弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2014年 08月 20日 ( 2 )

J―ADNI研究の最高顧問が同研究の評価委員だった

朝日新聞「国と研究者、もたれ合い J―ADNIへの補助金審査」(2014年8月20日)によると,J―ADNI研究の最高顧問××××同志社大教授(東大名誉教授)を同研究の評価委員に選考したことについて,厚労省は,「当時の担当者が顧問と認識していなかった」と説明しているとのことです.
J―ADNIの研究計画書の表紙には顧問として××××教授の名前が明記されていましたが,厚労省は当時研究計画書を入手していなかった,とのことです.
しかし,J―ADNIが××××教授が中心になって立ち上げたものであることは,誰もが知っている周知の事実です.厚労省の担当者が知らなかったという言い訳は通用しないでしょう.

××××教授は,厚労省から2007年度に200万円をもらい,経産省からは6年間で1億円超をもらっていましたが,厚労省は,他省の補助金についてまで知らない,と言っているそうです.

最高顧問という利害関係者が評価委員になっていたことは,明らかに利益相反です.お手盛りの弊害があります.
J―ADNは,データ改ざん疑惑,倫理指針違反などの疑惑も解明されていません.
信頼性の低い研究に,国から多額の補助金が提供されていたことになります.
このような国と研究者の癒着を防止するシステムが必要と思います.まず,利益相反に対する海外なみの規制と罰則が必要と思います.

谷直樹

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by medical-law | 2014-08-20 23:50 | コンプライアンス

公益財団法人日産厚生会玉川病院の看護師に故意犯の容疑

msn産経「看護師が故意に大量インスリン、患者に 世田谷・玉川病院 殺人未遂容疑で立件へ」(2014年8月20日)は,次のとおり報じました.
 
「公益財団法人「日産厚生会」が運営する玉川病院(東京都世田谷区)で4月、看護師の女=休職中=が入院患者の90代女性に故意に大量のインスリンを投与した疑いが強まり、警視庁捜査1課が近く殺人未遂容疑で立件する方針を固めたことが19日、捜査関係者への取材で分かった。女性は一時的に容体が悪化したが、治療を受けて回復した。女はこの女性の担当看護師で、捜査1課は何らかのトラブルがあったとみて詳しい経緯を調べている。

 捜査関係者によると、女は4月下旬ごろ、病院内で女性に大量のインスリンを投与し、殺害しようとした疑いがもたれている。女性は一時的に低血糖の状態になり、手足の震えなどの症状が出たが、治療を受けて回復し、命に別条はなかった。

 インスリンは膵臓(すいぞう)から分泌され、血糖値を抑える働きがある。糖尿病の治療薬として知られるが、女性は糖尿病ではなかった。

 捜査1課は病院側から連絡を受け、インスリンが目的外で使用された疑いがあるとみて捜査。医師や看護師らの勤務実態などから、女性が容体を悪化させた時間帯に女が接触していた可能性が高いことが判明。院内のインスリンの一部が無断で持ち出されたとみられることも分かった。

 インスリンの大量投与で低血糖状態のまま放置されると、意識レベルが低下して死に至ることもある。捜査段階で女性の血糖値は正常の範囲に戻っていたが、捜査1課は糖尿病ではない患者に大量に投与した疑いがあることなどから、女に少なくとも「未必の故意」による殺意があったと判断したとみられる。

 玉川病院は昭和28年開設の総合病院。病院側は産経新聞の取材に対し、「警察が捜査中で、すべてのことがはっきりするまでは何も話せない」としている。」


糖尿病ではない患者にインスリンが投与されたとすれば,通常は過失によるものと考えるでしょうが,警察が本件で殺人の容疑で捜査しているのは何か特殊な事情があるのでしょう.

なお,京大病院で2009年11月に看護師が入院患者に治療上必要のないインスリンを投与する事件がおき,2011年4月に懲役1年6月の実刑判決が確定しています.不遇な立場にある者が弱い立場にある患者に危害を加える類型の犯罪でした.

医療従事者が患者に危害を加えようと思えば容易ですし,病院で患者の容態が悪化したり死亡したりしても犯罪として認知されないケースもあるかもしれません.病院は医療従事者の精神的健康に留意する必要があるのではないでしょうか.

なお,産経では殺人未遂の容疑ですが,朝日,読売,東京は傷害容疑と報じています.


谷直樹

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by medical-law | 2014-08-20 08:42 | 医療事故・医療裁判