弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2014年 09月 17日 ( 1 )

助産師,業務上過失致死(大量出血に救命措置怠り妊婦死亡),医療法違反(無許可開設)の疑いで書類送検

msn産経「無許可で助産所開設、出産時に女性死なせた疑い 院長を書類送検、相模原」(2014年9月16日)は,次のとおり報じました.

 「無許可で助産所を開設し、出産時の出血で女性を死亡させたとして、神奈川県警は16日、業務上過失致死と医療法違反の疑いで、相模原市南区の「のぞみ助産院」院長の女性助産師(69)を書類送検した。

 書類送検容疑は昨年4月27日、入院中だった相模原市中央区の女性=当時(33)=が男児を出産する際、多量の出血をしたのに必要な措置を取らず、搬送先の病院で同28日に死亡させた疑い。

 また昭和62年2月から行政の許可を得ずに助産所を開き、医療法で求められる緊急時の嘱託先病院も平成20年4月以降、決めていなかった疑い。

 県警によると、昨年4月27日午後11時半ごろ、助産所で水中出産した女性の血が止まらず、助産師は同28日午前2時50分ごろに119番した。「目視で1~1・5リットルの出血があり、医療機関に搬送すべきだった。色が薄く、当初は血液ではないと判断した」と書類送検容疑を認めている。」


読売新聞「産後大量出血の女性が死亡、助産師を書類送検」(2014年9月16日)は,次のとおり報じました.

「出産後に大量出血した女性に適切な救命措置をせず、死亡させたなどとして、神奈川県警は16日、相模原市南区の「のぞみ助産院」を経営する女性助産師(69)を業務上過失致死と医療法違反の両容疑で横浜地検に書類送検した。

 発表によると、助産師は2013年4月27日夜、同院で同市中央区の女性(当時33歳)が出産する際、多量の出血を知りながら医療機関で治療を受けさせるなどの迅速な対応を怠り、翌28日朝、搬送先の病院で出血性ショックで死亡させた疑い。また、医療法で定められた市長の許可を受けず、緊急時の嘱託医療機関も確保しないで助産院を経営した疑い。調べに対し「母体の重症例を経験したことがなく、認識の甘さが出た」と話しているという。

 捜査関係者や遺族によると、女性は27日午後11時25分頃、第3子となる次男を出産。次男は無事だったが、女性は直後から腹痛を訴え、助産師は28日午前1時頃に出血を把握した。子宮収縮剤を投与するなどしたが医師には相談せず、同2時半頃に血圧低下に気づいて119番したという。」


スポーツ日本「出産時に女性死なせた疑い 助産師を書類送検 27年許可なしで助産所」(2014年9月16日)は,次のとおり報じました.

「無許可で助産所を開設し、出産時の出血で女性を死亡させたとして、神奈川県警は16日、業務上過失致死と医療法違反の疑いで、相模原市南区の「のぞみ助産院」院長の女性助産師(69)を書類送検した。

 書類送検容疑は昨年4月27日、入院中だった相模原市中央区の女性=当時(33)=が次男を出産する際、多量の出血をしたのに必要な措置を取らず、搬送先の病院で同28日に死亡させた疑い。

 また1987年2月から神奈川県や相模原市の許可を得ずに助産所を開き、医療法で求められる緊急時の嘱託先病院も2008年4月以降、決めていなかった疑い。

 県警によると、昨年4月27日午後11時半ごろ、助産所で水中出産した女性の血が止まらず、助産師は同28日午前2時50分ごろに119番した。「目視で1~1・5リットルの出血があり、医療機関に搬送すべきだった。色が薄く、当初は血液ではないと判断した」と書類送検容疑を認めている。

 相模原市によると、のぞみ助産院は現在も開院している。

 助産師は16日、助産院で取材に応じ「血は止まっていたと認識している。適切な処置だった」と説明する一方で「女性が死亡したのは自分の力不足だった」とも述べた。「4300人以上を取り上げてきた。今回のような死亡事故はなかった」とし、無許可で開所した認識はないと話した。」


NHK「出産女性死亡で助産師書類送検」(2014年9月16日)は,次のとおり報じました.

「神奈川県相模原市の助産師が、去年、出産で大量の出血をした女性に対し必要な措置を取らずに死亡させたとして、業務上過失致死などの疑いで書類送検されました。

書類送検されたのは、相模原市南区にある「のぞみ助産院」の院長を務める69歳の助産師です。
警察の調べによりますと、この助産師は去年4月、33歳の女性が助産院で出産した際に、通常よりも大量に出血していることに気付いていたにもかかわらず、必要な措置を取らずに出血性ショックで死亡させたとして、業務上過失致死の疑いが持たれています。
警察によりますと、調べに対し「これまで母体の重症例がなかったので認識の甘さが出てしまった」などと、容疑を認めているということです。
さらに、去年まで26年間、法人としての開設許可を受けないまま助産院の運営を続けていたとして、医療法違反の疑いでも併せて書類送検されました。
この助産師はNHKの取材に対し、「死亡した母親には出血が確認されてすぐ必要な措置を取った。容体が急変したため救急搬送もしており、できるかぎりのことはやった」と話していました。
また、医療法違反の疑いでも書類送検されたことには「医療法人として認められなかったので、保健所に相談したうえで有限会社として助産院を開設した。無許可という認識は全くない」と話していました。」


神奈川新聞「無許可助産院で女性死亡:「個人営業と認識」相模原市保健所」(2014年9月17日)は,次のとおり報じました.

