先月21日、△△容疑者のマンションの部屋で××容疑者の妻の○○さん(51)を押さえつけ、大量の水を飲ませるなどの暴行を加えた疑いがあるということです。
○○さんは搬送先の病院で翌朝死亡し、警察は3人を傷害致死の疑いで逮捕しました。
警察の調べに対し、××容疑者らは「悪霊がついているから、おはらいをしようと水を飲ませた」などと供述しているということです。
警察によりますと、△△容疑者は30年以上前から祈とう師を名乗っておはらいを行い、××容疑者と○○さんは数年前から通っていたということで、警察は詳しい経緯などを調べることにしています。」


【追記】
読売新聞「「水中毒」死亡訴訟 2審も病院側の過失認定」(2015年5月16日)は,次のとおり報じました.

「宮崎市の女性(当時36歳)が過剰な水分摂取による「水中毒」で死亡したのは入院先の病院が適切な措置を取らなかったためだとして、父親が病院を相手取り、損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が15日、福岡高裁宮崎支部であった。佐藤明裁判長は病院側に約3500万円の支払いを命じた1審・宮崎地裁判決を変更し、賠償額を約2600万円に減額した。病院側は上告を検討する。

 判決によると、女性は統合失調症を患い、2012年3月22日、同市の医療法人真愛会高宮病院に入院。洗面台で大量の水を飲み、同日死亡した。佐藤裁判長は1審に続いて病院側の過失を認める一方、損害を算出するにあたって女性の生活費控除率は引き上げるのが適当などと判断した。」


谷直樹

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by medical-law | 2014-07-04 04:50 | 医療事故・医療裁判