弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2014年 12月 23日 ( 1 )

山梨大学医学部附属病院,看護師が鎮痛剤の点滴を止める操作を誤り患者が一時心肺停止となる(報道)

山梨大学医学部附属病院は,平成26年12月22日,「12月13日(土)に発生した医療事故について」を発表しました.

「【概要】

1. 12月13日(土)、午前5時40分、受け持ち看護師は、鎮痛剤の投与を中止する目的で、ポンプを 停止し、点滴回路をはずす操作を行いました。
 この際、メインルートに通じる鎮痛薬を含んだ点滴回路が、遮断されていると思い込み操作して いたところ、遮断されておらず、この状態が約10分間継続し、静脈内に過量の鎮痛薬の投与がされ 、一時心肺停止の状態に至りました。

2. 午前5時50分頃、看護師が患者様の病室に戻った時に異変に気づき、患者様に、心肺蘇生およ び昇圧剤投与等の集中治療を行い、心拍・呼吸は再開しました。ただし、重篤な低酸素脳症は続い ており、現在も予断を許さない状態が続いております。

3. このため、静脈内への過量投与と患者様の容体との関連について12月15日午前9時、緊急安全 管理委員会を開催し調査検討を行ったところ、医療事故(医療過誤)であると判断しました。

4. 12月14日、15日、18日、22日にこれらの事実につき、患者様のご家族に説明すると同時に謝罪 いたしました。

5. 本事例の重大性に鑑み、再発防止への対策を直ちに開始いたしました。
 1)夜間、早朝のポンプの取り外し作業は実施しないことの徹底
 2)看護師が患者様のベッドサイドでは、このポンプから、輸液のルートを取り外さない様、厳重に注意喚起
 3)鎮痛剤使用時のポンプの取り扱いについての再指導等

6. なお、日本医療機能評価機構、厚生労働省関東信越厚生局、山梨県福祉保健部、中北保健所、 南甲府警察署、文部科学省等の関係諸機関にはすでに報告いたしました。」


本件事故は,看護師が点滴の管の栓を閉めていなかったことが原因です.
点滴ポンプの誤操作による事故はいくつも報告され,注意喚起されています.

たとえば,国立H病院母子医療センターの看護師Xが三方活栓の空気抜き後にシリンジポンプの輸液流量の設定値を0に戻さず,かつその流路を三方活栓で遮断せず,看護師Yが当該シリンジポンプを起動させる際,輸液量の設定値の確認を怠りイノバン希釈液を過量投与し患者を死亡させた事案で,看護師Xについて,「三方活栓内の空気を抜いた後は,同設定値を0に戻し,医師の指示に基づき同液の投与を開始するまでは,その流路を三方活栓で遮断して,同液の過量投与を防止すべき業務上の注意義務」に違反したとして,看護師Yについて,「同シリンジポンプの輸液流量の設定値を確認して同液の過量投与を防止すべき業務上の注意義務」が認められ,看護師Xは罰金30万円,看護師Yは罰金50万円にそれぞれ処せられています.(弘前簡略式命令平成15年1月31日,飯田英男ら『刑事医療過誤Ⅱ増補版』578頁参照)


谷直樹

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by medical-law | 2014-12-23 05:30 | 医療事故・医療裁判