「のぞみ助産院」が無許可で開業していた実態に、指導権限を持つ相模原市保健所は今年5月まで気付いていなかった。医療法違反容疑などで捜査していた県警からの連絡で知ったといい、同保健所は「(保健所業務を)県から引き継いだ時から、個人営業だと認識していた」と釈明している。

 医療法では、法人など助産師以外の開業は知事か保健所設置市の市長の許可が必要で、有限会社などによる営利目的の開設は認められていない。

 同保健所や県警によると、女性院長は1981年、当時の所轄庁だった県に届け出て同助産院を開院。節税対策のため87年に有限会社として届け出たが、県に許可されなかったという。

 2000年に県から業務を引き継いだ同保健所は今年6月、助産院に対し立ち入り調査を行って事実確認。助産院は市の指導に従い7月末で有限会社を解散させ、いったん休業した。だが8月下旬に個人としてあらためて開業している。開業届は今月初めに提出されたという。同保健所は「違法状態が改善され、届け出の要件を満たしていれば受け付ける」と話している。

 また、のぞみ助産院は死亡事故直前の2013年3月、県内の助産所の大半が加盟する県助産師会(仲かよ会長)を退会していた。

 同会によると、日本助産師会が定めた助産師業務ガイドラインに沿って業務の改善を指導したが、この助産院の院長が「改善には応じられない。自分のことで会に迷惑を掛けたくない」とし、13年3月31日付で自ら退会したという。県助産師会は「改善指導の詳しい内容は、個人情報に当たるので明らかにできない」としている。

 同会は出産事故などの損害保険に団体として加入しており、この保険の加入を目的に、助産院開業者はほぼ全員が助産師会に入会するという。

 仲会長は「損害保険が受けられなくなることへの懸念や、今後も改善指導を続けたいとの考えから、会員が助産院に出向くなどして入会の継続を説得したが、院長は応じなかった」と話している。

 同助産院の利用者からは、驚きの声が上がる。妻が05年に長男、08年に次男を同助産院で出産した相模原市内の男性(36)は、「院長は産前も産後も熱心に指導してくれ、衛生面や安全面で問題は感じられなかった。ショックだ」と話した。」


神奈川新聞「無許可助産院で女性死亡:相模原の助産院長が書類送検」(2014年9月17日)は,次のとおり報じました.

「無許可で助産所を開設し、出産直後の女性を死亡させたとして、県警捜査1課と相模原南署は16日、業務上過失致死と医療法違反の疑いで、相模原市南区御園4丁目の「のぞみ助産院」の女性院長(69)=同区=を書類送検した。県警の調べに対し、院長は容疑を認め、「すぐに医療機関に搬送するべきだった。認識が甘かった」と説明している。

 書類送検容疑は、昨年4月27日深夜、入院中だった女性=当時(33)、同市中央区=の男児出産に助産師として立ち会いながら、女性が大量出血した際に嘱託医の指示を仰ぐなどの必要な処置を取らず、翌28日朝に搬送先の病院で出血性ショックで死亡させた。また、1987年2月から2013年4月まで、県や市の許可がないまま法人として助産所を開設し、2008年4月以降、医療法で定められている緊急時の嘱託医療機関を決めていなかった、としている。

 同課によると、昨年4月27日午後11時半ごろ、女性は院内のプールで男児を水中出産。立ち会いは院長1人だけだった。出産後、大量出血した女性が「おなかが痛い」としきりに訴えたため、院長は翌28日午前1時半ごろに子宮収縮剤を投与。同2時50分ごろに119番通報した時には、すでに意識がない状態だった。

 県警の調べに対し、助産師は「目視で1~1・5リットルの出血があったが、血の色が薄く、体液が混じっていると判断した」と供述。無許可で開設していた点については「保健所から許可がもらえず、多忙でそのままにしてまった」、緊急時の病院を確保していなかった点には「提携できる病院が見つからなかった。近くに大規模な病院があり、実質的に緊急時の態勢は整っていると思っていた」とそれぞれ説明している。」


神奈川新聞「無許可助産院で女性死亡:「止血できた」院長が説明」(2014年9月17日)は,次のとおり報じました.

 「のぞみ助産院」院長の女性助産師(69)は集まった報道陣に対し、亡くなった女性が出産直後から容体が急変するまでの状況を振り返り、「意識が混濁する直前まで話をしていた。出血をしていたとしても、何の出血かは難しい判断だったが、止血はできたという認識はある。そのとき、やれるだけの救急措置は精いっぱいやっている」などと説明した。

 同院長が取り上げたお産はこれまでに4300件以上で、初めての事故だという。今回の事態に「最高のお産をした事実がある。自分に責任がないと言うつもりはないが、悪いことは何もしていない。残念としか言いようがない」と話した。

 無許可での助産院の法人運営については「無届けはあり得ない。医療法人に関して保健所に相談したが、認められなかった」などと反論した。」

神奈川新聞「無許可助産院で女性死亡:「もっと早く通報してくれれば」義父ら遺族、無念吐露」(2014年9月17日)は,次のとおり報じました.

