弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2014年 08月 26日 ( 2 )

岡山市立せのお病院の副院長が「病気が悪くなったのは○○医師の責任です。」との手紙を送付し処分される

時事通信「患者家族にうその手紙=市立病院副院長を処分-岡山」(2014年8月26日)は,次のとおり報じました.

「岡山市立総合医療センターは26日、市立せのお病院の50代の男性副院長が、患者の家族に虚偽の内容の不適切な手紙を送付したとして停職3カ月の処分にしたと発表した。副院長は同日付で辞職した。
 同センターによると、副院長は、3月末まで勤務していた市立市民病院に入院していた患者の家族に「病気が悪くなったのは○○医師の責任です。このままだとますます悪くなります。もう黙っておけないスタッフより」などと、虚偽の内容を記した手紙を7月6日付で送付した。
 患者家族から相談を受けた同センターが調査を進めたところ、副院長が市民病院の電子カルテを閲覧していたことが発覚。事情を聞いたところ、手紙送付を認め、「事実と異なることを書いてしまった。申し訳ないことをした」と話したという。同センターは患者の経過確認のため、副院長が市民病院を異動後も、電子カルテにアクセスできるIDを渡していたという。
 せのお病院の津下宏院長の話 医師らに対し、倫理観を持つよう注意する。」


KSB瀬戸内海放送「岡山市立せのお病院の副院長を処分」(2014年8月26日)は,次のとおり報じました.

「岡山市立せのお病院の男性副院長が、以前勤務していた病院の入院患者の自宅に不適切な手紙を送ったとして、停職3カ月の処分を受けました。停職3カ月の処分を受けたのは、岡山市立せのお病院の男性副院長(50代)です。病院を経営する総合医療センターによりますと、副院長は7月、以前勤務していた岡山市民病院の入院患者の自宅に手紙を送りました。手紙には患者の診療に携わっていた医師を中傷する内容が書かれていたということです。患者の家族から相談を受けたセンターが副院長から話を聞いたところ事実を認めました。副院長は「患者への注意喚起のつもりで書いたらエスカレートした」と話し、26日付で辞表を提出し受理されました。また、40代の主任放射線技師がけがをした長男と義母に医師の指示なくエックス線などの撮影をしたとして、停職1カ月の処分を受けました。」


「地方独立行政法人岡山市立総合医療センター」という法人(病院ではない)が,「岡山市立市民病院」と「岡山市立せのお病院」を運営しています.
「岡山市立せのお病院」の副院長が,以前勤務していた「岡山市立市民病院」の患者家族に「病気が悪くなったのは○○医師の責任です。このままだとますます悪くなります。もう黙っておけないスタッフより」などと記した手紙を7月6日付で送付したことは発覚し,「地方独立行政法人岡山市立総合医療センター」から処分を受けたというニュースです.

内部告発者が告発内容が真実であると信じるについて十分な合理的根拠があり,告発の目的に公益性があって,告発の方法等が適切であれば,その告発内容が真実でなくても,内部告発者への処分は許されません.また,この要件を一部欠くときであっても,総合考慮により処分が違法とされることもあります.

本件は,方法が適切とは言い難いところに問題があります.


谷直樹

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by medical-law | 2014-08-26 22:39 | 医療

大垣市民病院,アレルギー歴のある薬を確認せず投与し死亡した事案で示談(報道)

中日新聞「大垣市民病院が医療事故 遺族に400万円賠償へ」(2014年8月25日)は,次のとおり報じました.
 
「岐阜県大垣市民病院は25日、今年2月に肺がんで入院中に死亡した女性=当時(85)=に対し、医師がアレルギー歴のある薬を確認せず投与し続けて女性を苦しめ、死期を早めた可能性があるとして、女性の長女に400万円の賠償金を支払うと発表した。

 病院によると、昨年7月、肺炎で呼吸器内科に入院した女性に抗菌薬を点滴したところ、体に発疹などが現れたため、電子カルテにアレルギーの疑いがあると登録した。しかし、退院後の今年1月31日、救急で運ばれた女性に、別の医師が同じ薬を1日2回投与。2月2日午後1時ごろ、発疹が出たり呼吸困難の症状が悪化したりしたため、この医師がカルテを確認、アレルギー歴があることに気付いて処置を施したが、午後8時すぎ、女性は死亡した。

 同病院は「死因としては肺がんの可能性が大きいが、最期の時間を苦しめてしまった」とすでに長女に謝罪した。電子カルテは、アレルギーの可能性がある薬が登録されていればピンク色に点滅するシステムになっているが、「担当した医師が確認を怠った」としている。

 大垣市は9月市議会に関連議案を提出する。」


医師には,投薬に際しアレルギー歴のある薬を確認する注意義務があります.
その確認を怠り,投与し続けたのは,注意義務違反にあたります.
注意意義無違反と2月2日の死亡との因果関係については,肺がんが進行していれば高度の蓋然性があるという立証は困難ですが,少なくとも相当程度の可能性が認められる場合であれば,400万程度の賠償義務が発生するものと考えられます.


谷直樹

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by medical-law | 2014-08-26 00:48 | 医療事故・医療裁判