弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2014年 09月 23日 ( 1 )

福岡高裁平成26年9月19日判決,自力排尿が可能な受刑者への尿道用カテーテル挿入は違法(報道)

西日本新聞「刑務所で不適切医療、国が逆転敗訴 元受刑者に賠償命じる」(2014年9月19日)は,次のとおり報じました.

「福岡刑務所に服役中、不適切な医療で精神的苦痛を受けたとして、元受刑者の40代男性が国に約340万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は19日、請求を棄却した一審福岡地裁判決を変更し、35万円の支払いを命じた。

 判決によると、窃盗罪で服役した男性は2008年4月に腰痛を訴え、絶対安静と診断した刑務所の医師の指示で2日半にわたり、尿道用カテーテルを挿入された。高野裕裁判長は「詳しい検査を行わないなど診断は医療水準に従っておらず、不適切で違法だ」と指摘した。

 一審判決は「男性が腰の痛みをしつこく訴えており、医師の診断には合理性がある」として請求を棄却していた。

 福岡刑務所の青山純所長は「関係機関と協議し、適切に対応する」とコメント。原告弁護団は「収容者の権利保護を重視した適切な判断。国は責任を認めて謝罪し、再発防止を徹底すべきだ」とする声明を出した。」


毎日新聞「刑務所:カテーテルで精神的苦痛 福岡高裁が国に賠償判決」(2014年9月19日)は,次のとおり報じました.
 
「福岡刑務所(福岡県宇美町)の医務官に腰痛治療として導尿カテーテルを挿管され精神的苦痛を受けたとして、元受刑者の40代男性が国に約350万円の損害賠償を求めた訴訟で、福岡高裁は19日、請求を退けた1審・福岡地裁判決を変更し、国に35万円の支払いを命じた。高野裕裁判長は「診断や挿管は医療水準に従ったものではなく不適切」と違法性を認定した。

 判決によると、男性は2008年4月30日、強い腰痛を訴え医務官の診察を受けた。医務官は問診や検査をすることなく「絶対安静が必要」と診断し、排尿用に2日半にわたって尿道にカテーテルを挿管した。

 1審は「医学的知見に沿う合理的なもの」とした。しかし、高野裁判長は「問診をし、必要な検査をしたうえで治療法を選択するのが医療水準だ」と指摘。そのうえで「自力排尿が可能だったので、他の方法をとるべきだった」と述べた。

 福岡刑務所は「判決内容を精査し適切に対応したい」としている。

 男性の代理人弁護士によると、福岡刑務所では05〜10年に腰痛治療などで150件のカテーテル挿管があった一方、同規模の他の刑務所では使用されていないという。【山本太一】」


朝日新聞「受刑者に尿道カテーテル使用、国に賠償命令 福岡高裁」は(2014年9月19日)は,次のとおり報じました.

「福岡刑務所(福岡県宇美町)で腰痛を訴えた男性受刑者(当時)が、医師の判断で尿道にカテーテルを入れられ精神的苦痛を受けたとして、国に約350万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が19日、福岡高裁であった。高野裕裁判長は「自力排尿が可能な状態で尿道カテーテルの使用は不適切だった」として、男性の請求を棄却した一審・福岡地裁判決を変更し、国に35万円の支払いを命じた。

 男性は40代。2008年4月、服役中に腰痛を訴えた際、医師の判断で尿道にカテーテルを挿入された。男性側は「標準的な医療水準にかなうものではない」などと主張したが、一審は「安静を保つ必要などを考慮したもので、医師の裁量を超えるものではない」と男性の主張を退けた。

 一方、二審は「尿瓶の使用など他の方法があり、カテーテル挿入は不適切」と判断。男性が痛みを訴え、精神的苦痛を受けたとして慰謝料の支払いを命じた。

 この問題をめぐっては、05~09年に腰痛を理由とした尿道へのカテーテル挿入が福岡刑務所で71件あり、男性を含む受刑者6人の申し立てを受けて県弁護士会は10年9月、人権侵害行為があったとして福岡刑務所に警告していた。」


腰痛を訴えただけで常に絶対安静とはならないでしょうし(安静を命じるだけの診療もおかしい),仮に安静が必要でも尿道カテーテル使用にはならないでしょう.一審判決は不適切不合理と思います.
本件は不適切不合理な地裁判決が高裁で覆された例です.

詳細は,担当した九州合同法律事務所のブログ「受刑者に尿道カテーテル使用、国に賠償命令」をお読みください.

谷直樹

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by medical-law | 2014-09-23 06:41 | 医療事故・医療裁判