「幸せな生活が待っていた。これからだったのに-。「のぞみ助産院」で男児を出産直後、出血性ショックで亡くなった女性=当時(33)=の遺族が16日、神奈川新聞社の取材に応じた。「これは医療事故。なぜ、もっと早く119番通報しなかったのか」。幸せな将来を思い描き、新たな家族の誕生を待ち焦がれていた日々から一転、愛する家族を失った無念を吐露した。

 義父(67)と義母(64)によると、女性は5年前、夫の転勤で北海道から相模原市に転居した。若い夫婦は一軒家を購入。子育てに励み、相模原に根を張るつもりだった。

 夫婦は長男(7)と長女(5)に恵まれ、男児は3人目の子宝だった。女性は元助産師。結婚を期に辞めており、子育てが落ち着いたら、再び働こうと思っていた。

 同助産院での出産を決めたのは「ママ友の話やインターネットの口コミが良かったからだったと思う」と義父。将来に役立つという思いもあり、助産院での出産を選んだのでは、と女性の思いを推し量る。無許可だったと知り、「驚きしかない」。信頼していただけに、出産時には思いも及ばなかった。

 女性が亡くなった後、義父は3回ほど、院長と面会した。だが、どこかひとごとのような口ぶりで、責任を十分は感じていないように見えた。「もうちょっと謝罪の気持ちがあっていいのでは」と憤る。

 子ども3人。残された夫が男手一つで育てるのは大変だ。義母は北海道から相模原に移り住み、3人の母親代わりとして一緒に暮らす。義父も時間を見ては相模原に足を運ぶが、「年に1、2回、孫たちが北海道に遊びに来る。じじ、ばばとして、その成長を見守る。そんな生活を楽しみにしていたのに」と声を落とす。

 女性が命を賭(と)して生んだ男児は1歳になった。義母は腕に抱きながら訴えた。「この子はお母さんの顔を知らないまま育っていく。もう二度と、同じようにかわいそうな子をつくってはいけない。こんな医療事故を起こしてはいけない」」


神奈川新聞の報道が詳細です.
刑事責任,行政法上の責任,民法上の賠償責任の有無については,それぞれの手続きにより判断されることになるでしょう.
助産師会を脱会し,本件事故当時保険に入っていなかったとのことですので,仮に民事の賠償責任が認められても69歳の助産師に支払能力があるのか,問題が残ります.

【追記】

読売新聞「女性死亡の無許可助産院に市が助成金1800万」(2014年9月19日)は,次のとおり報じました.

「相模原市南区の「のぞみ助産院」を経営する女性助産師(69)が業務上過失致死と医療法違反の疑いで書類送検された事件で、無許可経営だった同助産院に同市が妊婦健康診査などを委託し、2009~14年度に計約1800万円の助成金を支出していたことが、市への取材でわかった。

 市によると、同助産院は1987年の法人化に伴い、市に開設の届け出を行ったが、許可が出なかった。しかし、市は許可が出ていると誤認し、09年4月、妊婦健診業務を委託。13年3月までに、3338件の健診費用として計1294万円を助成した。

 同助産院は今年7月になって法人閉鎖の、8月には個人助産所としての届け出を行った。個人の助産所は市長の許可を必要としないため、市は同月、妊婦健診業務を再委託したという。

 市健康企画課は「あくまで市民のための助成で、妊婦が支払うべき金額を市で負担している。市民の利便性を考え、少なくとも今年度中は助成を継続する」としている。また、市は、経済的に出産費用を払うのが難しい妊婦の負担を軽減する制度に基づき、09年4月~14年4月、計約530万円を助成していた。」



【再追記】

神奈川新聞「出産直後の女性死なす/相模原市の助産師に罰金刑」(2015年7月29日)は,つぎのとおり報じました.

「相模原市南区の助産所「のぞみ助産院」で2013年、出産直後の女性を死亡させたとして、横浜区検は29日、助産所の女性助産師(69)=同区=を業務上過失致死罪で略式起訴した。横浜簡裁は同日、助産師に罰金50万円の略式命令を出した。

 起訴状などによると、助産師は13年4月、同市中央区の女性=当時(33)=が男児を出産した際、正常時の平均出血量である約500ミリリットルを超える約千~1500ミリリットルの出血を確認したのに、救急通報を行う注意義務を怠った過失により、女性を弛緩(しかん)出血による出血性ショックで死亡させた、とされる。

 県警が昨年9月、業務上過失致死と、無許可で助産所を開設した医療法違反の疑いで書類送検していた。医療法違反容疑については横浜地検が29日、不起訴処分とした。」



谷直樹

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by medical-law | 2014-09-17 07:29 | 医療事故・医療裁判