弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2014年 09月 09日 ( 3 )

司法試験合格者1810人、うち予備試験からの合格者は163人

読売新聞「司法試験合格者、8年ぶり2千人下回る…大幅減」(2014年9月9日)は、次のとおり報じました.

法務省の司法試験委員会は9日、今年の司法試験合格者を発表した。

 合格者は1810人で前年比239人の大幅減となり、2006年以来8年ぶりに2000人を割り込んだ。合格率は前年から4・19ポイント減の22・58%と、法科大学院修了者の受験が始まった06年以降で最低。法科大学院を修了しなくても受験資格が得られる予備試験を経た合格者は、昨年から43人増えて過去最多の163人に上った。

 合格者数が大幅に減ったのは、政府が昨年、弁護士の就職難などを背景に、合格者を「年間3000人」に増やすとした当初目標を撤回した影響で、試験委員会が合格ラインを厳しく設定したためとみられる。

 今回、予備試験組の合格者は大学や大学院の在学生が120人と7割を占めた。合格者数は法科大学院でトップの早稲田大(172人)、2位の中央大(164人)に次ぐ人数で、合格率は昨年の71・86%より下がったものの、3年連続でどの大学院よりも高い66・8%を記録した。

 予備試験は、経済的に余裕がなくて法科大学院に通えない学生や社会人らの受験を想定し、「例外ルート」として11年に始まった。しかし、現役学生の間で、2~3年の在籍期間が必要で合格率も低迷する法科大学院を敬遠し、予備試験を選ぶ傾向が強まっている。」


法務省「平成26年司法試験の結果」によれば、
合格者の年齢別構成(本年12月末現在)は、
平均年齢 28.2歳、 最高年齢 65歳、最低年齢 22歳とのことです.
男性 は1,402人(77.46%)、女性 は408人(22.54%)でした.

法科大学院別合格者数は、早稲田大35.1%(172人)、中央大34.5%(164人)...でした.

予備試験からの合格者が多いことが注目されますが、実務家教育に徹することができない中途半端な法科大学院に行くより、予備試験を経由して1年でも早く司法試験に合格するほうを選択するのは当然と思います.
合格者が2000人を切ったことについて記事は3000人増員の御旗を降ろしたことの影響とみています.そのような見方も否定はできませんが、むしろ、年々法曹希望者が減り優秀な人材を集められないことの影響(質の低下の反映)とみたほうが正しいのではないでしょうか.

日本では弁護士に対するニーズが少ないのですから、(裁判官を大幅増員しないかぎり)今後、さらに合格者を減らす必要があると思います.
法科大学院は、本来法曹実務家になるための教育をおこなうためにあり、司法試験に合格するためのものではありません.法科大学院のための試験制度ではありませんので、予備試験を本則とし、法科大学院を経由しても不利にならない、というシステムに変えるほが、優秀な人材を集められる可能性が大きいと思いますが、いかがでしょうか.
比較的長い年月をかけて合格した人のなかにも,法曹として優秀な人材がいることを忘れてほしくないと思います.


谷直樹

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by medical-law | 2014-09-09 23:42 | 司法

名古屋市立東部医療センター,手術室で男性医師が女性医師に不適切な性的発言

読売新聞「手術室で同僚の女性医師に性的発言、医師を注意」(2014年09月09日)は,次のとおり報じました.

「名古屋市立東部医療センター(名古屋市千種区)の男性医師が同僚だった女性医師に不適切な性的発言を行ったとして、口頭注意を受けていたことが8日わかった。

 市病院局によると、5月30日午後、同センターの手術室で、手術前に男性医師が手術とは直接関係ないことを女性医師に話しかけた会話の中で、性的発言があったという。

 6月2日、女性医師から同センターに相談が寄せられ、当時周囲にいた職員ら関係者から事情を聞いたところ、不適切な発言があったことが確認された。このため、同27日、同センター病院長が口頭注意を行った。その後、男性医師と女性医師はそれぞれ依願退職したという。」


このような職場環境では,女性医師は定着しません.
セクハラ発言をする医師はいやですね.
患者からすると,医師は真剣に手術に集中してほしいと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2014-09-09 18:24 | 医療

金沢大学病院の外部調査委員会が,倫理指針に反し先進医療の臨床試験を実施した問題について中間報告

北陸朝日放送「倫理指針違反で金大附属病院が中間報告」 (2014年9月8日)は,つぎのとおり報じました.

「金沢大学附属病院が行ったがん治療の臨床試験で、国が認めた倫理指針に違反していた問題で、病院側がこれまでの中間報告を発表しました。
この問題は金大附属病院が、がん治療の先進医療として、6年前から行っていた「カフェイン併用化学療法」について、厚生労働省が定めた試験期間を過ぎても、研究を実施していたものです。
病院側は、外部の有識者による調査委員会を設置し、8日、これまでの中間報告を発表しました。
調査委員会の報告では、臨床試験の正式な手続きをせずに、治療された患者が114人いることが分かりました。
調査委員会は「担当の整形外科の医師が、臨床試験以外でも治療を名目にカフェイン治療が実施できると誤解した、認識の甘さが根本的な問題だ」と指摘しました。
またこの化学療法では、2010年に骨肉腫で入院していた当時16歳の少女が急性心不全で死亡。抗がん剤の副作用による医療ミスの疑いがあるとして、整形外科の男性教授ら3人が5月に業務上過失致死の疑いで、書類送検されています。
少女の死亡との因果関係について、調査委員会では「この治療で患者に何が起きたか、再度検討していくべきだ」としたうえで、「明確な結果が出るまでは、この治療法を再開すべきでない」との見解を示し、臨床研究の担当部門の整備など、再発防止策を提言しました。」


整形外科の教授が,臨床試験期間中に臨床試験外に治療と称しカフェイン療法を実施し,臨床試験期間終了後にも治療と称しカフェイン療法を実施した事案です.
倫理指針を意図的に無視逸脱したのではなく,治療としてならできると誤解していたという報告ですが,有効性と安全性が確立していない「実験的療法」が治療として実施できないことくらいは,普通分かるはずです.医師に被験者の権利を尊重する姿勢があれば,倫理指針を正しく理解できたはずです.

【追記】

朝日新聞「業務上過失致死容疑の金沢大病院医師ら3人を不起訴処分」(2015年10月11日)は,次のとおり報じました.

「2010年に金沢大付属病院の先進医療を受けていた骨肉腫の少女(当時16)が死亡したのは医療ミスの疑いがあるとして、業務上過失致死の疑いで書類送検されていた当時の50代男性医師ら3人について、金沢地検は不起訴処分にした。7日付。「起訴するに足りるだけの証拠が集められなかった」としている。

 少女は「カフェイン併用化学療法」を受けていたが、急性心不全で死亡。遺族が12年、石川県警に告訴した。

 この化学療法をめぐっては、病院の倫理審査委員会の承認を受けるといった正式な手続きをせずに治療された患者が08~13年に106人いたとの報告書を、病院の調査委員会が昨年12月にまとめた。金沢大は今年3月、厚生労働省の倫理指針に違反していたとして、治療していた教員ら4人を文書訓告や学長による口頭注意の処分とした。」


 刑事手続きは,ハードルが高いようです.


谷直樹

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by medical-law | 2014-09-09 01:12 | コンプライアンス