弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2014年 09月 15日 ( 1 )

韓国の健康保険公団とたばこ会社の裁判

WoWKorea「韓国・健康保険公団がたばこ製造会社に損害賠償請求」(2014年9月13日)は,次のとおり報じました.
 
「政府が喫煙率を下げるという名目でたばこ価格を値上げすると発表した中、国民健康保険公団(以下、健保公団)とたばこメーカーの口頭弁論が始まった。


 健保公団が韓国のたばこ製造会社KT&G、フィリップモリス・コリア、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)・コリアなど(以下、製造会社側)を相手に起こした損害賠償請求訴訟の初弁論が、ソウル中央地方裁判所で12日午後2時から行われた。

 健保公団側の代理人は「たばこは嗜好品ではなく、公衆に対する許されない脅威」とし「今回の訴訟を通じてたばこと製造会社の実態を明らかにし、たばこを嗜好品と思っている国民の感覚が変化していくことを望む」と明らかにした。

 また健保公団は受診者(診察を受けた人)に支給した537億ウォンを対する損害賠償を請求する。今後たばこそのものの欠陥性や製造会社の違法行為を根拠に請求額を上げていく」と述べた。

 また「たばこの煙はタール、ベンゼン、ホルムアルデヒドなどの発がん性物質69種類が入っている。それでも製造会社はその有害性を抽象的に警告していた」と批判した。

 そして「製造会社は中毒性強化のためにアンモニア合成物を添加し、ニコチンの影響を軽く考えるようにした」と主張した。

 KT&Gら製造会社側の代理人は、健保公団の訴訟提起は法的根拠がないと対立した。

製造会社側の代理人は「健保公団が受診者に支給した保険金は、法律上の賠償対象となる損害ではない。保険加入者の疾病から派生した間接的損失に過ぎない」と主張した。

 また「原告が訴状で明らかにした訴訟の目的は、健康保険財政堅実化を企て、たばこ製造会社に対する責任追及、効果的なたばこ規制政策などであり、訴訟の結果と関係なく政策的目的で訴訟を起こしたことにより、司法的判断の対象ではない」と付け加えた。

 製造会社側の代理人はたばこの有害性を認めながらも喫煙と肺がんの個別の因果関係は認めないと強調した。

 さらに「健保公団は損害賠償を総額だけ明らかにしたが、個別の因果関係の立証をビッグデータで代替することは不可能だ」とし、「裁判所が特定の肺がんとたばこの個別因果関係を認めることはない」と述べた。

 「従って喫煙量と個人の職業、年齢、環境など多くの個別要因に対する分析が必要だ」とした。

 製造会社側の代理人は「喫煙は自由意思による選択の問題。依存性(中毒)はある程度存在するが、自由意思により断ち切ることはできない」とも主張した。

 また有害性をきちんと表示しなかったという健保公団の指摘に対し、喫煙の有害性は何度もそしてずいぶんと前から多くの人が知っているという事実だと反論した。

 「朝鮮時代からたばこが健康に悪い影響を与えることがあるということは、広く知られていたことだ。1960年代以降、未成年者の喫煙は法律で禁止し、禁煙教育を実施するなど未成年者保護も強化してきた」とした。

 製造会社で中毒性を強化するために添加物を入れたという健保公団の主張に対しては「添加物は保湿剤、香料、保存料などで、全体の8%に過ぎない。添加物の使用目的は、水分の維持、腐敗防止などの物理的状態の保存とタバコの味の差別化だ」と対立した。

 裁判所は訴訟の争点を以下の4つにまとめた。

1.健保公団に訴訟を提起する資格があるのか

2.喫煙と肺がんなどの疾病の因果関係

3.たばこ製造会社の製造物責任及び違法行為責任

4.損害額の範囲

 次回の公判は11月7日午後2時に開かれる。」


健康保険組合がタバコ会社を訴えるのはアメリカだけではありません.
タバコは,健康被害を生じる一種の欠陥商品です.そのタバコを製造販売している会社が,健康保険組合にタバコによる健康被害の費用を負担させ,自分は利益だけを得ています。本来その費用はタバコ会社が負担すべきものと考えます。


谷直樹

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by medical-law | 2014-09-15 09:17 | タバコ